奇跡が起きた理由を考える(登録日本語教員試験で求められるもの)

四半世紀以上の昔に検定に合格しただけでアップデートされていない、古い知識のままの私が、どうやって登録日本語教員試験(Fルート)に合格したのか。

自分でも奇跡だと思うし、これをやったら合格する!というものではないけれど、Xで質問されたことをきっかけに、改めて考えたことを記すことにした。

振り返ると、私の試験(対策)に対するスタンスは、日本語教師としてのビリーフと繋がっていること感じた。

これまで、JLPTに関し「合格する(させる)ために問題集を解く」ような授業はしたことがなく、「きちんと力がつけば自ずと合格する」がビリーフだったのだが、結果的に自分の試験対策も同じような経過を辿ってきたように思う。


今回の試験にあたっては、いわゆる赤本や日本語教育能力検定試験の過去問はほぼ手を付けていない。試験の前日に去年の聴解問題を解いただけ。

‪では何がよかったのかというと、これまで本を読んだりセミナーに参加してきたりしたことが役に立ったのだと思う。

本を読む・セミナーに参加する

大学の授業や養成講座なら教師が説明してくれるので不要だと思うが、私のようにほぼ独学(?)で深い知識の穴(むしろ谷)を埋めようという人には本を読むことをお勧めする。

まだ全部読めてないものもあるが(汗)、好きな本やお勧めのツールは以下の通り。
(アフィではありません念のため)

① 第2言語習得
畑作先生のこちらのご著者は語りかけるように書かれているため、私のような門外漢にもわかりやすい。
研究が進んできた経緯や考え方の裏付け、背景を理解し、そしてその理論をどう実践に落とし込むか噛み砕いで具体的に教えてくれる。
新人も私のような古い化石も、みんなみんな読むべし。


それから、外しちゃならない小柳かおる先生のご著書。

他にもたくさん、第二言語習得に関する本はあるが、やはり基本的に本と論文だと思う。
TBLTやCLILに関するセミナーにも参加するようにしている。(授業で実施できずとも部分的に取り入れられないか考えるだけでも面白いから)


② 日本語教育の参照枠
認定用カリキュラムの作成のため何度も資料を開いたが、読むたびに「お前は一体何を言いたいんだ」と脳みそが思考を拒否し、目が滑りまくって全く頭に入らず。しかたがないので、原点に立ち返り、CEFR から理解するよう努めた。

「日本語教育の参照枠」
(・・・みんなこれ読んで理解できるの??
整理されてるようで、削ったり端折ったりした部分がたくさんあるせいで、初心者には全く理解不能だと思うんだけど、違う?私がアホだから理解できないだけ?)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/93476801_01.pdf

ということで、知識なさすぎて補完のために読んだのはこちら(ド定番)

奥村先生のセミナーにも何度も参加した。日本語学校教育研究大会から始まり、大阪YMCA日本語教育センターさんのセミナーにも繰り返し出た。
それから、CEFRの原典にも手を出した。
ただ、こちらも目が泳ぎまくって、ページ飛ばしまくったことは言わずもがな。それでも、参照枠でわからなかった部分が少し埋まる気はした。

(今見たら、CEFR-CVの翻訳版が載っていたサイトがNOT FOUNDになっていたので、アクラス研究所のサイトを貼ります。嶋田先生ありがとうございます!)



⓷ 著作権
著作権に関しては、数年前に文化庁のサイトをよく見ていた。
テキストも無料でダウンロードできるし、年度初め(5月ごろ)~8月ごろまでにセミナーも毎年実施しているので、それに参加するようにしていた。

あと、著作権に関しては我妻潤子先生のセミナーが好きで、見かけたら必ず参加するようにしている。
ぼんやりした頭にはそのスピードについていけないことも多いが(いや、だから何度もセミナー参加してるんだけど)、日本語教師の株式会社立の日本語学校の立場をしっかり理解して教えてくれるので、大変わかりやすい。
以下は我妻先生が寄稿されたアルクのサイト。


④ 聴解
音声に関してはこちらのシートにひらがなを書き込みながら覚えた。
視覚優位で老眼の私には、カラーではっきり目で覚えるのがよかった。
視覚からのインプット。刷り込み大事。

しかし、聴解問題の出来は悪いので偉そうなことは言えない。

学習者の発音は、仕事柄聞き慣れているので「おっ、ベトナム人。口蓋化するか?」とか「あ、これは中国人。だなら?」とか予測しながら聞いていたが、実際に聞くとどこの部分が問題なのか下線引いておいてほしいわ!と、突っ込みを入れたくなるほど、問われている箇所が分からなかった。音声の練習問題がないので、検定試験の過去問で練習するしかないかな。


⑤用語
アルクの「日本語教員試験 対策用語集」の本もよかった。
説明口調で書かれていて、親しみやすかった。(ありがとう岩田さん)
このアプリで基礎用語‬を確認し、定義があやふやなところ、分かりにくいところを本で確認した。
(しかし、今また既にあやふや。すぐ忘れゆくね…私のシナプス繋がれ…)


振り返りの振り返り(まとめともいう)

つらつらと書き連ねてきたが、結論は、「ついった(X)で人気のセミナーには出ておけ」「ついった(X)で勧められた本は読んどけ」ということである。
上には書いていないが、数年前あひる先生のインストラクショナルデザインのセミナーにも参加し、今、血肉になっているのを感じる。


なお、落ちたら来年もFコースで再受験したいと思ったが、何年やっても合格する見込みが立たないのが予測できたので、失職するわけにはいかず、試験の前に講習ⅠとⅡも申し込んでおいた。
(ホントは試験前に試験対策として視聴するつもりだった。やる気だけは一人前)
これをしっかり視聴していれば、上記の本を読んだりセミナーを受講したりと同じ効果があるのではないかと思う。
令和11年まで視聴可能なんだったかな?
すごくお得だと思う。

冬休みに見るつもりだ。
楽しみ。