Dimitri Vegas & Like Mike vs David Guetta「Complicated [feat. Kiiara]」：シンセサイザー・サウンドと歌声は同じメロディを奏で、一枚の絵を描く

Dimitri Vegas & Like Mikeは、ベルギー出身の兄弟が結成したEDMデュオです。2017年、EDMシーンを築いた立役者のひとりであるDavid GuettaとDV&LMが組み、ボーカルにKiiaraを迎えて「Complicated」を制作しました。

聴く人を包み込むようなシンセサイザー・ミュージックです。ゆるやかなテンポにのせて、シンプルながらもキャッチーなメロディをエレクトロニック・サウンドと歌で表現します。異なる色の絵の具で同じカンヴァスに絵を描いている、とでもいいましょうか。音と歌は重なり、ときに乖離し、あるいは絡み合い、ほぐれる。

僕はKiiaraの歌を、LINKIN PARKの「Heavy」で初めて聴きました。Chester Benningtonの力強い歌声と対峙しても、霞むことなく屹立する。そういった確かな存在感を彼女の声に感じました。この「Complicated」でも、Kiiaraの魅力的な歌声を堪能できます。シンセサイザーのリフを従えたり、あるいは寄り添ったりすることで、胸を打ち、心に刺さる響きを生み出す歌声です。

ミュージック・ビデオは、ダンサーの躍動感に満ちたパフォーマンスを鮮やかなカメラワークで収めます。カラーの異なるダンスが交錯する合間に、ピンクの長髪を揺らすKiiaraがリップシンクで登場します。ダイナミックさとシンプルさが共存する映像であり、どこかコンテンポラリー・アートのような印象を受けました。