2024年8月17〜18日(ミュンスター→ライプツィヒ)

 引越しの日。バスの停車場まで送ってくれたアネットと予想外に熱い別れの挨拶を済ませ、ライプツィヒへの深夜バスに乗り込む。規程で決められている持ち込み荷物の総量を軽々と超えており、乗車が認められない可能性があったのでニンジャのように素早く動く。
事前に引越し先に荷物を郵送するという方法もあったが、ドイツの郵送会社は何かと紛失や遅延などのトラブルが多く、出来れば避けたかった。
自分の知らないところで起こるトラブルより自分の目の前で起こるトラブルの方を選んだわけだ。
ただ、言葉ではそういってもこれから運ぶことになる大荷物を見て郵送を選んでおけばよかったと心底後悔したのは本当の話だ。
ミュンスターからライプツィヒまでは一本で直通ではなく途中4時間弱のトランジットを挟んだ。早朝の5時に放り出されてとりあえずバス停に机とベンチがあったのでそこに荷物を置いてぼんやりしていると30代半ばかそれ以上は言ってそうな女性の方が話しかけてきた。同じバス内にいたアクセサリーを首や手首にジャラジャラつけた迫力のあるおばさんだ。彼女もライプツィヒに行くようで従兄弟の家に遊びに行くと言っていた。そして話を聞いていくと彼女はまだ19歳かそこらだった。この女の子と15分に1回くらいのペースでポツポツ話をしてバスが来るまでの時間をしのいだ。
こういうのは道連れで多分心境的にはヒッチハイカーを乗せてやる長距離トラックのおっさんに近いのではないか。一人でいては眠ってしまう危険があり、長距離トラックにおいてはそれが事故に、そして我々においては盗難やその他のトラブルにつながる。この道連れの関係は期間限定のバディのようなものだ。性格的に合う合わないは別として、そこには少しの好奇心と人恋しさをスパイスにした妙な情のようなものが芽生える。そして、その過ごした時間の短さに反比例するように妙に記憶に残ったりするから不思議だ。
 ミュンスターを出てから約10時間、無事ライプツィヒに到着し、さっきの女の子とも別れ駅から徒歩10分くらいの新居への道を少しの不安とドキドキ、アホみたいな量の荷物を持って向かった。

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