「天職かも」と思った仕事でも続けられなかった
16年ぐらい前かな。某コーヒー豆&輸入食品販売店でバイトをしていた。
(カ◯ディではありません)
目新しいお菓子や調味料、それに芳しいコーヒー。
毎回出勤するのが楽しみだった。
先輩たちもみんなとっても面白くて良い人たちだったし、商品知識を学べるのも、日々入れ替わるお客さんの対応をするのも、自分の「経験値」という引き出しがどんどん増えていく感覚で充実の毎日。
勤務初日。
レジ対応をしていた時に威厳ある富裕層オーラを放った老紳士に
「あなた、井上さんって言うの?」と急に聞かれ
何か失態でもしてしまったかと「は、はい・・・」と引きつり笑顔で返事をしたら
「あなた、とっても良い接客をするね。」
と、まさかのお褒めの言葉。
あれこれといろんな仕事・いろんな職場を経験してきたけど、仕事で褒められた事なんて一切なかったわたしが、勤務初日に、こんなお金持ちそうなオジサマに褒められている。
あぁ・・・・接客ってわたしの天職なのかも知れない。
褒められた高揚感も相まって、真剣にそう思っていた。
ただ・・・その職場はたったの1ヶ月で辞める事になる。
当時、遅番シフトになると帰宅が23時過ぎで、翌日が早番だと9時には出勤。且つ遅番の日は朝の6時〜9時までコンビニのバイトを掛け持ちし、一度帰宅して家事をこなしてから、遅番出勤。出勤したらしたで、立ちっぱなし動きっぱなし声出しっぱなし、という「そんな働き方しなくても」な働き方をしていたので、体調がついてこなくなっていた。
そんなこんなで体調を崩しシフトに穴を開ける事が何度かあり、当時の店長(♂)に小言を言われるようになって間もなく、急に愛想を尽かされ、挨拶をしても無視をされ、バックヤードで見掛けたら先回りして違う出口から出ていかれ、挙句の果てには呼び出され「何で挨拶しない!」と謎の説教をされ、わたしの猛口撃が始まっての顛末が
「辞めたらぁーーー!」
だった。
・・・・・・今でも思い返します。
やっぱり、仕事自体はとっても楽しかったんだけどなぁ、と。
この職場を離れてからも何度か接客業には就いている。
百貨店での経験も積んだ。
人間観察が好きだし、人の心理を察するのも得意だから絶対向いてると
自負することもある。
だけど・・・・・やってる事と給料が見合ってないんだよな、販売って。
頭も身体も、何だったら心も使ってるのに、給料見て更に自分の中の何かが擦り減る感覚に陥ってしまう。んなもん、続かねぇって。
とは言え、たった1回のお褒めの言葉がこんなに歳月が流れても自慢に思えるんだから他人様からの評価ってある意味"麻薬的"だ。
やってて楽しいと思える職種でも、労働環境や雇用条件、共に働く人たちとの人間関係に収入、それらが全部ピターッとフィットしないと心底「楽しい!」なんてわたしはきっと思えないだろう。
この全部フィットした現実を「そうなるのが当たり前」とマインドセットして初めて、本当に自分の天職に巡り会えるのかも知れない。