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【商標】 往年のナショナルのレコードプレイヤで回すソノシートの話

この記事は、知財系ライトニングトーク #18 拡張オンライン版 2022 秋の発表です。

先日、レコードを見せていただいたが、それが見知ったレコードのお姿とは違った。

ぺらんぺらんである。赤、青、白、カラフルである。これまでレコードといえば薄いものの硬く、色は黒のイメージであったからあまりに違う。

レコードの保護に使うシートかと思ったぽんよ

ソノシート」というらしいと教わった。雑誌の付録などで配付されていたそうだ。「ベタっとした艶が塩ビぽい」外観であったが調べてみるとやはり塩化ビニル製が多かったようだ[1][2]。

調べる中で目についたのが商標に関する記載

"なお、「ソノシート」は後に朝日ソノプレス社(後の朝日ソノラマ)の商標となったため、「フォノシート」や「シートレコード」と言い換えられる場合がある。そのため、普及期には発売するメーカーによって商品名が異なっていたが、現在ではソノシートという呼び名が一般的になっている。"

[1] ソノシート - Wikipedia

"……朝日ソノラマの商標である「ソノシート」が……"

[2] ソノシート|リサーチ・ナビ|国立国会図書館 (ndl.go.jp)

ここから商標「ソノシート」をさらにJ-PlatPatで調べてみたところ……

ありました。

指定商品が「34 プラスチツクス,ゴム等」の登録1895358もあった。

登録2012284、株式会社朝日ソノラマの「SONORAMA SONOSHEET \ソノラマ ソノシート\そのらま そのしーと」三段の商標。二段書き商標はしばしば見かけるが(そしてその意義については疑義も醸されるが)三段書きは珍しいのでは。ひらがな!

しかし「“ソノラマ”ソノシート」の商標であれば、この登録商標があるからといって「ソノシート」の使用を遠慮する必要は必ずしもあるとは言えないような(どっちだ)。

上記は称呼で類似検索したが、権利者で検索すると初めてみる画面に。

肝心の商標がわからんぽん

公報表示のボタンをぽちぽち押していくと先ほどの商標と似た三段書の商標が現れた。

SONO SHEET\ソノシート\そのしーと」である。商願昭34-34595(登録572606)。指定商品はレコードではないが、「ソノシート」が朝日ソノラマの登録商標だったことは事実のようだ。

これは称呼検索では出てこなかった。あまり古いものは称呼のデータが入っていないみたいだ。

前述のWikipediaで「ソノシート」の言換えとされた「フォノシート」が同じ紙面に載っているのも面白い

ところでこのソノシートたちのそばにはポータブルレコードプレーヤがあり。

Nationalロゴ!

パナソニックに統一される形で廃止されたナショナルブランド、その商標の登録がどうなっているかも折角なのでついでに見てみると……

やはり一部維持されていた。

つい維持費のことがアタマをよぎる。

使わなくなったロゴや名称の商標登録を維持することはよくある。権利者の状況・方針それぞれであるがどのタイミングで手放すことが多いのだろうね。

その商標を見る機会が減りゆき、ついに登録がなくなり。ブランドの終焉である。

さらにお隣には同じくパナソニック製、テクニクスブランドのプレイヤが。

ちなみに権利消滅しているものは古めかしいロゴが多く眺めて面白い。

Twitterでこのレコードプレイヤについて「Nationalとかいうメーカ」と書き出し投稿したところ一部からは本当にナショナルブランドを知らない者と思われてしまった。それが信じられないことではなくなってきたようで、時代の流れが感慨深い。

ナショナルのプレイヤでソノシートを回せば、諸行無常の響きあり。

ナショナルブランドの廃止発表は2008年のことのようですぽん。

おしまい

筆者 しらかわ(Twitter: @sylacwa)

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