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あの日見た星空
今からもう13年も前の夏、私の推しは、この世から去った。
当時私は高校3年生で、1学期のテスト前だった。
彼の死は自殺だとかODだとか、色々な情報が流れていた。そんなものは見たくなかった。
私は京都に住んでいて高校生だったので追悼式も行けず、大事な時に、大事じゃない学校に行かないといけないことが、無力さが、腹立たしかった。
その後の夏休み、高校から研修旅行でイギリスに行った。私はまだ彼の死を引きずっていて、私がいない間に、大切な人がいなくなってしまったらどうしようと不安で仕方がなかった。
海外は携帯が使えず、当時はまだガラケーだったのでインターネットも見れず、様々な情報から遮断されてしまうのが怖かった。
イギリスにいる間に、ある本を読んだ。
恋人の死を受け入れていく女の子の話で、推しがいなくなって間もないときに読んだ本だったから、余計に死について考えることになった。
異国の地で、学校からの帰り道に見上げた空には星がたくさん見えて、とても綺麗だった。
残されても、生きていかなきゃいけない。私にとっては恋人ではなく推しで、直接会ったことも話したこともなかったけど、でも当時の私を形作ったことに違いなかった。
今でも好きで、何度も繰り返し読む本だ。
それから10年以上経っても、私は未だに大切な人を失うことをどこかで恐れている。
それが普通のことなのか、他の人もそうなのかはわからない。
たとえば、恋人から長時間連絡がないと、もしかしてどこかで事故にあったり、事件に巻き込まれてたりしたらどうしよう、と不安になる。
時間が経つにつれ軽減されてきたようには思うけど、どこかで亡くなっても私に連絡は来ないかもしれないし、音信不通のままになってしまうかもしれない。
どんなに好きでも、死んじゃったら終わりだし、その瞬間に立ち会えるとも限らない。最後だと思ってなかった日が、急に最後に会った日になることもある。
今日と同じ明日がくることが当たり前じゃないって、本当にそうなんだ。やりたいことはやるべきで、伝えたいことは伝えるべきで、大切にすべき人を大切にしなきゃいけない。と改めて考えた夏の終わりの夜。