Nikon Zfという妄想論。懐古趣味はもう擦りすぎ?
度々話題になるNikon Zf
それはNikonが日本光学時代から積み上げてきたフィルム一眼の系譜を現代的な技術で再現しようというプロダクトだ。
競合他社のカメラとも比べると個人的に頑張ってはいるけどダサい。というのも売り上げにも表れているようだ。
これはシリアル番号を基にした出荷台数予想らしいがフラグシップよりも売れてはいる(一般向けNotプロ層の品なので当たり前)が、一般向け機としては売れていなさすぎるなど散々な結果で終わっている。設計思想として限りなく銀塩一眼レフを再現するためセンサーはD4のものを採用するなど意気込んだ結果がこれである。
これのせいで今中古ではそこそこプレミアがついてる。
しかし、懐古趣味というのは影響がでかいらしく富士フィルムやOMのミラーレスは大体どことなく銀塩一眼レフ風である。
しかし売上のトップには懐古趣味では敵わないのである。
ソニーやキヤノンは懐古趣味などない(ミノルタの系譜やEOSでの完全な過去との決別した)会社であるため銀塩一眼レフを彷彿とさせるカメラは見られない。
なので短絡的な発想だがカメラとして売れるためには銀塩一眼レフの懐古趣味デザインは必要ではないのでは?と考えられる。
そこに至る経緯としていくつかの理由を挙げる。
①すでに市場での需要が飽和している
まず①の要因はOMや富士フィルム、Nikonで銀塩一眼レフ風のミラーレス一眼が現在発売されているがこれだけ様々な製品が出ているのであれば消費者は自ずと発売されているものから選べばいいわけであり新品に拘らなくとも中古製品もあるためこれ以上何を求めるか、ということである。
Leicaのような高い実用性やデザイン、ブランディングはないのだからこれ以上を望む理由は見えない。
②デザインが安っぽいので所有感を満たせない
これについては自分が製品を店頭で見て感じたことではあるが現在販売されている銀塩一眼レフ風ミラーレスの外装はプラスチックや樹脂、部分的に金属といった現代的な手法で製造されており重量と堅牢性を兼ね備えた設計となってはいるが本物の銀塩一眼レフは金属の外装をしており本体の大きさも現行のミラーレスよりも大きく厚みも薄い、そこまで重くはないがずっしりとした持ち心地や金属と革張りによる触り心地良さといった特徴を持っており35mmフィルムでしっかりと撮影できる品質を担保してきた。
更にいうと機械式であるため堅牢性はデジタルをも凌駕し生産終了から2,30年以上は経過した現在でも問題なく継続して利用可能である。そのため今からでもフィルムさえあれば銀塩一眼レフで撮影ができてしまう。
銀塩一眼レフ風ミラーレスデジタル一眼カメラはどうだろうか?
このぐらいの年月が経つとデジタル一眼は規格の陳腐化や部品の劣化が目立ちまともに動かせない個体も増えてきている。また、機械式ではないため特徴的なゼンマイ仕掛けなシャッター音やレバー機構などは存在しなく銀塩一眼レフ風ミラーレスデジタル一眼はただデジタル一眼に銀塩一眼レフの外装を載せただけでしかない。加えて、銀塩一眼レフ時代のレンズを現行機に装着する場合フランジバックが全然違うことからマウントアダプターが必須でありデザイン性も損なわれるし銀塩一眼レフほどの製品寿命は見込めないといってもいい。
よって実用性よりも趣味性が先行してしまっており更に趣味性重視であるためコストもそこそこでいいため所有感も感じづらい。
③ターゲット層に馴染みがない
銀塩一眼レフには致命的な問題がある。それは触る年齢層が幼少期、思春期に銀塩一眼レフ直撃世代かどうかだ。
これは、1980年代の特に後半の時点でどんどんAF搭載や電子接点搭載など一気にカメラのデジタル化が進んでいき本体外装も銀塩では無くなっていったからだ。
カメラメーカーはよくレトロ風ブームのために銀塩一眼レフを出しましたと謳って若い層を取り込もうとしてはいるが若い層(10代、20代、30代くらい)の時点でフィルム一眼熟成期、デジタル移行期であり現代に通づるカメラを見て育ってきている。下手したら本物のフィルム写真の色すら知らず擬似的なフィルムの色しか知らないのだ。
そのためダイヤル操作よりボタン操作、画面を見ながらタッチ操作はザラであり最もよく見たカメラはEOSだと思うがそんなEOSに機械式の要素に影響を受けている懐古的要素はあるか? ないだろう?
どう考えてもそうだろうとしか思えない要素が多いため銀塩フィルム一眼レフを触ってきた直撃層かレトロ風ブームでカメラに興味を持った人にしか刺さらないと思う。直撃層は大多数は既に現行のデジタル一眼レフやミラーレス一眼で満足するしレトロ風ブームで買った若者も頻繁に買い換えないと思うので一回買ったら当分は使い続けるはずだ。
④性能を求められていない
これは現在販売されている銀塩一眼レフ風ミラーレス一眼に言えるが圧倒的大多数はいわゆるスチルさえ撮れればそれでいいファッション性重視のエントリー帯でありVLOGのような映像制作など1ミリも考慮されていない。ハイエンドのOM-1のような製品に至ってはOMブランドのアニバーサリー製品的側面を持つからでしかなくある種のニッチ需要向けに変わりはない。とはいえ設計は限りなく現代的であるため銀塩一眼レフ風とは完全に言い難い。
だいたい富士フィルムユーザーは動画に興味なくてSNSにポエムを書くしか興味ないしOMは動画とは無縁でNikonはZマウントのAPS-CはZ50,Z30と同じ部品を流用することで誕生したコストカットバリエーションでしかない。なので一度爆死したDfと同じハイエンド要素は要らないのである。
じゃあ、どういうカメラデザインならいいの?
ある程度の売上が見込めて斬新に見える、安っぽくは感じないデザイン。
それこそAFフィルム一眼レフ風にすればいいという論がネット上で話題である。
この並び、妙に違和感がない。確かにこれならデザイン的な古めかしさやダサさを感じさせにくい状態で最新のミラーレス一眼を作れる。この風潮はLumixにも見られる。
確かにこの系譜なら現代の外装素材と相性はいいと思えるしミラーレス一眼として設計がしやすそうだ。
また、性能に関してもNikonの場合Z9/Z8でスチル勢だけでなく動画勢にも受け入れられる要素に重点を置く(堅牢性のあるボディで8K収録、RAW動画内部収録、少ないローリングシャッター、高度なAF)が挙げられる一方でZ7はZ8の登場で不要に、Z6はスチル勢と動画勢どちらにも程よく提示することが可能なバランスの良いコンセプト(高感度時のノイズ耐性が強い)である。
しかし、スチル性能を限りなく優先した機種(D850の真の後継)が存在していないためいまだにZマウントメインにできない層は少なからず存在しておりD850が販売終了するまでに駆け込みで複数個買い溜めするユーザーまで存在する。
そのため、ZfはDfの二の舞になるような変な懐古趣味をやらなくても済むZfcを出した以上登場はせずD850の真の後継機(Not Z8)を出す気があるのであればF4ベースデザインで開発すればミラーレス一眼移行がより促進されるのかもしれない。
今のNikonはZマウントで大幅リブランディングを達成し今後も成長が期待できることから一眼レフユーザーの需要を限りなく拾い上げながら動画勢をZ9系とZ6系で広めつつ純粋にスチルを強化した既存ユーザー向けの高品質な製品展開をすることを期待している。
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