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未来が見えないので空港にいます
東京に来たら、大学生になったら、何かが変わる気がしてた。
仲間たちと夢を語り合いながら、キーボードを叩く
キーボードを叩く指先は軽やかで、思考は明晰——
でも現実は、頭の中は雑音だらけで、
キーボードを叩く手は迷いながら止まる。
キャリア、家族、恋愛、未来への漠然とした不安。
社会に貢献したいとか、子どもの権利を守りたいとか大きな夢をえがき行動してるけれど、良くも悪くも結局のところ、私はただの迷える20歳の女の子。
それでいいんだよ20歳って感じじゃんってみんな言うけど、本当はもっとエネルギッシュに頑張りたいのに、最近の私は悩んでばかりでクヨクヨして、ほんと見てられないの。
というわけで、とりあえず人生に迷ったので国外逃亡することにした。
計画?ない。
語学?まあ、なんとかなるでしょ。
行き先?とりあえずアジアのどっかでいっか。
何かに行き詰まったときに、私は決まって「環境を変えればなんとかなる」と思い込む癖がある。
高校時代もそうだった。閉塞感を打破するために社会活動に飛び込んだ。
大学生になってからだってそう。子育ての未来を変えたいと言いながら活動し、NPOの経営をし、教育系の団体に行くつも所属してサービスを作ったり現場に出たり、いつも「何か」に向かって全力疾走している。
でも最近、その「何か」が最近、わからなくなってきた。
頑張れば頑張るほど、何かを見失う気がする。
肩書きを増やすたびに、自分自身が薄まっていくような気がして、ふと怖くなる。
だから逃げる。
いや、これを戦略的撤退と呼びましょう。
迷子になりながら、この愉快な人生のパズルのピースを探す旅に出るの。
たぶん、壮大な答えは見つからないよね。でも、一つくらいは「これだ」と思える瞬間があるかもしれないわきっと。
20歳、大学2年生の春休み、大学生活はちょうど半分、私はアジアの片隅で人生に迷いながら、新しい景色を探しに行くことにする。
さて、何が見つかるかしら