ORESAMA「cute cute」:三分で駆け抜けるファンキーでダンサブルなキラー・チューン
ORESAMAが2018年にリリースしたアルバム『Hi-Fi POPS』に、「cute cute」という曲が収録されています。曲名からどのようなアレンジを想像するでしょうか。可愛い感じでしょうか。ポップな曲でしょうか。実際は、テナーの音が強烈な存在感を放ち、自然と身体が動くファンキーでダンサブルな曲です。
アルバムのなかで一番おもしろいサウンドだと思いました。とりわけ印象に残ったのは存在感あふれるサックスです。誰が吹いているのかとクレジットを確認すると、記されていた名前は何と武田真治。彼の吹くテナーが縦横無尽に駆け巡ります。曲に厚みを与え、不良っぽい悪さを植え付けます。
そうした雰囲気に触発されたのでしょうか。ぽんのボーカルには、いたずらっぽくて、聴き手を挑発するような雰囲気が加わり、前面に出ています。それまでの歌い方と違って驚いたものの、ORESAMAの新しい表情を見ることができました。ジャズ・ギターを思わせる小島英也の技巧的なアプローチや、ラテン・ミュージックを感じるピアノのタッチもぴたりとはまります。収録時間は3分ほどとアルバム収録曲のなかでも最短ですが、そのサイズでフェード・アウトする潔さもまた良い。もっと聴きたくなります。
2018年9月のライブで披露されたときは、真っ赤な光に染まるステージで、フロントに立つ三人(ぽん、小島英也、サポートのベーシスト三浦光義)が揃ってステップを踏みました。MONICOのスクラッチ・プレイが加わることでサウンドは攻撃的になり、ダンス・ミュージックらしさが一層上がりました。特にスクラッチを含むエンディングの演奏が格好良くて、ずっと聴いていたいと願い、もっと聴かせてくれと渇望したことを覚えています。
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