tohko「Children of the New Century」:1999年に新しい歌声で新しい生命を得たメロディ
音楽誌の写真や文章だけで知っていたアーティストが、何かの拍子に自分にとって意味のある存在になる――そうした出来事が時折起きます。そのひとりがtohkoです。1999年に発表されたアルバム『cure』を20年ほど経って初めて聴き、素敵な歌声に感動しました。
小室さんが書いた「tohhikoh」や木根さんが提供した「YESTERDAY’S DREAM」など、どの収録曲もtohkoの歌声とメロディが馴染んでいて、気持ちよく聴けます。なかでも強く印象に残った曲は、アルバムの開幕を飾る「Children of the New Century」です。TM NETWORKのカバーであり、オリジナルは1987年にリリースされました。
前から好きだった曲のカバーはオリジナルと比べがちですが、このカバーは個人的に違和感なく聴けます。オリジナルの雰囲気を感じつつも、新しい印象を与えてくれるアレンジです。切れ味の鋭いギター・サウンドや、気持ちいいタイミングで鳴るスネアやコンガの音に心が奪われます。
繰り返しになりますが、『cure』を聴いて思い浮かんだイメージは「歌声とメロディが馴染む」であり、それは「Children of the New Century」にも当てはまります。彼女のために書かれたメロディと言いたくなるくらい、明るく透き通った声や跳ねる感じの歌い方が、この歌メロにマッチしていると思えます。ウツの歌とは異なる新しい世界を見せてくれた歌声。新しい生命を得たメロディが輝く様子は聴いていて心地よいものです。
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