テレビのヤラセ
私は昔、とあるテレビの観覧に行ったことがある。
一通り収録が終わると一旦スタジオから出されて今度は男女別に分かれて並び、またスタジオ入りして観覧席に。しばらく待つと何処かから『えー無理無理!』『やだよー嘘でしょ?』『彼氏と来てるんだけど〜』とざわついて。なんの事かサッパリわからない私は普通に座っていたら、スタッフの方から「指示があったら席を立つように」との説明が。スタジオを見渡しながら説明を聞いていてようやく私も気付いた。
我々は『恋愛したい独身男女○人』という、ランダムで選ばれた相手と恋愛をする番組に立候補した人達、にさせられていた。
目の前にはビンゴの機械のようなものがセットされ、我々も胸に番号をつけさせられ、もともと番組観覧に行っただけなのに何の説明もなく知らぬ間に新番組のエキストラにさせられていたんだ。
目の前のビンゴ機から自分の番号が出たら前に出てもらいます、男女一人ずつ選ばれたらカップルになってもらうという番組ですと簡単な説明があると、我々のザワザワも大きくなり拒否してる人も居た。
大人が沢山いて勝手の知らない場所で我が儘を言えるほどの気持ちが無かったので、とにかく目立ちたくないし選ばれないでくれと願うしかなかった。
あの時は本当に冷や汗かいた…
途中で場所替えをしながら確か2回分の収録をした気がする。
その経験の中で気付いたヤラセの方法がいくつかあった。
まず我々のように『別の内容を知らせ招集する』いわゆるドッキリのような展開。
『こんな事起こる訳がない』という出来事も、きっかけに手を加えたとて結果はあくまで自然に発生した事になる。(結果は)ヤラセではないと言っても嘘ではない。
次に『演者は知らないけとスタッフはすべて台本を知ってる』パターン。
実は我々の場合もこれで、本当はカップルに選ばれる芸能人がエキストラに混ざっていて選ばれる番号も決まっていた。当日は全く知らなかったけど後日何かの拍子に(放送で言ってたかも?)選ばれた人が一般人じゃないと知ったことと、番号を選ぶ機会にこっそり仕込みをしているのをみて気付いた。
芸能人の方がスタジオに入る前、決められた番号をビンゴ機にセットしていたけど(かなりアナログな作り)本番ではランダムで選ばれたような演出をしていた。
例えば、ビンゴの玉が入ったかごをぐるぐる回してポトリと玉が1つ出てくるシステムの玉が出てくる部分に箱を置く。箱から玉を取り出した場合ランダムで選ばれた玉だと誰もが思うけれど、実ははじめから用意されていた玉という仕掛け。ランダムで出た玉は取り出せないようにしておけば必ずヤラセが成功する。
この場合『台本にもヤラセが記載されてる』という演者がヤラセを知ってる場合もあると思う。
抽選で選びます!と言って画面の外からBOXが出てきて誰かが手を入れてボールを取り出す…みたいな演出はヤラセが多いのだろうと思うようになった。BOXの中身を見せないパターンが多いのは見せられないからでしかない。ボールなんて本当は1つしか入ってないんじゃない?もしくは計画通りになるものしか入ってないか。本当にランダムなら選んでる所も見応えある透明BOXにするでしょう。
年始に話題になる「格付けの番組」もよくヤラセが話題になるけど、【画面の外で用意した食材】であるし【全員本当にその味で食べたか】の過程が皆無。
美味しい物を1つ以外はわざとマズくして正解をわかりやすくしてるかもしれない。
実際は外れてるけど正解にしたい人が選んだものを正解に編集しているかもしれない。
味や見えない部分は編集してしまえば視聴者は気付かないし、スタッフが手を入れてるだけで演者はヤラセではないと言える。
その場で封を開けて器に出したり、目の前でわかるように生放送ですべてを映したり、それがない限りはすべてヤラセが関わる。
TV番組を面白くする演出としてヤラセも悪事ではないと思うけど、あまりにも真実味のある演出っていうのはTVの傲慢さが見えるなーと感じてしまう。
「嘘で取り繕って作られたバラエティ」を観て喜ぶのは世間知らずの一部の人でしかない。インターネットで世界中の生の情報が飛び交う今の時代にヤラセで作られた展開を見せて良しとしてるTVは時代遅れ。
多分、いまやテレビは『TVを視聴する文化』のおかげで観られてる番組だらけだと思う。作っている人の傲慢でしかない。