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ORESAMA「ワンダードライブ」:鮮やかなグラデーションを描いて駆け抜ける歌声

ORESAMAというデュオのデビュー・シングル「ワンダードライブ」がにリリースされました。歌も音も鮮やかに舞うポップな曲です。この曲は、アニメ「アリスと蔵六」のオープニング主題歌として4月からオンエアされています。リリースの1ヶ月前には、ミュージック・ビデオが公開されました。

まっすぐ伸びやかな音が印象に残りますが、特にシンセサイザーが響くところはとても心地好い。このあたりはサウンド・プロデューサーである佐藤純之介さんの狙いでしょうか。彼は「TM NETWORKフォロワー」のひとりであり、Sound & Recording Magazine誌で『QUIT30』や『GET WILD SONG MAFIA』について、クラムボンのmitoと対談しています。シンセサイザー・サウンドへの感度はかなり高いことは明白です。

閑話休題。「ワンダードライブ」の魅力のひとつは、ぽんのボーカルです。♪フリーウィル 針を振り切って♪ ♪フリーウィル もっと遠くまで♪ の部分が特に好きですね。くるくる表情を変える曲の中で、歌声が鮮やかなグラデーションを描きます。甘めの声、切なくて儚いようにも聞こえる声、追い風を背にしてエネルギッシュに駆け出す声。彼女の歌は音の世界に奥行きを与えます。

彼女の歌を初めて耳にしたのは、ONE III NOTESの「Shadow and Truth」です。偶然目にしたアニメ「ACCA13区監察課」のオープニング・テーマが強く印象に残り、「この曲を歌うシンガーは誰だろう?」と思って、興味を引かれました。歌の雰囲気はONE III NOTESとORESAMAでは大きく異なるため、その落差もまた魅力なのかなあと思います。

青い髪の女性と金髪の女性が鏡越しに向かい合う。物語は音に乗り、音を媒介にして、二つの世界を往来します。カラフルでマジカルなトイボックスが広がり、ひとつの扉が開くと、その先には次の扉が待っています。三次元の世界と二次元の世界が交錯して、瞬きをするたびに世界が移り変わります。

くるくる回って表情を変える世界、走るだけでは追いつきません。かつてアリスはワンダーランドを駆けました。ここのワンダーランドにはドライブがよく似合う。ハンドルを握ってアクセルを踏み込み、この世界を駆け巡るのです。


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