Swedish House Mafia and Sting「Redlight」:EDMスターが描くトライアングル、ロック・スターが吹き込む歌声と新たな生命
Swedish House Mafiaは、2010年代の前半にEDMシーンを牽引したグループのひとつです。このEDMトリオは2013年に解散したものの、2018年に再び集結しました。そして2022年4月に満を持して、再結成してから初めてのアルバム『Paradise Again』を発表します。アルバムに先駆けてリリースされた曲が「Redlight」です。
重くて地を這うような音が印象に残ります。ベースやキックの音が良いエレクトロニック・ミュージックは宝物です。重なるシンセサイザーの音は美しく、それでいて不穏な空気を漂わせます。闇夜に灯る赤い光は否応なしに気持ちをかき乱すものです。
「Redlight」の大きな特徴は、やはりStingとのコラボレーションであり、さらにThe Policeの「Roxanne」の詞や歌メロが使われていることでしょう。リメイクと呼ぶのは難しく、もはや別の曲です。オリジナルの曲調はレゲエ・テイストに軽快さを感じる一方で、「Redlight」では緊張感に満ち、張り詰めた空気が漂います。落差の大きさを楽しめるアプローチです。
「Redlight」を聴いて「Roxanne」を思い浮かべる、あるいは僕のように知らなかった人は新たに聴いてみる。「Roxanne」と「Redlight」のボーカル表現の違いに注目する。Stingの歌声を活かすSWHのエレクトロニック・サウンドを味わう。いくつかの世界が層を成してひとつの曲を構成しており、どこに意識をフォーカスさせるかで響きが変わるのではないでしょうか。