自分の失敗をもとに"良いデザイン"の作り方をカレーに例えて考えてみた
初めまして。
デザイナーとして活動しています、
青木そのかです!
いきなりですが先日、
私はナンセンスなデザインを作ってしまいました...。そこで今回は、ナンセンスな自分を曝け出しながらその原因を振り返り、
"良いデザイン" についての気づきをまとめていきたいと思います。
私のデザイン失敗談
そのきっかけは、私のナンセンスなデザインを見た会社の友人からの、とある一言でした。
『 "なんとなく良い" と思われるデザインが
デザインとして最高だよね』
* * *
先日、社内のWEBサイトを
リニューアルした時のことでした。
会社はまだ立ち上げ早期の為、
実績が少なくサイトに載せられる情報が少ない中のリニューアルデザイン。
メインとなる情報はイベントの告知でした。
なんとか一度目の制作を終え、
社内に共有した時、私はアウトプットを見た社員の方々の顔をモヤッとさせてしまいました。
その時私は「・・・あ、あまり良くないデザインを作ってしまったんだ。」と純粋に感じました。それから社員の方から、「ここってなんでこんな色なの?」「なんでここに文字があるの?」など、たくさんの質問を受け、答えていきました。
私はサイト内のバナーの配置や文言、色味に対して「こういう印象にしたいから、これを選んだ」などといった意味をたっぷり持たせていました。
しかし、デザインに含まれた意味が
良いデザインとして結果に繋がらなかったのです。
私は自分の性格柄、すぐ立ち直って先を見るより、自分を見返してしまいます。
今回も、この件でなぜ自分がこのようなデザインをしてしまったのか?についてたくさん振り返りました。
また、友人に言われた
"なんとなく良い" の意味がきちんと理解できていなくて、次の改善方法が具体的に考えられていませんでした。
そのため私は
・"なんとなく良い" の解像度を上げる
・自分の良くない思考の癖
この2点を振り返りました。
"なんとなく良い" の定義
友人の言う
"なんとなく良い"とは何なのか?
そもそも、なんとなく良いって、
本当に良いデザインなのか?
2つ疑問が沸きました。
まず、"なんとなく良い"とはどんな状態なのか。どんな条件を揃えれば良いのかを考えました。
"なんとなく良い"とは
言葉がなくとも、そのモノを"何か"と認識、予測することが可能な状態で、さらにそのモノに対して好印象を抱いている様子だと考えます。(* あくまでも私個人の考えです)
つまり、"なんとなく良い"状態は、
意味が言葉で書かれていなくとも、
人がそれをみたときに何かしらのポジティブなアクションを起こしてくれること(笑ったり、喜んだり、感動したり)なのだと思います。
確かに。
そんな状態を作り出すことができたら
それは良いデザインだと言えるなと、
自分自身ふに落ちました。
私のわるい癖
ではなぜ、
私は良くないデザインをしてしまったのか。
それは、私の思考に原因がありました。
私は、昔から意味を持つこと、
意味をつけることにカッコ良さを覚えていました。
意味はないより、あったほうがいい。
そんな風に感じていました。
(そのきっかけとなるお話は、また別のnoteでまとめまとめさせていただきます!)
それが、今になり、
"とりあえず意味があれば良い"
という適当な行動になりかけていたんだと気が付きました。
また、"意味"というのはざわざわつけなくても
最初からついているものもあります。
例えば、
強く見せたい、自分たちの熱を相手に感じさせたい!と思ったら、赤色を選んだり、「熱血」「熱狂」なんて言葉を用いたりしますよね。
これは、既に意味が言葉やモノ、色に根付いていて、それを抽出しているだけです。
なので、意味をつけること自体はそんなに難しくなく、簡単にできてしまいます。
しかし、意味をつけること自体は悪いことではありませんし、一見、意味はないよりあった方が良いと、多少は感じられるはずです。
なのにも関わらず、
なぜ悪い結果になってしまったのでしょうか?
カレーライスで原因追求
デザインの色やフォントや構成など
それぞれに意味がついているにもかかわらず、良いデザインに仕上がらなかった原因 ...、、
それは、意図を捉えた意味付けができていなかったからだと思います。
つまり、『何のために〜〜何を、どうするのか?』です。
今回の目的は、
ターゲットに『食べてもらうこと』でした。なので、目的を達成するため、
作ることが得意だったカレーライスをチョイスしました。
Aの場合、ターゲットに対し
『美味しそう...食べたい!』と思わせることに成功しています。
なぜなら、誰がどうみても"カレーライス"という認識をさせることができており、
さらに、ふわふわなライスに具沢山のカレーにスプーンが添えられていて、今にも食べたくなるようなイラストになっているからです。
つまり、誰がどうみても"何か"と認識することができていて、目的を満たす要素を含んだデザインができているので、目的を達成できる良いデザインになっていると言えます。
一方、Bの場合
見えるのは、
ジャガイモ、ニンジン、タマネギです。
人によっては『野菜?』とみなす人もいるでしょうし、勘の良い人は『カレーライスの具材...?』なんて察する人もいるかもしれませんね。
このようにBの場合では、
誰がどうみても、同じものを連想することは難しく、さらに目的である"食べたい"という感情をターゲットに持たせることはできていません。
つまり、Bは良いデザインではないと言えます。
さて、
"良いデザインについて" AとBに分解して振り返ってみたところで、今回の私が悪いデザインを作ってしまった原因が判明しました。
再びカレーライスに例えて説明してみます。
実際に私たちは、
不明確なターゲットに対して、『とりあえず食べられるカレーライスを用意した』そんな雑な結果になってしまったんだと思います。
ターゲットと目的が明確でなく、
さらに社員全体でその認識が統一された状態ではありませんでした。
何となく「男の人にカレーライスを作る」ということは認識されていたものの、
ビーフカレーなのか、
チキンカレーなのか?
はたまた、
辛口ビーフカレーなのか、
甘口チキンカレーなのか?
ライスは白米なのか、
ターメリックライスなのか?
ここまで具体的なカレーライスの要素を認識・共有できていなかったのです。
なので、
カレーの完成を待つ社員の中には
みんな大好き!バーモンドカレーが作られるのを待っていた人もいれば、
本格派スパイスが効いた、インドカレーを想像していた人もいたはずです。
私はそれに気づかず、
社員みんなの期待に添えない、甘口の野菜カレーライスを作ってしまったのです…。
これが一番の原因でした。
カレーライスから得た、改善点
まず、社内で私がどれくらい意思決定権を持ってカレーライス作りをして良いのか?
どこまでレシピを作って、誰が材料を準備して、どこをみんなで作るのか?また、最後は誰が仕上げるのか?
など、カレーライスをどのように作るのかというプロセスを共有しておく必要がありました。
今回の場合はこのプロセスが不明確であり、社員全体の共通認識として捉えられていませんでした。
この場合、私はまず、
カレーライス作りを命じられたからには、用意した材料を集め、そして作り出すまで、また作っている途中に味見をしてもらうなど、社員の方々に確認する必要がありました。
『とりあえず、ジャガイモ、ニンジン、タマネギを用意したよ!』
『カレー粉は中辛、辛口、甘口、どれが良いかな?』
『お肉はビーフ、チキン、どっちも用意してみたんだけれど、ターゲットにはどっちが良さそうだろう?』
というコミュニケーションを行うべきだったのです。
"良いデザイン"の作り方まとめ
さいごに、
このnoteを通して学びを得た、"良いデザイン"の作り方についてまとめていきます。
まずは、”良いデザインを作る上で必要なモノ”についてです。
良いデザインを作るには、
まずは前提条件となる『ターゲット』を明確にし、それに基づいた『手段』や『目的』を細かく決め、共有しておくことです。
ターゲットは、何歳なのか?性別は?趣味は?住まいは?と、詳しく設定する必要があります。
それによって関西、関東では、
味が濃いめが好きだったり、薄い方が好きだったり。
男性女性によって、お肉たっぷりのカレーが良かったり、野菜カレーが良かったりと、作るカレー(手段)が変わってくるからです。
また、カレーを作ったところで目的がはっきりしていなければ、その目的を達成するカレーを作り出すことができません。
食べてもらうことが目的なのか?
作ったカレーを配ってもらうのか?
作ったカレーを売ってもらうのか?
など、カレーを作るだけでも、様々な目的が存在します。
その中で、食べてもらうという目的を達成するには、スプーンを添えて、美味しそうに見せる必要があります。
カレーを配ってもらうには、
大釜に大量のカレーを作り、
大きなお玉と、配るようのお皿が必要です。
売ってもらうには、
カレーをテイクアウト用のパッケージに入れ、ビニール袋を用意しなければなりませんよね。
このように、
目的がはっきりしなければ、
作り出されるカレーも変わるので、やはり目的を明確にして、社内全体で共有しておくことは重要だと言えます。
では、上記で述べた前提条件(ターゲット・手段・目的)が揃ったところで、
どのように美味しいカレー(デザイン)を作り出すのか。
そのためにはカレーの材料と、
レシピや調理方法といった料理が必要です。主に、この部分をデザイナーだけで担うことが多いのではないでしょうか。
社内で定まった前提条件が
男性で体育会系の高校生だったら、
高校男児が喜ぶお肉をカレーの材料として選びますし、
もしOLさん向けにランチカレーを作るのであれば、映えて、栄養価もあって、できるだけ単価が安めの野菜を材料に選ぶでしょう。
さらに、
集めた材料を適切に調理できるか?が鍵となります。
お肉から炒めなければ、
半生ビーフカレーが完成してしまいますし、
お水の量を間違えれば、濃すぎるカレー、薄すぎるカレーになってしまいます。
つまり、
前提条件として定められたものに対して、適切な材料を選ぶこと。
そして、適切な調理方法で料理をすることが、良いデザインを作る上で重要になるのです。
さいごに
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございます!
今回、このnoteを書いたことで、
自分のナンセンスなデザインをしてしまったことにより、"良いデザイン" のあり方ついて考え直すことができました。
現在私は、インスタグラムのマーケティング会社のデザイナーとして活動しているのですが、
今回、自分の中で振り返りをしたことで、
自分の立ち回りや思考に改善点を見つけることができましたし、組織としてもどこまで解像度を高めた上でプロジェクトを進めていかなければならないのか、を明確にできた気がします。
次のステップへ進めるよう
会社のみんなと頑張っていきたいです。
ぜひ、デザイン関係のお話や、会社のこと
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