Ariana Grande「Problem [feat. Iggy Azalea]」:表情を変える歌声、光が描くサンバースト模様の影
Ariana Grandeは今さら説明を尽くすまでもない知名度抜群のシンガーです。Zeddが参加した「Break Free」で彼女の歌声に驚き、魅せられました。もっと聴いてみたいと思い、「Break Free」が収録されたアルバム『My Everything』にアクセスします。
『My Everything』を聴いたとき、第一印象で気に入った曲が「Problem」です。特にインパクトが大きかったのは、イントロで鳴り響くサックスのスリリングな演奏。その後も随所で存在感を放つ音です。
さらに「Problem」の特徴として「タイプの異なる声の交錯」が挙げられます。ささやくような男性のコーラス、Iggy Azaleaのハスキーなラップ、そしてArianaの歌声。異なる声が曲に多様な表情と立体感を与えます。
Arianaの歌は芯があって鋭くクールに響きますが、それでいて時として、誘うように甘くもなる。歌声の表情のギャップが緩急を生み、聴き手の心をつかみます。また、声の違い、歌とラップの違いなど、IggyのパフォーマンスはArianaの歌と対極にあり、そうした位置関係が曲に遠近感を持たせていると思います。
「Problem」はミュージック・ビデオの他に、リリック・ビデオも公開されてました。歌詞だけを表示しているわけではなく、画面にはArianaとIggyが登場します。「Problem」のリリック・ビデオは言葉を重ねたもうひとつのミュージック・ビデオといえるのではないでしょうか。
光が描く影の世界。渦を巻くように歪んだサンバースト模様は、サウンドと同化しながら、Arianaの瞳を強調しています。瞳の中に、白と黒の世界が吸い込まれていくようにも見える。モノクロームに染まった世界の中で、その眼にたたえた光が鮮やかに輝きます。見た者すべての視線を集めて呑み込む瞳です。