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美しく、去れたなら

「隣人の愛を知れ」

どうしてか、人生は真っ直ぐに作られていないようだ。

少し近道ができたり、逆に遠回りになってしまったり、
けれど遠回りしたことでまた新しい道に繋がっていたり…
人生は選択の連続なのだと、いい出会いに巡り会うたびに思う。

人生の選択の中で、恋愛はどれほどの選択肢を左右するのだろう。
恋愛体質、そうでない人、それによってもまた違う気がする。

この本の登場人物6人には、それぞれが愛した人に捧げた人生があった。
愛は永遠ではない。
裏切りや突然の出来事によって、その人生が狂うこともある。
その時、愛した人を責めることで本人の怒りを鎮めることはできるのだろうか。

どんなに責めたって、謝罪を求めたって、慰謝料を請求したって、
根本の遣る瀬無い思いを晴らすことはできず、
二人の関係が狂ってしまった事実は何も変わらない。

ならば、その事実を、事実として受け入れ、ただ進むしかないのではないか。
それしか、自分自身を幸せにすることは出来ない。そう思う。

自分が愛している人に、愛する人ができた。それを隠されていた。
きっと絶望と憎しみでいっぱいになってしまう。
けれど愛している人の選択だって、存在する。

どんなに口約束を交わしたり、書面で契約を結んでいても、
感情はコントロールできないもの。

許せないけれど、許してまで愛している人を引き留める理由はどこにあるのか。
実はないのかもしれないと頭に少しでも過った時、
離れる準備はすでに整っている。

去り際は美しくいたいもの。

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