Masashi Hamauzu「閃光」:メロディは輝きを放ち、聴く人を照らす
FFVII REMAKEをきっかけに、近年のナンバリング作品の音楽にも興味が湧きました。たどり着いた先のひとつが『FINAL FANTASY XIII Original Soundtrack』です。全曲の作曲とアレンジを浜渦正志が担当しました。
FFXIIIで一際輝く曲といえば、やはり「閃光」ではないでしょうか。抑制的に響くVerseはブラスとギターによってエネルギーが蓄積される時間であり、それを解き放つのがChorusのメロディです。短く上下に振れてリフレインしつつ、上昇していく――鮮烈なメロディをストリングスが奏で、ドラムがたくましいリズムを刻みます。メロディとともに心の中に光が差し込み、訪れるのは快感と解放感です。
「閃光」はモチーフとして他の曲にも組み込まれています。なかでも印象深いのが「ライトニングのテーマ」です。雄大なストリングスとピアノの演奏によって、メロディの美しさが際立ちます。戦闘シーンのアレンジとは異なる角度から光が当たることで、新しい印象を与え、別の魅力が立ち上がるメロディです。
2024年には「閃光」がEDMで再解釈されました。Masayoshi IimoriというDJ/producerによるリミックスが『SQUARE ENIX Airship Cruise Beats Vol. 3』で聴けます。最初はドラムンベースを思わせるリズムで攻め、やがてダブステップの沼に突き落とす――大胆な音のシフトが気持ち良いアプローチです。ヘビーな音やリズムの間を縫うように、シンセサイザーがメインのメロディを奏でます。音だけでも楽しめるうえに、原曲の持つメロディの魅力を膨らませた素晴らしいリミックスです。