絶望の天皇賞・秋 〜後編〜
前編はコチラ↓↓↓
馬券を購入し席に着いた瞬間以下の放送が入った。
「東京競馬騎手変更をお知らせ致します。武豊は5レース時に負傷した為〜」
同時にモニターに上記内容が映った。
頭が真っ白になった。
今まで静かだったメモリアルスタンドも騒然となる。
競馬ファンなら勿論のこと、それなりに競馬を知っている方でも昨年の日本ダービーのドラマをご存知でしょう。
「武豊の想いがドウデュースに伝わったあぁぁ!」
2022年 第89回東京優駿
後に世界最強馬となるイクイノックスすら凌ぐ逆襲の末脚。そしてダービーレコード。
ユタカはまたしてもディープインパクトに続く相棒に出会ったのだと誰もが感じたはずだ。
まさかの大レースで乗り替わりになるというアクシデントを想像出来ずに馬券を買ってしまった自分が完全に悪い。
戸崎Jとドウデュースのポテンシャルを信じるしかなかった。
小腹が空いたが前レースで負けて節約したいし何より仕事の疲労であまり動きたくなかった。
とはいえ話し相手もいない、スマホの電波が悪くて何も見ることができない、ただただ目の前の広大なコースを眺めるだけでは退屈だったのでメモスタのターフィーショップへ赴いた。
ま、まぁ9、10、11、12レースで取り返すし…!!?
と懸命に自分に言い聞かせ続けた。
😅💦状態になっているうちにペルセウスステークスが始まった。東京ダート1400m。
ヘリオスの単勝馬券を購入していたが乗り替わって戸崎圭太。仕方のないことだが人気が落ちていた。
アタマ差。あ、あっぶね〜〜〜
とりあえずプラスにはなったので良い景気付けにはなったと思う。
相変わらず疲れ果てていたのでパドックに行かず、席で眠ってしまった。もう自身のセキュリティもガバガバ。負け馬券しか入ってないし!笑
突然の拍手で起きた。
天皇皇后両陛下がお見えになったそう。
モニター越しから溢れ出る端正な佇まいに心を惹かれ、今日の中で一番美しい拍手を送った。
そして国歌斉唱。
私同様、気だるそうにしていたおじさんたちも起立し一気に厳粛な雰囲気となった。
スターターが現れた。
みんな大好きGIファンファーレがくるっ……!!
15分前まで上品な拍手を送ってた人間はファンファーレが鳴り響くと途端に大胆な手叩きをする猿と化す。
(あ、本馬場入場すら見てなかった…)
ゲート入りは順調。
「スタートしました!」
実況が叫んだがこっちからは何も見えない。
向正面に入ってやっと豆粒の群が姿を現した。
えーっとジャックドールが先頭で逃げていて、2番目は芦毛だからガイアフォースかな?
イクイノックスは……え!?3番手!!!
「1000m通過は〜57.7!!!」
周りがザワつき出した。
昨年のパンサラッサの大逃げによる1000m通過タイムが57.4秒。
ガイアフォースやイクイノックスとそんなに離れていなかったのもあり、ペースの速さをそこまで感じていなかった。
ジャック。頼む、やめてくれ。これ以上逃げたら……
故障する可能性が高いしリアル“令和のツインターボ”になってしまう……!
案の定栗毛の暴走機関車は4角で沈んでしまった。
だがまだ希望はある!
イクイノックスはどうせ1着なのでそこはどうでもいい。問題は相手がどうなるか。
ガイアフォースが粘っている!
ドウデュースとダノンベルーガ、川田(プログノーシス)来なさい!!!
ドウデュース行方不明!!!
ジャスティンパレスきたーーー!!!
距離短いと思って切ったジャスティンパレスきたーーーー!!!
終わったああああああああぁぁぁ
終わったああああああああぁぁぁ
ああああああああああぁぁぁ
完敗負けした私を更に追い詰める光景だった。
ただひたすら絶望した。
何故ならそもそもイクイノックスは"ジャパンカップに向けて"調整していた筈なのである。
通過点である秋天を涼しい顔で大レコード。
かつてGIになかなか手が届かなかったトーセンジョーダンが根性を振り絞ってやっと手に入れたタイトルとレコードを当たり前のように、あっさりと更新してしまった。
ジャパンカップにはタイトルホルダー、リバティアイランドが出走する。
※後にスターズオンアースも出走表明
正直勝てないと思ってしまった。
リバティアイランドもタイトルホルダーも
斤量差が4kgあるからリバティの方が有利だけど
イクイノックスは斤量60kgでも勝てると思う。
なんならルメールじゃない、競馬学校に通っている未来のタマゴが騎乗しても勝てるだろう。
今年凱旋門賞出ていたら悲願が叶っていただろう。
昨年の秋天で大逃げパンサを差したあの馬は
非の打ちどころが全く無い、負けるビジョンが全く見えない完璧な歴代最強馬となった。
競馬には絶対は無いが彼には絶対がある。
そう断言できる。
肩を落としながら帰宅したが、電車で若い男性2人が「ジャスティンパレス舐めてたわ〜」
「それな!ホントごめんなさいって感じ!」
という会話を交わしていて「(ウンウンすごくよく分かる)」と勝手に頷いてた。
残席販売をもぎ取り、恐らく一生に一度であろう天覧競馬に参加出来たことは大変光栄だったが非常に苦い思い出となってしまった。
追記:
ジャパンカップの指定席取れず……
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