反証のない陰謀論の功罪
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今回は陰謀論についてのお話です。
はじめに
私はこれまで、フランス革命やインターナショナル運動、ロシア革命などを中心に、世界史における秘密結社の活動とその実態について言及してきました。フランス革命の裏では、フリーメイソンを始めとする秘密結社がこれを扇動し、様々な思惑が絡み合って、多くの残虐な事件が起こりました。
第一インターナショナルから始まる国際的な労働者運動でも、イギリスやフランス、イタリア、ロシアなどの秘密結社員が暗躍していたこと、共産主義の背後には秘密結社フリーメイソンがいることを指摘してきました。
この一連の動きのなかで起こったロシア革命はユダヤ系のフリーメイソンが起こした革命であったことも指摘してきました。こういった流れの中でアメリカのルーズヴェルト政権が生まれ、日米戦争が起こり、現在の戦後体制と、そして現在のコロナ騒動が存在しているというのが私の主張となっています。
日本の政治家の裏には、ロックフェラーやロスチャイルドといった金融資本家勢力の見えない力が働いており、私たち日本人はこの手の見えない活動に対して、何らかのリアクションを起こす必要があります。その方法は人それぞれなのだと思います。
陰謀論と科学的方法論
世界では見えない力が働いており、そこでは様々な秘密結社の結社員がこの世界で暗躍しています。ロックフェラーやロスチャイルドもそういった大きな見えない力の一部とみるべきなのでしょう。
彼らの活動は、必然的に見えにくいものであり、私たちは推測や推論によって彼らの活動やその目的、意味を考えなければなりません。このためこういった活動に対する議論は、事実に反した、とりとめのない嘘で固められた理論として、陰謀論という呼び名で呼ばれています。
陰謀論という呼称は必ずしも、世界の見えない力の実像を、私たちが目に見えるような形にしようとする試みへの侮辱とだけ捉えるのは、部分的には早計です。実際に陰謀論と呼ばれるものは、必ずしも検証作業が行われていない、不確実な前提によって構築された理論である場合がほとんどだからです。
これは実際は陰謀論に限らず、ありとあらゆる言論についても言えます。マスメディアのイエロー・ジャーナリズムも陰謀論と同じく、検証作業が行われていなかったり、あるいは不十分だったり、不確実な前提の上での議論だったりします。
これは人間が逃れることができないものであり、不確実性あるいは不完全性は人間社会にあって切っても切れない性質だからです。これは科学的な理論と呼ばれるものでさえも、無縁ではないものであり、私たちは常に不確実で不完全な現実を前にして生きていかなければなりません。
実際に、現在、巷では多くのコロナに関する学説が提示されていますが、その多くの理論が互いに矛盾し合っていたり、誤情報や誤推論が常に混ざり合っている状態と考えることができます。私たちはこれらの情報に対して、確実性を見出そうと試みますが、そういった試みが一層事実を曇らせるという可能性も否定できません。
そもそも科学的に正しい理論などあるのでしょうか。「科学的に正しい」という言語命題が示す対象は実際は不在であるという可能性について、多くの人がこれについて考えないでいます。
フラットアース説
陰謀論の中で、しばしば登場するもののなかにフラットアース説というものがあります。私たちが住む地球は実は球体ではなく平面であるという理論です。フラットアース説は非常に古くから存在する考えであり、これに対する批判、あるいは球体説もまた古代アテネから存在しています。
かつてのフラットアース説と現代のフラットアース説には大きな違いがあります。それはかつてのフラットアース説は、多くの未知の領域、例えば当時ヨーロッパではその存在を知られていなかった新大陸や、太平洋、極東アジア地域の詳細な情報が存在していなかったということです。
かつてのフラットアース説はこれらの未知の情報が存在しなかったが故に成立していた理論であり、彼らが持っている共通する前提、新大陸や太平洋が不在である世界観を前提とした仮説としては決して間違った推論ではなかったわけです。これらの推論が間違っていたと認めるためには、実際には未知なる情報が知られる必要があったのです。
しかし現代のフラットアース説はこれとは違います。現代のフラットアース説は、当時知られていなかった新大陸や太平洋というものが知られた状態でこれを覆すという作業を行っているが故に、彼らが行わなければならない反証作業は多くあります。
実際に新しいフラットアース説には様々なモデルがあります。これらのモデルを元に実際の世界とどう適合するかを検討しなければならないわけですが、新しいフラットアース説のモデルを見ると、そこには現実には存在しない「地平線に沈まない太陽」、「地平線に沈まない月」の存在があります。彼らのフラットアース説はこのような事実と適合しない要素については反証作業を行うことはありません。彼らが反証作業を行うと、それが真でないことが明白だからです。
rapt理論
フラットアース説と同じように反証作業を行っていない陰謀論の代表としてrapt理論というものを取り上げたいと思います。rapt理論はそもそも取り上げるほどの理論ではありませんが、残念ながらrapt理論の信奉者は異常なほど多く、一部の日本人が無批判にこれを受け容れています。
またrapt理論の拙さは、これまで多くの方々が研究してきた秘密結社やグローバリストについての警告を曇らせる働きすら持っています。rapt理論の提唱者の実像がつかめないため、批評できない部分も多くありますが、実際に彼らの理論はこれまでの多くの研究者の理論を彼らの願望や欲求に合わせて美味しいところ取りした、継ぎ接ぎだらけにした言論といわざるをえません。
rapt理論では、多くの日本人が李家と呼ばれる一族であると断罪しますが、彼らは一度もその日本人が李家であるという物的証拠を提示したことはありません。顔が似ているというのは証拠にはなりません。しかし、多くの場合raptの支持者たちは顔が似ているということを根拠に多くの日本人を李家と認定しています。
rapt理論は批判したい相手に対して、レッテルを貼り付けることで、信用度を上げ、自分たちの理論の正しさを証明しようとしてますが、間違ったレッテルが貼られたものは、結局は信用度を下げるのみであり、一部の信者のみがrapt理論の提唱者を思い上がらせるだけです。
これまで長い歳月をかけて研究してきた人々の言論を悪用し、手前味噌で、ご都合主義的な理屈を並べては、不確実な事実に、嘘の理屈を貼り付けて、それが事実であるかのように装い、自分たちの正当性を誇示するのは長い目で見れば、あるいは全体的な視点で見れば虚偽ですが、一部の人々を信用させ、一時的な承認欲求を満足させるためには最良の方法だということなのだと思います。
彼らは彼らが批判する相手と同じ方法を用いて世界を欺いていると批判せざるを得ません。
まとめ
私たちが自覚すべきなのは、世界に溢れる情報の多くは実は不確実であり、これらの情報を丹念に一つ一つ見比べることによって確からしい事実を見つけ出す作業を行わなければならないということです。そしてそうした所で、必ずしも正しい結論を導き出せないわけですから、安易な方法で、人々を扇動し、嘘を並び立て、もっともらしい理論に見せかける方法が、現代社会では重宝されています。
はっきり言いますが、フラットアース理論も、rapt理論も、ソクラテスのいう「化粧術」のように、自らの見栄えを良くする方法に特化した、尤もらしく見えるように偽装する技術に優れた、自己承認欲求を満足させているだけの代物です。
多くの人々は事実の検証の重要性を無視してしまえば、このような欺瞞的技法がまかり通ってしまいます。残念ながらそうすることが、世間的には受け入れられやすいということは念頭に入れておく必要があるのかもしれません。
最後に
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世界が一日もはやく呪われた微睡の日常から目が覚めますように。