vol.3 スペシャリストの衝撃
これは語らずにはいられない、自分にとっても大きなターニングポイントだった。
復職した後の2019年頃、自社で中途採用を増やすという方針になり、今までほぼ新卒採用だった社内に、スペシャリストとしてその分野に秀でた全く社外の方たちが入ってきた。
彼らは、社内の「何も」気にしていなかった。とにかく服装から発言から何から新鮮で刺激的で、この社内通念という厚い殻をぶち破って、異文化をもたらしてくれたようだった。
私は彼らに頼って色々なところに連れて行ってもらい、彼らの振る舞いや考え方を学び、ビジネス開発とはどう進めるのか教わるうちに、「社内で評価される」ことだけを見ているということが、いかに狭い世界のことなのか気づいた。
思い返せば今までの自分のモチベーションも、全て社内の人や組織しか見ていなかった。(vol.2参照)それはそれで、必要なステップだったのだと思えるが、このことに気づくのに10年かかってしまった。
同時に、「〇〇といったらあの人」というように、自分の特技・専門性を持ち、それによって会社の名前を超えて、社外の様々な人から認識され頼られることが、本当に価値あることだと思うようになった。
そして自分も、例えば知らない誰かに会った時に、「私はこれができます」「これができるイッツミーです」と名乗れるようなものを持ちたいと強く思った。また、「誰のために・何を産み出しているのか」子どもにもシンプルに説明できることがしたいと思った。
しかし、振り返るとこの10年で自分の身についたのは、言ってみればヒューマンスキルのようなものが主で、自分が欲している専門性が何もないことに焦り、また自分は何をめざすべきかモヤるのだった。