スマホと画面サイズと難民
最近Twitter上のスマホコミュニティでは新しいXperiaについての期待で意見が溢れかえっています。
予想ではカメラ特化とされていますがXperiaが過去に出したXperia Z Ultraと呼ばれるスマホよりはでかいしタブレットとしてはコンパクトな6から7インチ近い端末がありました。人々はこれを「ファブレット」と呼びました。
代表的なXperia Z Ultraは2013年発売の6.4インチで
縦幅179.4 mm,横幅92.2mm,厚さ6.5 mm
しかも212g
と今から考えてもアホみたいに軽くSoCはハイエンドだった
Snapdragon 800 とめちゃくちゃイカれています。いまだにイオシスでは5000円ほどで取引されていますしいまだにオークションで盛んに取引されています。当時からauの施策で安く手に入ったこともあり刺さる人にはとても魅力を加速させていました。
ちなみにこの16:9ディスプレイが主流だった時代、このようなファブレットとしては
Galaxy Mega(2013)や Zenfone 3 Ultra (2016)なんかもありこういう端末は結構外国人にも需要がありました。(イオシス)
スマホサイズとしては
ディスプレイの画面占有率に重きを置き追求してきたXiaomi MixシリーズのXiaomi Mix(2016)や
大型のフラットディスプレイのフラグシップスマホHUAWEI Mate9(2016)
Xperiaシリーズ迷走の代名詞とまで言われてしまい全く売れなかった
ソニーのXperia XZ2 Premium(2018)なんかがありました。
しかし、ある大きな転換点で業界全体で流れは変わってしまいました。
そう。
あの世界一売れるリンゴを齧ったマークのメーカーことAppleのiPhoneです。
2014年から2017年までは先述の大型スマホユーザーためのiPhoneとしてiPhone6PlusからiPhone8Plusは存在しました。
しかし、この流れは現在のiPhoneデザインの元祖である
5.8インチのiPhoneX(2017)が登場。
ホームボタンを廃止したことでアスペクト比が16:9から19:9へと変更されたことでスマホはディスプレイ部を増やすため細長くしてもいいんだと業界トレンドを明確に決定づけてしまいました。
そして2018年には当時史上最大のiPhoneとして
6.5インチのiPhoneXsMax(2018)
が登場、今ではデザインや画面占有率の改善により
6.7インチのiPhone13ProMax(2021)
が登場し特にSoCもA15 Bionicは現状最高クラスのスマホ向けチップのため大型のスマホという立場を明確に支配しました。
しかし、これに対抗できる会社があります。それはサムスンです。
サムスンにはGalaxyという大きなスマホブランドが存在しその中にNoteシリーズと呼ばれるSペンによる収納可能なペン操作ができるGalaxy Noteシリーズが存在します。
iPhoneXが出てアスペクト比の明確なトレンドを形成された時に対抗で発売した(Galaxyのが発売は早い)
GalaxyNote8(2017)などもアスペクト比18.5:9で横幅74.8mmで6.2インチ
なんかも出てiPhone,Android共に16:9から縦長のアスペクト比を目指すこととなりました。
そしてGalaxyとして明確にiPhoneのMaxサイズ対抗のために
Galaxy Note10+(2019)横幅77.2mm 6.8インチ
Galaxy Note20 Ultra(2020) 横幅77.2mm 6.9インチ
Galaxy S21 Ultra(2021) 横幅75.6mm 6.8インチ
#『』はこの時発売された大型スマホやファブレット枠となるもの#
と旧来の大型スマホの広い横幅を汲み取りながら縦長化によるアスペクト比の確保が行われていきました。
この縦長化というトレンドの流れは当然市場が大きい中国にも影響を与え
HUAWEI Mate20Pro(2018) 横幅72.3mm 6.39インチ
『大型スマホでありある種ファブレットのMate20XやHonor9X』
HUAWEI Mate30Pro(2019) 横幅73.1mm 6.53インチ
『HUAWEIのフォルダブルスマホMateX』
HUAWEI Mate40Pro(2020) 横幅75.5mm 6.76インチ
『HUAWEIのフォルダブルスマホMateX2』
#『』はこの時発売された大型スマホやファブレット枠となるもの#
と発売されていくようにiPhoneとGalaxyを常に意識してきたHUAWEIが発売するスマホにも影響を与え、2019年頃から次第にHUAWEIはアメリカのトランプによる制裁で次第に弱っていく中各社はHUAWEIの後釜を目指しハイエンドフラグシップからローエンドまで似たような縦長サイズを目指していきました。
しかしHUAWEIの後釜になりたいメーカーには総合的に評価の高いハイエンドフラグシップで横幅が広いものは少ないです。(広い横幅を75mm以上と定義)
例えば
oppo FindX3 Pro(2021) 横幅74mm 6.7インチ
Xiaomi 11 Ultra(2021) 横幅74.6mm 6.81インチ
『Xiaomi Mix Fold、Xiaomi Mix4(2021)6.67インチ,162.6 x 75.4 x 8 mm 』
#『』はこの時発売された大型スマホやファブレット枠となるもの#
このようにファブレットや大型スマホが追いやられていきその枠は一部の横幅のあるスマホかフォルダブルへと在り方が変化していったのは4つの理由があります。
・欧米とアジア圏で売れる,需要があるiPhoneの違い
・ディスプレイ供給の兼ね合い
・フォルダブルスマホの存在
・タブレットや大型スマホ専用UIの設計がめんどくさい
です。まず「欧米とアジア圏で売れる,需要があるiPhoneの違い」
について。
ひゅでポンブログさんの記事 にはiPhoneのシェア率について書かれており主に小型のスマホは日本人特有という内容ですが逆に大型スマホはどうなのかと記事から読み取ると無印とProがある分こちらの方が好調でありProMaxは少し少なめです。そして、現在もっとも競争が激しい中国市場では
よりこちらでもかなり無印サイズのiPhoneが好調です。
この無印サイズのiPhoneは
iPhone13(2021)146.7 x 71.5 x 7.7 mmで6.2インチと割と中間サイズが世界的にやはり需要が高いといえこれに影響され各メーカーではこのiPhoneと同じか少し大きめぐらいの横幅に収束していくと言えます。
そして日本でもこの流れは避けることができないため特にXperiaは21:9で細長いスマホになっていきました。
Xperia1lll(2021) 165 x 71 x 8.2 mm 6.5インチ
Xperia5lll(2021) 157 x 68 x 8.2 mm 6.1インチ
このことによって起こる一番の弊害は特にサービス期間が長いゲームではアプリケーションが16:9ベースで開発されていたことでアスペクト比が合わず縦長大画面が生かせない、YouTubeで動画を見るとき黒い領域が多く結局16:9スマホと表示領域が大差ない問題です。
特にわかりやすいのは
Xperiaでやるモンストは黒帯が出てしまい縦長大画面が活かせない
ということが起きてしまいせっかくの21:9が活かせないのような悲劇が起きちゃったりします。
これに関しては最近のアプリであるウマ娘や原神は遊びやすいように最適化してくれるのでまだ目を瞑れる範囲でしょう。
これらは結局は好みの問題と受け取られがちですし最近では
iPhone13ProMaxのA15チップがとてもパワフルで一番重いゲームである原神の推奨スマホであるため
(https://www.apple.com.cn/でゲームの例としてとても贔屓されている)困ったらこれを買えとしか言えなくなってきました。
なので、そこまで横幅のある大きいスマホを求めるのであれば今は高いですが在庫があるお店を探してiPhoneを買いましょう!!
さらにはiPadmini6もA15を搭載しており多少劣りますがファブレットや小型タブレットとしてはとってもパワフルと言えます。なので特にもう何も言わないのでApple製品を買え!!!
それしかもう言えない気がしてきました。
(ですがiPhone13ProMaxは角ばっているため結構持つのきついのでやっぱりエッジで大型のスマホが出てくれた方が嬉ししいですね。Appleはエッジはまず採用しないので)
・・・・・・これで話を終わりにしたくはありません。
2つ目には
・ディスプレイ供給の兼ね合い
です。
この記事に書かれている通り スマートフォンでお金がかかるのは
SoCとチップ系>ディスプレイ>メモリ>フラッシュメモリ>カメラ
でありディスプレイは単一部品と考えると大量にロット数を発注しない限り結構高くつきます。
なので、多くの会社はハイエンドフラグシップからローエンドまで大体作っていくのでできる限りディスプレイ規格を合わせた方がロット数を多く発注でき割引が効くでしょう。
2021年スマートフォン向けディスプレイメーカーの供給元業界シェア
iPhone13系列で採用される主要なディスプレイ供給メーカー
この2つを見て気づくことはありませんか?
それは今の高品質なスマホ向けディスプレイは
大体サムスン、LG、BOEと言ったメーカー群がとても強く
多くのメーカーではこれらの会社のディスプレイ採用を売りにしたスマホを多種展開するためどうしても、やはりディスプレイはできる限り同じものを流用したくなります。
よって、特殊なサイズの大型スマホやファブレットのディスプレイをわざわざそれこそ下手したらiPhoneやiPad miniに担われるであろうジャンルを専用ラインで製造してもらうことはとても困難になってきていることです。
3つ目には
・フォルダブルスマホの存在
です。先述した通り『』枠で出てきたがサムスンは業界で先駆けて2019年頃から大型スマホやファブレット枠の新世代製品としてフォルダブルを推進してきました。
フォルダブルとは有機ELが折り曲げ可能であることを活かしてスマホそのものを折り畳めばファブレットや大型スマホの枠を担えると見込み積極的に展開しています。
今年のGalaxy Z Fold3は防水防塵性能を強化し日本ではドコモとauから展開されFeliCa対応がされており一般的な家電量販店でもホットモックが見られるなどかなりの力を入れているためか予約している人も多くフォルダブル元年がきていると言えるでしょう。
フォルダブルの魅力として開くと7インチ、閉じるとサブ画面で細長いスマホになるという持ち運び性能の高さも伺えることから今後クオリティが上がっていけば間違いなくファブレットや大型スマホの枠で支配的な立場になれるでしょう。
そしてoppoは巻き取り式ディスプレイのローラブルで横幅を自在に操作できるためハイエンドフラグシップのスマホはそのうち画面が可変するのは当たり前になるかもしれません。
4つ目には
・タブレットや大型スマホ専用UIの設計がめんどくさい
ことです。
これは、Androidタブレットにも言える問題であり
Xiaomi Pad5(2021)にはMIUI for Padなる専用のUIや
HUAWEI MatePad11(2021)ではHarmonyOS 2.0 タブレット向けUI
Galaxy Tab S7(2020)ではOneUI タブレット向けUI
が搭載されておりこれらはマルチタスク機能を大幅に強化し本来Androidはスマホ向けOSであったものを無理やりタブレットPCライクに使えるように魔改造が施されています。
さらにはどう頑張っても結局は画面が大きくなったスマホでしかなくTwitterアプリもスマホ向けのものが強引に動いています。
スマホの普遍的な6インチから11インチにしようと思うとどうしても無理やりな引き伸ばしや解像度等の最適化は必須だと思われるためメーカーとしてわざわざファブレットや大型スマホを作るときとても大変な作業になろうかと思われます。
以上の大体4つの理由によりファブレットや大型スマホは今や需要が減り続けておりとてもニッチ市場と言えます。
実は現状ファブレット枠でギリギリ残ってて一番有名なのは任天堂スイッチくらいでしょう。
これは16:9 7インチほどで設計されておりテレビモードも備えていること、実はAndroidが動作できることからまさにその枠であると言えるでしょう。
・・・こんな現状ですがやっぱりファブレットや大型スマホがどうしても欲しい層はいます。
一応HUAWEIから独立したという荣耀(HONOR)は
HONOR X10 Max(2020)をリリースしており
今後も続投が出るとリークされています。
なので、このスマホのように例えばディスプレイはほぼ特注でできる限り安めで
・そこそこの質が保証されるベンダーを探す
・SoC性能を抑える
・中国のようなニッチでも規模がでかい市場を優先して発売し利益を得る
・ファブレットや大型スマホ購買層はカメラは別のスマホやカメラを使うのでカメラもローエンドのものを採用する
などやりようはあるかなとは思います。UI関連もAOSPライクで多少の妥協をすればどうにかなるかもしれませんし。
ですが、現状こんなことをやってられるのはZenfone8(2021)というコンパクトスマホを作ったASUSか中国系メーカーのさまざまな需要に応えれるXiaomiや中国市場のみと考えてもいいHONORぐらいになると思います。
Weiboでは投稿情報にどのスマホから投稿したという情報が表示できますがこれにたまに大型スマホ、ファブレットから投稿したと思われる方も見られるためもしあなたが本当にハイエンドの昔あったような大型スマホ及びファブレットを出して欲しいのであればここのコミュニティと仲良くなり団結してXiaomiなら雷军CEOに要望を送ってもいいのかもしれないですね。
最近のXiaomiはMIUIの改善に力を注いでおりTwitter上のコミュニティではMIUI再評価の動きもあるためユーザーの声はかなり拾ってくれると思いますから。