ORESAMA ワンダーランドへようこそ ~in AKASAKA BLITZ~
ORESAMA ワンダーランドへようこそ ~in AKASAKA BLITZ~
2018-09-13 at AKASAKA BLITZ
ワンダードライブ/Waiting for.../cute cute/ようこそパーティータウン/Listen to my heart/Dreamin’ Pops/モニ子 DJプレイ:迷子のババロア, KARAKURI, etc./ホトハシル [with MARU, YU of ELEVENPLAY]/Trip Trip Trip/耳もとでつかまえて/「ねぇ、神様?」/オオカミハート/銀河/Hi-Fi TRAIN [with MARU, YU of ELEVENPLAY]/流星ダンスフロア [with MARU, YU of ELEVENPLAY]/Shadow and Truth [with Foggy-D of ONE III NOTES]/乙女シック
ステージに立つ影が、音に乗せてレーザー光線を操り、観客を違う世界に導く。光は色を変え、折れ曲がり、広がってワンダーランドへの架け橋となります。やがてレーザー光線を操っていた影がステージを去ると、ORESAMA(ボーカル:ぽん、ギター:小島英也)とサポートメンバー(DJ:モニ子、ベース:三浦光義)が姿を見せます。ぽんが中央に立つと、彼女の合図でステージが光に包まれます。
2018年としては三本目となるワンマンライブ「ワンダーランドへようこそ~in AKASAKA BLITZ~」は、「ワンダードライブ」から始まりました。最新シングルの「ホトハシル」やその収録曲「ようこそパーティータウン」、ライブの定番となっている「Listen to my heart」、「オオカミハート」、「銀河」などが披露されます。「Waiting for...」では会場をEDMサウンドで満たし、「cute cute」でサックスの音と軽快なステップで会場をダンスフロアに変えます。
ライブが中盤に差し掛かると、ORESAMAのライブではお馴染みとなっているモニ子のDJプレイが披露されます。DJブースがいつものライブより高い場所にセッティングされていたため、そこで音を操り、観客を煽るモニ子のプレイは、EDMのライブさながらのインパクトがありました。音もヘビーで厚く、強烈な四つ打ちとシンセサイザーの音で会場をヒートアップさせます。
DJの最中にスタッフがステージ中央の足場を片付け、マイクのスタンドを置きます。ステージを広くしているのだろうか? 動ける範囲を広げるとすれば、導かれる結論はひとつ。——その答えはすぐに出ました。ぽんがステージにぽんが戻ってマイクスタンドの前に立つと、彼女の後方、左右に一人ずつ人影が立ちます。ミュージック・ビデオにも使われた映像と光とともに始まる新曲「ホトハシル」。左右の二人がパフォーマンスを披露し、ぽんは歌いながら部分的に振り付けを合わせます。昨年からずっと抱いていた願いのひとつが実現しました。
その願いとは「ORESAMAのライブでELEVENPLAYとの共演を観たい」です。ELEVENPLAYは演出振付家MIKIKOが主宰するパフォーマー/コリオグラファー集団です。ORESAMAとの仕事は「ワンダードライブ」のミュージック・ビデオの振り付けから始まり、次のシングル「Trip Trip Trip」からはミュージック・ビデオにメンバーのMARUとYUが出演しています(振り付けは同じくメンバーのNON)。「ホトハシル」のミュージック・ビデオでは振り付けのNONだけの参加でしたが、このライブでMARUとYUが踊る姿を観ることができました。二人は「ホトハシル」が終わると一度退場し、終盤の「Hi-Fi TRAIN」と「流星ダンスフロア」にも参加して、曲を視覚的に盛り上げる役割を担いました。
アリーナ規模のライブとは異なりBLITZのステージはコンパクトです。けれども、そうした空間でもMARUとYUはダイナミックな動きを見せます。「Hi-Fi TRAIN」の途中で左右の位置を入れ替え、「流星ダンスフロア」では前に出るタイミングもありましたが、移動という点ではこのくらいだったと記憶しています。観る側の視点移動が少ないと、動きのダイナミックさをより深く感じ取れるのかもしれません。また、移動が制限されることで、むしろ身体表現にリソースを費やせるという面もあるかなと思います。
ミュージック・ビデオを観たときは二人のパフォーマンスに柔らかい印象を抱きましたが、目の当たりにするとその力強さが印象に残りました。全身をコントロールするタフなパフォーマンスは、これまで抱いていた「ステージを華やかにするダンス」というイメージを打ち砕き、リアルタイムで刷新していきます。ファンキーなサウンドの中、美しく鋭く力強く描かれる曲線と直線。「パワフルな流線型」とでもいうべき動きに圧倒されながら、そのパフォーマンスから目が離せませんでした。音が身体を動かし、身体が音を煽ります。すごかった…
ライブの本編は「流星ダンスフロア」で終わります。アンコールに応えてメンバーが登場すると、バリトン・サックスの音が繰り返し鳴り響きます。奏でるメロディはONE III NOTESの「Shadow and Truth」。何度聴いても心を熱くさせてくれるフレーズが、会場を満たしていきます。ライブの本編が終わって一度クールダウンした会場を温めていきます。
ORESAMAとELEVENPLAYの共演の他に、僕が願っていたことがあります。それは、ぽんがボーカルで参加したONE III NOTESの曲をORESAMAのライブで聴くことです。その機会がついに訪れます。ライブの前にゲストの名前が公開されたとき、ついに叶う…と拳を握りしめました。ライブ中はELEVENPLAYの衝撃ですっかり忘れていましたが、「Shadow and Truth」のフレーズが鳴り響いた瞬間にぱっと思い出しました。2つの願いが同じステージで叶うことなんて、そうありません。
ぽんがゲストの名前を呼ぶと、勢いよくラッパーのFoggy-Dが登場しました。光を浴びた瞬間からトップギアで観客を煽る煽る、ここぞとばかりに煽る。イントロで彼がシャープな英語詞ラップを披露すると、バトンを受け取ったぽんの歌が始まります。Foggy-Dはラップの合間に曲の随所で観客をアジテートしており、ORESAMAの二人とは違う雰囲気のアグレッシブさが新鮮でした。ぽんの歌もまたORESAMAの曲とは少し異なり、鋭さを含んだ歌声を聴かせてくれます。Foggy-DをフィーチャリングしたORESAMAの曲もいつか聴いてみたいと思いました。
そして「ワンダーランドへようこそ~in AKASAKA BLITZ~」は、これまた定番の「乙女シック」で幕を下ろしました。ORESAMAのライブは回を重ねるたびに会場が大きくなり、ステージ演出も進化しています。セットリストには初期から演奏し続ける曲が並ぶ一方で、新たなアプローチを見せる新曲も顔を連ねます。新旧が交錯しながら「ORESAMAの最前線」を作り出す。現在進行形で広がり続けるその縁に僕らは立ち、素晴らしい音楽体験を得ているのです。
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