エジプトでの講義 その7
今日はE-JUSTで仕事をする最終日。このプロジェクトはJICAや東工大、京大、早稲田、筑波など色々な大学の先生方が関わっていて、それぞれが非常に文化的違いから苦労をされている。
今日は、京大の中村先生がそういったプレゼンテーションをしてくださり、エジプトの高等教育の現状を分かりやすく説明してくださった。
1.エジプトはヒエラルキー社会
基本的に、エジプトではヒエラルキーによる差別がある。簡単に言えば、地位が下の人を見下す傾向がある、ということだ。もちろん程度の差はあると思うが、誰もが個人を尊重できる社会ではない、ということだ。
とりわけ、エジプトではエンジニアの地位が高く、こうした人々はプライドが高い。大学や大学院で言えば、工学系の方が理学系よりも優秀である、とみなされている。さらに面白かったのが、理学部卒の人は工学系の大学院を出ても学位を認められない、そもそも入学できない、ということだ。
エジプトではエンジニアというコミュニティが存在し、部外者は中に入れない、間違ってはいったものを追い出す、といった排除メカニズムがあるようである。
2. 工学系の学生の基礎学力の低さ
工学系は応用的、実践的学問であり、学問の基礎となる数学、物理学、化学といった基礎知識よりも、それらを用いたものに対する勉強をすべし、といった考えがあるという。
それゆえ、大学の教員であっても東工大の入試レベルの問題が解けなかったそうだ(手をつけられない)。大学院生も学部レベルの線形代数が解けない始末だったとのこと。
基礎なくして応用なし、ということの重要さを中村先生は強調されていた。
印象的だったのはこんな話。
やはり異文化環境で働くのは面白い。