ベッドとテーブルの距離感
大学生の頃から一人暮らしをしている。といっても進級や就職を機にちょこちょこと引越しはしていて、今の部屋は3つ目になる。そして図らずも借りてきた部屋はどれも1Kだった。
1Kとは、キッチンと居室が分けられた間取りのことをいう。大体は廊下にキッチンとトイレ、お風呂がまとめられているので、家具は自ずと居室に集まることとなる。
ベッドとテーブルが一緒。そんな空間で私は11年間生活をしてきた。仕事をするスペースの真横に、体を休めるための楽園がある。だから誘惑もすごい。でも私はとにかく面倒くさがりなので、むしろ大股一歩の距離で睡眠も仕事もできる生活に結構満足している。きっと1LDKになったら、「移動するのが面倒だ」と言い出しかねない。
それでも最近、私は「仕事と生活を切り分けた方がいいのではないか」と思いはじめた。というのも、就業時間が存在しないフリーランスは、やろうと思えばどこまでだって仕事ができる。ありがたいことに日々やるべきことがある私は、意識しないと寝る瞬間までじとーーっと仕事を続けてしまうのだ。なぜ「じとーーっと」なのかというと、仕事の合間にご飯や洗濯、掃除、読書など、諸々生活にまるわるあれこれをこなしているからである。
例えば忙しい日は、起きたらまずPCをオンにしてメールをチェックし、朝ご飯を食べながらYouTubeやらお笑いを鑑賞。仕事に戻り、昼ごはんを食べたらまた仕事へ。一区切りついたら買い物や洗濯など、生活まわりのタスクをこなして、ちょっと休憩したら再び仕事。暗くなったらラジオを聴きながらご飯を食べて、気分転換に少しゲームを進めたら、深夜まで仕事。眠くなったタイミングでお風呂に入り、寝る準備をして就寝。
こんな感じで、1日中仕事をしていながら、その合間で生活をしている。全然これでも悪くないとは思うが、最近は「会社員のときのように、仕事時間を決めて、ガッと仕事をして、その後にガッと休んだ方がいいのでは?」と思いはじめている。心なしかその方が集中できて、体もちゃんと休められるような気もする。
そう思ってある日、「今日はこの時間で仕事をやるぞ」と決めてみた。でも結局は自分で決めた就業時間。強制力なんてあってないようなもの。しかも生活空間のなかにある仕事場というのは、洗っていない洗濯物やら切れかかった食器用洗剤の容器というものがやたらと目につく。そして「休憩しよう」と思えば、すぐに休憩できてしまう。
結果、強制力のない就業時間と、仕事以外のことがやたらと目につく生活空間の掛け合わせで、1日も経たずに元の仕事スタイルに戻ってしまった。この生活に慣れてしまった私はもう、別に仕事場を設けなければ、会社員のような働き方は実践できないののだろう。
個人的に、ベッドとテーブルが同じ部屋にある1K生活は気に入っている。だけど、仕事と生活を切り分けるなら、もうひとつ部屋があってもいいのかもしれない。今のところ、すぐの引越しは考えていないので、この夏はコワーキングスペースなんかを契約してみようかなと思っている。
ベッドとテーブルの距離。それはきっと仕事と生活の距離。今年中に、私にとって理想の距離を見つけたいと思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?