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2020年度(令和2年度)    貸金業務取扱主任者試験

貸金業務取扱主任者試験は、貸金業法に基づき、消費者向けの金融サービスを適切に提供するための知識を問う試験です。試験内容は法規や貸金業の実務に関する幅広い範囲をカバーしており、合格するには法的な知識と実務経験が求められます。

試験科目は主に以下の内容です:

  • 貸金業法およびその周辺の法律(消費者金融に関連する規制)

  • 貸金業務の実務知識(契約書、担保、保証などの実務)

  • 貸金業に関するコンプライアンス(倫理・法令遵守)


過去問が重要な理由

それでは、なぜ過去問がそんなに重要なのでしょうか?

1. 出題傾向をつかむことができる

過去問を解くことで、試験の出題傾向を把握することができます。どの法律分野がよく出題されるか、どのような形式の問題が出るのかを知ることは、効率的な学習計画を立てるために非常に重要です。特に、試験に出題される問題の多くは、同じテーマや類似の問題が

繰り返し出題

される傾向があります。

2. 試験本番のシミュレーションができる

過去問を実際に解くことで、試験本番に近い環境を体験できます。時間配分の感覚や、プレッシャーの中で解く練習をすることで、本番でも落ち着いて問題に取り組むことができるようになります。また、過去問を繰り返し解くことで、自分の弱点や苦手な分野を発見し、そこを重点的に学習できる点も大きなメリットです。

3. 正確な知識の定着

貸金業務取扱主任者試験は、幅広い知識が問われるため、単にテキストを読んだだけでは理解が不十分なことも多いです。過去問を解きながら、問題ごとに解説を読んでいくことで、より実践的な知識が定着します。特に法律の条文や判例については、実際にどう出題されるかを知ることで、深い理解が可能になります。



第一問(用語の定義)

a(〇)この法律において「貸金業」とは、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつてする金銭の交付又は当該方法によつてする金銭の授受の媒介を含む。)で業として行うものをいう。
つまり、事業者がその従業員に対して行うものは、貸金業から除かれる。

b(×)「資金需要者等」とは、顧客等又は債務者等をいう(貸金業法2条6項)。また、「債務者等」とは、債務者又は保証人をいうのであるから、「資金需要者等」に保証人は含まれる。

c(×)「個人信用情報」とは、個人を相手方とする貸付けに係る契約(極度方式基本契約その他の内閣府令で定めるものを除く。)に係る第41条の35第1項各号に掲げる事項をいう。具体的には顧客の氏名、住所その他顧客を識別できる事項、契約年月日、貸付けの金額その他の情報である。
信用情報とは、資金需要者である顧客又は債務者の借入金の返済能力に関する情報。

d(×)「住宅資金貸付契約」とは、住宅の建設若しくは購入に必要な資金(住宅の用に供する土地又は借地権の取得に必要な資金を含む。)又は住宅の改良に必要な資金の貸付けに係る契約をいう(貸金業法2条17項)。

資金需要者等=顧客等(資金需要者である顧客または保証人となろうとする者)または債務者等(債務者または保証人)

第二問(登録)

a(×)第4条1項2号で規定する政令で定める使用人は、業務を執行する社員、取締役、執行役、代表者、管理人又はこれらに準ずる者をいい、いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し、これらの者と同等以上の支配力(業務統括)を有するものと認められる者として内閣府令で定めるものである。

b(×)貸金業者は、法第三条第二項の規定による登録の更新を受けようとするときは、その者が現に受けている登録の有効期間満了の日の二月前までに当該登録の更新を申請しなければならない(貸金業御法施行規則5条)。
【主任者の場合:更新申請の6ヶ月以内に行われる登録講習を受講】
※貸金業者及び主任者の登録有効期間はともに3年間

c(〇)この他、役員の氏名や営業所ごとに置かれる貸金業務取扱主任者の氏名、他に事業を行っているときはその事業の種類なども登録される(貸金業法5条)。

d(〇)「営業所又は事務所」とは、貸金業者又はその代理人が一定の場所で貸付けに関する業務の全部又は一部を継続して営む施設又は設備(自動契約受付機、現金自動設備(現金自動支払機及び現金自動受払機をいう)及び代理店を含む。)をいう。ただし、現金自動設備にあつては、営業所等(現金自動設備を除く。)の同一敷地内(隣接地を含む。)に設置されたものを除く(貸金業法施行規則1条の5第3項)。


第三問(廃業等の届出)

①(×)法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合、登録の効力は解散決議を行ったときに効力を失うものと解される(貸金業法10条2項)。

②(×)法人が合併により消滅した場合には、その消滅法人を代表する役員であつた者が、その日から30日以内に届出を行わなければならない(貸金業法10条1項2号)。

③(×)貸金業者について破産手続開始の決定があつた場合(法人、個人ともに)、その破産管財人が、その日から30日以内に届出を行わなければならない(貸金業法10条1項3号)。

④(〇)貸金業者が死亡した場合においては、相続人は、被相続人の死亡後60日間は、引き続き貸金業を営むことができる。相続人がその期間内に貸金業登録の申請をした場合において、その期間を経過したときは、その申請について登録又は登録の拒否の処分があるまでの間も、同様とする。この場合において、これらの期間内の営業については、相続人を貸金業者とみなす。

第四問(外部委託)

①(〇)外部委託には、形式上、外部委託契約が結ばれていなくともその実態において外部委託と同視しうる場合や当該外部委託された業務等が海外で行われる場合も含む。(監督指針Ⅱ-2-3(1)③)。

②(×)委託業務に関して契約どおりサービスの提供が受けられない場合、貸金業者は顧客利便に支障が生じることを未然に防止するための態勢を整備しているか(監督指針Ⅱ-2-3(1)④)。

③(×)外部委託先において漏えい事故等が発生した場合に、適切な対応がなされ、速やかに委託元に報告される体制になっていることを確認しているか(監督指針Ⅱ-2-3(1)⑧)。

④(×)二段階以上の委託が行われた場合には、外部委託先が再委託先等の事業者に対して十分な監督を行っているかについて確認しているか。また、必要に応じ、再委託先等の事業者に対して貸金業者自身による直接の監督を行っているか(監督指針Ⅱ-2-3(1)⑩)。

第五問(貸金業務取扱主任者)

①(×)従業者が従業者名簿の記載対象となるか否かについては、個別具体的な事実関係に即して判断することになるが、勧誘や契約の締結を含む営業、審査、債権の管理・回収及びこれらに付随する事務に従事する者であれば雇用関係・雇用形態を問わず、該当すると考えられる一方、人事、総務、経理、システム管理等その業務遂行の影響が、通常、資金需要者等に及ばない業務に従事する者は、原則として該当しない(人事・経理部等)と考えられる(監督指針Ⅱ-2-9(2)②)。

②(×)施行規則第10条の7第1号の「常時勤務する者」とは、営業時間内に営業所等に常時駐在する必要はないが、単に所属する営業所等が1つに決まっていることだけでは足りず、社会通念に照らし、常時勤務していると認められるだけの実態を必要とする(監督指針Ⅱ-2-9(2)①)。

③(〇)貸金業者は、貸金業務取扱主任者が前項の助言又は指導に係る職務を適切に遂行できるよう必要な配慮を行わなければならず、貸金業の業務に従事する使用人その他の従業者は、貸金業務取扱主任者が行う同項の助言を尊重するとともに、同項の指導に従わなければならない(貸金業法12条の3第2項)。

④(×)貸金業者は、予見し難い事由により、営業所又は事務所における貸金業務取扱主任者の数が第一項の内閣府令で定める数を下回るに至つたときは、二週間以内に、同項の規定に適合させるために必要な措置をとらなければならない(貸金業法12条の3第3項)が、定年退職は「予見し難い事由」に該当しないため、2週間の猶予はない。

第六問(禁止行為)

a(〇)保証人となろうとする者に対し、主たる債務者が弁済することが確実であると誤解させるおそれのあることを告げる行為をした場合、その登録を取り消され、又は1年以内の期間を定めて、その業務の全部もしくは一部の停止を命じられることがある(貸金業法24条の6の4第1項12号)。

b(×)断定的判断の提供は刑事罰の対象ではないが、行政処分の対象となる。

c(〇)「資金需要者等から契約の内容について問合せがあったにもかかわらず、当該内容について回答せず、資金需要者等に不利益を与えること」は、「貸付けの契約の内容のうち重要な事項を告げない」行為に該当するおそれが大きい(監督指針Ⅱ-2-10(2)①イ)。

d(×)「不正な」行為とは違法な行為、「不当な」行為とは客観的に見て、実質的に妥当性を欠く又は適当でない行為で、不正(違法)な程度にまで達していない行為をいう(監督指針Ⅱ-2-10②)。  不正>不当

第七問(利息・保証料の制限)

a(〇)貸金業者は、その利息(みなし利息を含む。が利息制限法第一条に規定する金額を超える利息の契約を締結してはならない(貸金業法12条の8第1項)。また、貸金業者は、利息制限法第一条に規定する金額を超える利息を受領し、又はその支払を要求してはならない(貸金業法12条の8第4項)。

b(×)金銭の貸借の媒介を行つた貸金業者は、当該媒介により締結された貸付けに係る契約の債務者から当該媒介の手数料を受領した場合において、当該契約につき更新があつたときは、これに対する新たな手数料を受領し、又はその支払を要求してはならない(貸金業法12条の8第10項)。

c(〇)貸金業者は、貸付けに係る契約について、業として保証を行う者)と保証契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該保証契約を締結するまでに、当該保証業者への照会その他の方法により次に掲げる事項を確認しなければならない(貸金業法12条の8第6項)。

① 当該保証業者と当該貸付けに係る契約の相手方又は相手方となろうとする者との間における保証料に係る契約の締結の有無

② 前号の保証料に係る契約を締結する場合には、当該保証料の額

d(×)貸金業者は、保証業者との間で根保証契約を締結しようとする場合において、当該根保証契約が主たる債務の金額又は主たる債務に係る貸付けの契約期間に照らして不適切と認められる極度額又は保証期間を定める根保証契約として内閣府令で定めるものに当たるものであるときは、当該根保証契約を締結してはならない(貸金業御法12条の8第9項)。根保証契約については、「当該根保証契約において三年を経過した日より後の日を元本確定期日として定める根保証契約又は元本確定期日の定めがない根保証契約」は契約を締結してはならない(貸金業法施行規則10条の14第1項2号)。

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