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私にとっての”山”

私はなぜ山が好きなのだろう。

下界からは見ることのできない、雲海がおりなす異世界のような景色。

遠くに連なる山の稜線はここからは山だと言わんばかりに力強い。

見下ろせばどこまでも落ちて行ってしまいそうな渓谷に

天然水が奏でるかすかな重低音が聞こえてくる。

夜になれば幾千億も輝く星たちに包まれて

季節の移り替わりがみせる全く違う世界に、また心を奪われる


壮大という一言では言い表せないこの山の美しさに

私は何度心を奪われ、涙を流したことか。


山にいると、いかに自分が小さく、無力であるのかを実感する



しかし、それと同時に目の前の山にも負けないような熱が自分の中で燃え上がっていることがある

はじめて彼と山頂に行った時も、その熱は確かにあった


広大なアルプスの中のたった一点で

何十億のうちのたった一人の人間と

同じく何十億のうちのたった一人の人間が

出会い、想いを馳せただけで

周りの山のかたちを変えてしまいそうなくらいの熱が生まれてしまう


山はこの熱がいかに尊いものであるかを教えてくれた


この熱の寿命なんて山に比べればほんのこれぽっちもないけれど


その儚さこそが、人間の美しさであり、私たちが生きる意味なのだと思う


山は私の心をそんなふうに動かす場所なのである











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