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TM NETWORK『RAINBOW RAINBOW』:色を重ねるシンセサイザー・サウンド、多彩なリズムの魅力を伝えるファースト・アルバム

20240421からYONMARUを遡った19840421。TM NETWORKはアルバム『RAINBOW RAINBOW』をリリースしてデビューしました。一枚のレコードに収められたカラフルな9曲が、総じてポップな印象を残します。40年を数えるキャリアの黎明期、すなわちグループの軸をダンス・ミュージックに据える前のTM NETWORKを知るには欠かせない作品です。ポップな要素を凝縮して作り込むアプローチは、EDMを主軸にした現在から見れば新鮮に感じます。音楽シーンにおけるポジションを探るかのようなデビュー作らしい試行錯誤も見受けられます。

小室さんが語ったところによると、当時はバンドによる音づくりが主流でしたが、そこから外してもいい音を落としてリズムで埋め、シンセサイザーが主役として聴こえるように工夫したそうです(『Keyboard magazine』2014 AUTUMN No. 386)。いうまでもなくTM NETWORKのサウンドを語るうえでシンセサイザーは欠かせません。デビュー・シングル「金曜日のライオン ~Take it to the lucky~」や表題曲「RAINBOW RAINBOW ~陽気なアインシュタインと80年代モナリザの一夜~」では、シンセサイザーの音が魅力的なメロディを運び、さらに哀愁を重ねて曲の世界を拡げます。一方で、シンセサイザーとの対比で際立つのが生音の重要性です。アコースティック・ギターの演奏が印象に残る「1974 ~16光年の訪問者~」を聴くとよくわかります。

さらに注目するのは、小室さんの言葉にもあったリズムです。「カリビアーナ・ハイ」「イパネマ ’84」のコンガ、ボンゴ、ティンバレスはラテン・ミュージックの雰囲気を醸し、ビーチに照りつける太陽のように曲を盛り上げます。バラードの「1/2の助走 ~Just for you and me now~」では、裏で繰り返されるコンガの音が曲に奥行きを与えます。控えめながらも、じっくり聴いたときに曲の世界を拡げてくれる音です。また、ニュー・ロマンティックの影響を感じる「クロコダイル・ラップ ~Get away~」では、スネアとベースが絡むリズムが心地よく、リズミカルに刻むギターとともに身体を刺激します。

ベースとドラムが交錯し、ときにパーカッションが交差するリズム。それらを感じながら聴くのもTM NETWORKを楽しむポイントのひとつです。40年を通してリズムが魅力的な曲は枚挙に暇がありませんが、特に「Please Heal The World」、「DEVOTION」、「Whatever Comes」など、リズムを強調するアプローチは近年のTM NETWORKに見られる特徴です。ウワモノとしてのシンセサイザー・サウンドを味わいつつ、それを支える多彩なリズムを堪能する。2021年に再起動したおかげで、僕はリズムの魅力を深く知ることができ、TM NETWORKの楽しみ方が拡張しました。40年というキャリアは、ただの時間経過ではありません。新しい魅力に出会う可能性を秘めた価値ある時間の積み重ねです。


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