trf「ISLAND ON YOUR MIND」:音が言葉が声が円を描く祝祭的なエレクトロニック・ミュージック
trfが音楽シーンで存在感を高めたのがシングル「EZ DO DANCE」であることは言うまでもありません。けれども、よく考えたら初期のtrfをほとんど知らないことに気づいたので、この時期のアルバムを聴いてみました。1990年代前半へのタイム・トリップを経て、二作目の『EZ DO DANCE』に収録された「ISLAND ON YOUR MIND」の素晴らしさを知ります。
「ISLAND ON YOUR MIND」を聴いて思い浮かんだイメージは、いくつも重なる円です。メロディが描く円、歌詞が連なって形作る円、ループする音が生み出す円。曲を構成する要素がことごとく円をイメージさせます。ぐるぐると回るアトラクションのように、聴く人を音楽世界に巻き込み、虜にするエレクトロニック・ミュージックです。
Verse、♪風と泳ぐよ♪から始まるPre-Chorus、♪That’s the way♪から始まるChorusという構成はシンプルですが、徹底した同じフレーズの繰り返しが意識を侵食します。Pre-ChorusとChorus、それぞれに異なるリズミカルな言葉運びが魅力的です。前者では日本語で言葉を際立たせ、一方の後者では英語で流れるようなリズムを生み出す。バックトラックのノリの良さと相俟って高揚感が生まれ、晴れやかな雰囲気を醸します。
Pre-ChorusとChorusが大きなインパクトを与える要因として、音や歌詞の他に挙げられるのが小室さんのコーラスです。リード・ボーカルといって差し支えないくらい、小室さんの声が前に出ていることに驚きます。YU-KIが歌うVerseとDJ KOOのラップ以外が小室さんの声なので、ソロ曲と錯覚しそうなほど強く印象に残りました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?