友達がモバイルプランナーになりかけた話②
こちらは後編です。①はこちら↓
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〜前回のあらすじ〜
「就活の相談に乗るよ」と、ある日突然連絡してきた、携帯販売会社でインターンするB先輩!元営業ナンバーワンCさんを紹介され、そこから人事責任者Fに繋がれ、胡散臭いと思いつつなんだかんだで本面接に来てしまった!Aはどうなってしまうのか?
不安解消面談を終え、いよいよ育成担当に本面接をしてもらう事になった。
本面接の担当者は、某国立大のFさん。
本社のオフィスに案内され、会議室のような場所に入ったものの、待てども待てどもFさんは来ない。25分経過し、ようやくやってきたFさんは、謝罪の一言もなかった。
この会社では遅刻が普通なのか。
さておき、早速本題に入る。いくつか採用にあたる質問をされた。
(ここからは、Aから聞いた話を元に会話にした。なるべくありのまま書いたつもりだが、若干の脚色はあるかもしれない。)
F)インターンにはどれくらい入れる?
A)今月は忙しくないけど、来月は週3日バイトがあるので、あまり出勤出来ません。
F)そうなんだ。会社には週何日来れるの?
A)バイトもあるので、3日か4日ですかね。
これを聞くと、Fは論外と言いたげな顔をし、「あまり働いてない」インターン生のモデルスケジュールを見せてきた。
するとそこには、週5日、2~3時間ほどで会社に出社しているスケジュールがあった。
これだけ聞くと普通に聞こえるが、そのスケジュールの詳細を見ると思わず顔を顰める内容だった。
もともと、火曜日にMTがあり出社が義務付けられているのは聞いていた。
しかしそのほかに、月金で「新人稼働」という名前の強制出勤日がついていたのだ。
聞いていない・・・
しかもこれは営業の仕事とは別だ。つまり営業の仕事の他に、月火金でオフィスに出社する必要があるということ。
このスケジュールを見て、徐々に不信感が募っていった。
F)スケジュール見たらわかると思うけど、今のアルバイトを掛け持ちする状態で結果は絶対に出せない。
まあ、そうでしょうね・・・
と思いつつ、思わず眉間にしわを寄せながら頷いてしまった。
F)六月の分のバイト減らせないの?
A)すみません、それは無理だって不安解消面接で言ったはずなんですが。それをわかってて本面接しているのではないですか?
F)いや、そこは覚悟の問題だから。
(謎の精神論を持ち出された...)
A)でも私のアルバイトは契約社員の扱いなので、急にいかないとは言えなくて・・・。
F)うちの会社での体験はお仕事体験じゃないんだよ!
?!
F)あなたのバイトで得られることなんてたかが知れている。今すぐアルバイトをやめて、うちに全振りしないと本採用できないよ?
え、何。私が頑張ってきたバイトを馬鹿にされて、キレられたの?
ここで完全に目が覚めた。
そんなの、こちらからお断りです。
その後もFはなぜアルバイト辞めるべきかをずっと話つづけた。
例えば、
F)うちで改善したいこと、直したいことはありますか?
という質問に対し、
A)人と話すことに苦手意識持ってるから、それをゼロにしたい。
と、面接用に用意した答えを伝えた。すると、またしてもバイトを罵り始める。
F)今バイト何年め?2年も働いてるのにまだ苦手意識が残ってるってことは、もう得られるものはないよ。無駄な時間だと思うな。
流石に、なんでそこまで言われなければならないのかわからず、さらに眉間に皺が寄っていく。
F)僕は貧乏で働かないといけない環境だったから、いろんなバイトをしてきたんだ。今まで人事とかで2000人以上と話して、バイトは無駄だとわかった。
そこでわかった。この人は、自分の知っていることでしか話せない人間だ。他人の努力を貶してきたことでドン引きして目が覚めた。
しかしさらにGは続ける。
F)2年間バイトしてた時間をうちで過ごしてたらもっと成長できていたと思う。もったいないよ。
話が通じない。
このインターン辞めよう。
そう決意した。
その後もFは、
「バイトを辞めたくない理由わかるよ、参加コストでしょ?
今まで五年付き合った彼氏と別れられないのと同じで、長年付き合うとやめられないのが人間。」
それに対し、
違います。今のバイトの中でまだまだ学べることがあるからです。
と答えても暖簾に腕押し。
いやそんなことない。うちでインターンした方が学べる。
と、ごり押ししてくる。
この話を聞いて心が動くどころかむしろ、バイトを簡単にやめられるという意識と、やめさせようとしてくる姿勢に引いていた。
この人、全部短期間でやめてきたんやろな。責任感ないし。
F)アルバイトって学生に裁量権ないけど、うちでは学生が営業して、数字を叩きだすんだよ。
(短期の仕事で責任感ない人が、責任感とか言わないで)
面接も終わりかけ、ふとIさんの「質問してみたら、面白いことかえってくるかもよ?」という話を思い出した。
そこで、
A)Fさんが仕事で大事にしてることはなんですか?
と聞いてみた。その回答は、
F)人がワクワクしながら仕事できる環境を作ることかな。
とのことだった。
いや、私はFさんの下ではわくわくできない。他人にバイトを辞めさせようとして、友達に応援強制させるようなやつが上に立っててわくわくできるとか言ってるの?宗教じゃん。
さらに質問してみた。
A)自己分析得意だと伺っているが、どんな感じでやっているんですか。
F)自己分析には二種類ある。就活用のやつと、本当の意味での自己分析。本当の意味での自己分析はあなたにはできない。自分を納得させるものだから。
わけがわからない。
その後も色々と言ってたが、ひたすらアルバイトを否定してきたのを覚えている。
F)友達への協力(営業)、何人くらいにできそう?
A)どうやってやるんですか?
F)営業のマニュアル覚えて、友達に説明して、友達からの応援をもらうんだよ。
つまり、直接友達に携帯を売るということ。
A)え、電話じゃダメなんですか。
(あ、また論外って顔された。)
F)対面でできないと。電話じゃ伝わらないよ。方法としては、店舗か会社に友達を呼んで、先輩が見てる中で友達に説明する感じになるかな。
A)え、緊急事態宣言の中で店舗に友達呼ぶんですか?
当時はコロナ禍真っ盛りで、緊急事態宣言で商店街もほとんどしまっているような状況だった。
F)いやそんなん関係ないから。で、何人くらい呼べそう?
A)5~10人くらいですかね。
少な目に伝えると、また論外顔。
F)月15回が営業の目安なんだから、全然足りないよ。
その他にも、聞けば聞くほどうんざりするような条件ばかりだった。
その一部を紹介すると、
新人研修は9時半~夜9時(出来高制だから時給は出ない)
火曜20時~23時のミーティングは交通費で2000円出されるのみ。
深夜時給もなし。
これじゃあコンビニのほうが儲かるじゃないか。
月10万の月収を自慢されたが、正直そ今のバイトで同じ額は稼いでいる。
しかも労働条件が週5で2~3時間出社+時間外営業なら、同じ時間バイトしたほうが有意義じゃないか。
聞いていた話と違うことが多すぎて…こんな会社やってられない、と条件を聞けば聞くほどうんざりした。
そして最後に、
F)俺さ、2000人以上と話してきたけど、君は負けず嫌いで最後までやり遂げる人でしょ?
と、何か見透かされたようなことを言われたが、このフレーズにどこか聞き覚えがあった。
え、これ事前に不安解消面接でいったことそのままじゃ?
その情報は伝達してるのに、バイトでインターンにあまり参加できない事は伝わってないの?
そんな問答が終わり、結局最後にはGがせかせか時計をみていた。
私への勧誘は諦めようと思ってるのがあからさまにわかった。
帰り際、彼は見送るでもなく急いでエレベーターに乗り、ボタンを押してさあっとどこかへ消えていった。
歩きながら手を振って別れ、こちらに関心がないのがあからさまな、失礼な態度だった。
Fの面接は、相手を全否定して自分の経験値で判断するだけだった。結局、自分と同じような働き方をすれば幸せになれるって言いたいだけなんだな。
最後の気力を振り絞り、帰り道に「すみません、辞めます」と、Fを紹介してくれたDにLINEした。
いや、なんでこっちが謝らなあかんねん。
こっちはきちんと準備してきた。しかも、最初から7月からしか始められないと言ったのに、一つも伝わっていなかった。
なぜ全否定され、私が悪いように言われなければならないのか。
ちなみにこのパワハラ面接のとき、すでに働いてる新人と育成担当という、もう1組が同じ部屋で面談していた。
少し耳に入ってきたのだが、どうも新人の女の子の売り上げがよろしくないようで、呼び出しを喰らっていた。
育成担当らしき人は、「もっと○○しなあかんよ~」とか、色々と理由を並べて教育しているようだった。
新人はそれに対し、「はい、はい。頑張ります」と一生懸命に答えていた。
ああ、結果を残せないとああいう風に呼び出されるのか。
どこか虚しさを感じ、巨大なオフィスビルから早足で帰った。
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以上が、友人Aが実際に体験したモバイルプランナーの面接だ。
彼女はかろうじて直前で気づくことができたが、
大学生活の不完全燃焼につけ込まれてこうしたインターンに傾倒してしまう人は少なくないだろう。
本人の主観も入っているが、記事を読んで少しでも心当たりのあった方や、知り合いがモバイルプランナーになりかけている人の手助けになれれば幸いだ。