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ONE III NOTES「Our Place」:真夜中の霧のように音が身体に染み込む

ONE III NOTES(高橋諒、Foggy-D、ぽん)の「Our Place」は、シングル「Shadow and Truth」に収録されている曲です。ホーンやストリングスを従えて華やかな演奏を聴かせる表題曲と異なり、オルガンやベースの抑制的な、それでいて味わい深い音が印象に残ります。音の雰囲気から「夜に立ち込める霧」のイメージが浮かびました。メロウな音に重なる歌とラップは、霧に包まれた中で進むべき方向を教えてくれるかのようです。

味わい深く響くベースと、パーカッションを引き連れるドラム。心地よいテンポで刻むリズムの上をオルガンやピアノの音が流れていきます。エレクトリック・ピアノらしき音も垣間見えます。フュージョンあるいはクラブ・ジャズの雰囲気を感じます。CDに収録されているインストゥルメンタルを聴くと、音符が踊っている様子がよく分かります。

「Shadow and Truth」と「Our Place」は対を成すように、あるいは互いを補完するように雰囲気が分かれます。後者は前者の「影」のように、静かに存在します。アニメ『ACCA13区監察課』で使われているのは表題曲だけですが、「Our Place」が挿入歌として流れたらピタリとはまるかもしれません(…と書いた後、アニメ最終話のエンディング・テーマとして使われました)。

音だけでイメージすると、似合いそうなのは首都であるバードン区でしょうか。地下鉄が張り巡らされ高層ビルが立ち並ぶ大都市。夜の片隅で囁かれる一対の言葉、それを静かに包む音。


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