ビジネスエシックス:企業の社会的責任

企業の社会的責任のことをCSRと呼ぶ。
多くの日本企業がCSR活動を行っており、CSRという概念は日本においてもすっかり定着していると言える。

企業の社会的責任に関して、最も有名なフレームワークはCarroll によるものだろう。

Carrollは企業の社会的責任として、

1. 経済的責任
2. 法的責任
3. 倫理的責任
4. フィランソロピーの責任

の四つをあげている。

経済的責任とは、企業には利益を出す責任がある、ということを意味しており、そのために良い製品やサービスを生み出すことが期待されている。

法的責任は、企業には法や規則に従う義務があることを示している。

倫理的責任は、法律によって規定されていないものの、倫理的にすることが期待されている事柄に関する責任である。例えば、タックスヘイブンを用いることは法律的に禁止されていない場合であっても、それが倫理的に正しいのかを問いかけ、実際に利用しないということが含まれる(もちろん、タックスヘイブンを活用することが倫理的に正しいのかどうかは議論の必要がある)

最後に、フィランソロピーの責任である。この責任は、もともと自由裁量の責任として1979年の論文において定義されていたが、1991年の論文で名前が変わった責任である。これは、良き企業市民であることを企業に課すものであり、企業がその裁量において社会にとって便益となることをする自由があることを示していると言えよう。

個人的にフィランソロピーという用語がキリスト教の価値観に基づいているのであまり好きではない。自由裁量の責任の方が個人的に好き。

ちなみに、Carroll はその後2003年のBusiness Ethics Quarterly の論文において、フィランソロピーの責任を倫理的責任等に埋め込んでしまい、経済・法・倫理という三つの責任に枠組みを整理している。

しかし、人口に膾炙しているのはもともとの四つの責任であるので、ここでも四つの責任について言及した。

References

Carroll, A. B. (1979). A three-dimensional conceptual model of corporate performance, Academy of Management Review, 4(4), 497-505.

Carroll, A. B. (1991). The pyramid of corporate social responsibility: Toward the moral management of organizational stakeholders, Business Horizons, 34(4), 39-48.

Schwartz, M. S. & Carroll, A. B. (2003). Corporate social responsibility: A three-domain approach. Business Ethics Quarterly, 13(4), 503-530.

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