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長島哲太選手インタビュー①〜レースについて〜

※はじめに:この記事の内容はYouTubeで動画も公開しております。是非ご覧ください。



こんにちは!Ami.Uです。


今日の記事は超スペシャルバージョンです!

なんと!!!ロードレース世界選手権MotoGPの真ん中のクラス、Moto2クラスに参戦中の長島哲太選手に特別にインタビューする機会をいただけましたので、その内容をお届けします!!!

大変お忙しい中、快くインタビューに応じてくださった長島哲太選手、マネージャー様、本当にありがとうございます!

長島選手のSNS等のアカウントを載せておきますので、ぜひご覧ください!

twitter: https://twitter.com/tetsuta45

instagram: https:///www.instagram.com/tetsutanagashima

YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCbxrwv5qbfG6QtKPe5aNiGQ


このインタビューは4つに分けてお届けします。

第一弾:レースについて(今回)

第二弾:長島哲太選手について

第三弾:カタールGPでの優勝について

第四弾:日本でのバイクの普及について(6月26日(金)公開予定)


この第一弾ではレースの基本的なことを長島哲太選手に教えていただきます。バイクやレースをあまり知らない人にも、この記事を読めばこの世界について少しでも知ってもらえるのではないかと思います。気になる質問だけでも、読んでいただけると嬉しいです!



1.まず軽く自己紹介をお願いします。

MotoGP、Moto2クラスに参戦している長島哲太です。よろしくお願いします。


2.どのようなレースに参戦しているのですか?

バイクレースの世界最高峰MotoGPというレースに参戦しています。これは車でいうF1と同じで、レース専用に作られた車両で、今は年間で20戦、国でいうと15カ国(注1)のサーキットを1年間で回りながらレースをしています。

(注1)今年はフィンランド戦が加わり、16か国になりました。


3.レースに参戦するのに、免許や資格は必要ですか?

特に免許とかは何も必要ないですが、一応自分たちが出ているレースはFIM(注1)ライセンスという国際的なライセンスが必要になります。それに準じて、国内のレースでもMFJ(注2)という協会がライセンスを発行しているので、そのライセンスを取得すると、レースに出ることができます

(注1)国際モーターサイクリズム連盟

(注2)日本モーターサイクルスポーツ協会

Q.ライセンスはどうやって取得するのですか?

ライセンスは申請方式で取ることができます。ライセンスの中にも種類があって、国際ライセンスという一番上のライセンスだと、レースの実績などが必要になるので、ある程度の成績を残すとそのライセンスがもらえるようになる感じです。

Q.それでは公道用の免許は必要ないのでしょうか?

免許は特に必要なく、むしろライダーは免許を持っていない人たちが大多数を占めていると思います。自分も一応中型免許までは持っているのですが、大型(注1)は持っていないです。

(注1)Moto2クラスのバイクは765ccで、日本の免許制度では大型自動二輪に分類される


4.どれくらいのスピードで走っているのですか?

自分が今出ているクラスですと、最高速で300km/hくらい出ていて、1周のアベレージスピードでも大体130〜150km/hくらいです。公道は大体60km/h規制だと思いますが、サーキットを走っていてピット(注1)という場所に戻ってくる時のピットロードの制限速度が60km/hなので・・・。かなり公道とは違うかな、と思います。

(注1)走行以外の時間にバイクを置いておき、セッティングなどをする場所

Q.怖くはないのですか?

怖さも全くないです。通常300km/hって想像すると「風がすごそう」とかがあると思いますが、自分たちが乗っているバイクというのはレース用に作られているバイクなので、バイクの外側のカウルという部分の空力がしっかり考えられていて、なるべく自分自身に風が当たらないように作られているので、300km/hでも意外と普通の状態です。なので目さえ慣れてしまえば、300km/hでも普段の生活と変わらないくらいだと思います。

Q.視界はやはり速く消えるのでしょうか?

そうでもないです。最初に大きなバイクに乗った時は視界が狭まっていくというか、周りが速すぎて見える位置がすごく狭かったのですが、慣れてくるとそれがどんどん広がっていって、最終的には普通の風景と変わらないレベルまでいきます。


5.あんな角度でコーナーを曲がっているのに、どうして転ばないのですか?

普段自分たちのバイクだと60〜63度くらいまでバイクを傾けることがあるのですが、その分スピードも出ているので。実は自転車とかもハンドルだけで曲がれないんですよね。曲がろうと思うと、ちょっと倒さないと曲がれないのと一緒で。スピードが出ている分、どんどん倒していっても、タイヤがゴムでできているので、それがしっかりグリップして転ばないようになり、逆に綺麗に曲がっていけます。意外とこれは科学的で、慣性や重力など色々な要素が絡み合っています。タイヤやスピードのバランス、重心の位置などがしっかりしたところにいると、寝かせても全然大丈夫です。

Q.計算されているからあの角度でも平気なのですね。

特にスピードが速いのがいちばんの要因ですね。例えば、公道みたいに30〜40km/hだと、あれだけ寝かせてしまうとそのままコテン、と倒れてしまうのですが、しっかりスピードが出ているとあそこまで倒しても逆に足りないくらいです。


6.レースの面白いところ・魅力を教えてください。

レースの魅力はやっぱり、四輪などの競技と違って、あのスピード感の中での生身のバトル、抜きつ抜かれつのレース。そして転倒シーンも派手なので、そういった部分も面白さの一つだと思います。でもやっぱりバトル、時速300kmオーバーの中で他のバイクを抜くという作業は、見ている側はすごく楽しく、面白いと思います。やっている側はちょっとヒヤヒヤしますが。繊細な動作が必要なので。そこがいちばんの魅力だと思います。

Q.迫力がありますよね。

そうですね、バイクの幅もすごく細いので他者を抜きやすい、バトルになりやすい、というのが特性としてあるので、そういったことも魅力の一つかな、と思います。


7.レースは何で見れるのですか?

自分の出ているレースですと、motogp.comというウェブサイト( https://www.motogp.com/ja/ )でレースを見ることができます。あとはテレビでいいますとスカパーの日テレG+さんで見れるようになっていて、地上波でも日テレで深夜にたまーにやってるかな・・・。あとは今、Huluでも配信されているので、少しだけ見ることができます。

Q.現地観戦はどこでできますか?

年間20回レースがあって、15カ国で開催されているのですが、日本では栃木県にあるツインリンクもてぎ( http://twinring.jp/ )というサーキットでその一つが開催されています。あとは全日本のロードレース選手権とかも(ツインリンクもてぎで)開催されているので、関東の方が行くのであれば、一番そこが行って楽しく、レースも楽しめる場所だと思います。


8.レース用のバイクと街中で見かけるバイクは全く違うものなのですか?

そうですね、もう全くの別物ですね。自分たちのバイクというのはレース用に設計されているものなので。まず一番の違いはミラーとライトなどの保安部品系が全くないことです。あとはスピードも市販のものと比べると全然速いですし、重量もめちゃくちゃ軽いですし、もう全然元が違うというか・・・。

Q.乗り心地も違いますか?

全く別物ですね。自分の場合夏の鈴鹿8耐というレースで少し(市販車に)乗ったりするのですが、ブレーキングポイントやブレーキのかけ方だったり、もう走らせ方が全く別のものになるくらい違うので。レーサー(バイク)の方が乗っていて楽しさはあります。市販車だと「誰でも乗れるバイク」というようなコンセプトで作られているので、限界がかなり低いのですが、レーサーのバイクだとレーサーが乗る目的で作られているので、幅は狭いのですが、その分できることが多いです。多分何の道具にしてもそうなのですが、プロ用のものって普通の人が使うとすごく使いづらいものがあるじゃないですか。そういうものと一緒で、レーサーバイクは慣れた人が乗ると速いけど、逆に不慣れな人が乗ると、「えっ」って思うような感じだと思います。


9.レース用のバイクはどれくらいの値段なのですか?

自分のバイクは全部で2〜3,000万くらいですね。値段は一応ついてはいるのですが、値段がつかないものも結構多いので。レース用で、大衆に向けての販売はしていないので、どうしてもコストは上がっちゃうんです。大量生産ができないので。そのバイク用にしか作らないものもあるので、値段は家が買えちゃうくらい高いですね。


10.バイクのレースは危険なイメージがありますが、安全対策はどのようなことがされているのですか?

どうしても危険なイメージというのはつきものだと思うのですが、ヘルメットやレーシングスーツという、自分たちがレース中に着ている革製の服があるのですが、その中にしっかりプロテクターが付いていたりします。ここ数年でいうと、エアバックというものが進化してきていて、背中に小さいセンサーが付いているのですが、それが転倒を感知すると、車とかと同じでエアバックが「ボンッ」とレザーの中で開くシステムがあるので、安全面に関してはかなり向上してきています。

Q.それがクッションのようになるのでしょうか?

そうですね、間に空気が入ることで衝撃がかなり和らぎますし、怪我のリスクがかなり下げられるものになっています。

Q.そういった技術も年々進化しているのですか?

ここ数年どんどん進化していって、それのおかげで怪我で欠場するライダーも減ってきていますし、昔より怪我が減ってきています


11.女性のライダーはいますか?

数年前にはこの世界選手権にも女性のライダーがいましたし、今も違うクラスの世界選手権に女性ライダーが走っていて、チャンピオンを取った方もいますし、全日本でも数名、女性ライダーで頑張っている子たちがいます。女性も男性も関係なくレースはするので、その中で女性ライダーの活躍というのはそんなに多くはないのは事実ですが、それでも頑張っている女性のライダーはいます。

Q.女性ならではのハンディキャップなどはありますか?

陸上などといった競技と違って「モノ」を使うスポーツなので、そこまで大きな身体的な差というのは出ないと思います。やっぱり最後の根性だったりは男の方が少しあるのかな、という気はしますが、女性でも男性と一緒に走って世界一を取っている子がいるので、そんなに大きくは変わらないのかな、と思います。


12.ライダーの年齢層や国籍を教えてください。

年齢層は、下は15〜16歳から、上は一部40歳がいますが、基本的には10代後半から20代前半が多いです。国はイタリア・スペインが今はすごく多くて、人気もありますね。日本人も計8名がMotoGPというレースに参戦しているのですが、それでも結構多い方だと思います。その中でどんどん日本人の結果も上がってきてはいるのですが、やっぱり人気の度合いでいうとスペイン・イタリアが一番すごいですね。


13.ライダー同士、仲良い・仲悪いというのはありますか?

そうですね、自分も仲良いライダーはもちろんいますし、逆に仲悪いライダーももちろんいます。ここ最近はオープンになってきているというか、同じクラスのライダー同士も仲良いのが目立ちますね。一昔前だと同じクラスのライダーは絶対に口を聞かない、チームメイトとは口を聞かない、など色々あったみたいですが、今は一緒にトレーニングもしますし、ライダー同士は結構仲がいいです。

Q.仲がいいライダーとはトレーニングを一緒にしたり、レースの時も話をしたりするのですか?

トレーニングを一緒にするのは結構色々なライダーがやっていますし、レースウィーク中も、例えば練習走行が終わった後にパドック(注1)で会ったら、少し「どうだった?」「こうだった」という話をすることはありますね。

(注1)ピット裏にある、ライダーや関係者が走行時間以外を過ごす場所


14.ライダーはモテますか?

自分個人的に言えば全くモテないのですが、海外だとやっぱりすごい人気があるので、海外選手とかは結構モテている印象はありますね。日本でもプロ野球やJリーグ並みに人気があったらモテるのかもしれないですが。まだ日本だとそこまでではないので、日本人だとちょっと「悲しい・・・」ってなっちゃうかな。

Q.日本人ライダーが海外に行くとどうなりますか?

向こうの人たちの方が積極的に連絡先を聞いてきたりとかはありますね。でもやっぱり結果次第なところは大きいですね。


15.ライダーあるあるを教えてください。

怪我が日常茶飯事というか、怪我に対する価値観が一般人と全く違うというのが一番あるあるかな。ライダー側からすると、骨折だとラッキーかな。骨折だと下手すると、手術すれば2日後には走れる状態になるので、骨折だったらちょっとラッキー。逆に靭帯をやっちゃたりだとか、指などの皮膚を削っちゃったりすると治るのにすごく時間がかかる、物理的に治しようがないので。骨折だと手術すれば治るので、まあ治るっていってもボルトで留めているだけなので痛いことは痛いのですが。それでもそういったものが「ああ骨折なんだ、よかったね」みたいな感じなのがライダーあるあるですね。怪我に対する価値観が違いすぎる。

Q.本当にその会話をするのですか?

そうですね、鎖骨の骨折とかだと「ああ鎖骨か、じゃあちょっと手術してきなよ。そしたら来週走れるじゃん。」みたいな。

Q.手術をして1週間後にレースに出るライダーもいるのですか?

ああもう全然。手術した2日後が最短なのかな、海外のライダーだと。

Q.痛くないわけではないですよね?

ではないですね、痛いです。自分も足の骨を折って、開放骨折でスネの骨が飛び出してしまったのですが、そこから3週間くらいでバイクに乗っていました。まあちょっと痛いくらいでそんなには、って感じですね。

Q.治癒能力が一般の人より高いのでしょうか?

医者とか行くと「治りは早い」って言われます。治りが早いというか、ちょっとくらい痛くても「大丈夫」って言っちゃうから、向こうも「えっ」ってなる時はありますね。

Q.我慢強いのですね。

そうですね、じゃないとライダーとしてやっていけないかな。痛いだけで走らないと、逆に走れなくなってしまうので。もうそこは我慢してでも走るしかないかな。自分も肩にヒビが入ったことがあったのですが、「痛い」っていうとレースに出れないんですよ。ドクターストップがかかっちゃうので。なので「何もない、大丈夫だ」って言い張ったのですが、医者に「その状態で腕立てしてみろ」って言われて。でもレースにはどうしても出たかったので、その場で腕立てして。ヒビが入っていたのでめちゃくちゃ痛かったのですが。でも我慢して腕立てしたらレースに出させてもらえて。もうレース中は痛みを感じないんですよ。

Q.それはアドレナリンとかが出るからでしょうか?

そうです。もう多分めちゃくちゃ出ているので。もう全く(痛みを)感じず、普通にレースしてましたね。




いかがでしたでしょうか?

この記事を読んで、少しでもバイクの世界に興味を持っていただけたら嬉しいです!

それでは、第二弾も楽しみにしていてください!

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!



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