世界のホースマンよ見よ!これが日本競馬ドラマの結晶だ!! 〜出走前編〜
私が密かに願っていた夢が叶ってしまった。
タイトルホルダー、スターズオンアース、リバティアイランドの3頭が同じターフの上を走ることである。
これが最初で最後だと分かっていたので寝坊しようが、急用が入ろうが、熱が40℃出ようが関係ない。
絶対に現地に行かなければならないという使命に駆られた。
無論指定席は倍率がトンデモなかったので入場券を購入。とりあえずレーシングプログラムを手に入れてドゥラッ仔たちを無事に見届けることが出来たらそりゃもう御の字だった。
一番遅い時間帯なのに既に電車が満員だったため、約20分間人と人と人と人の間に挟まっていた。
電車から降りた後の方が戦だった。
改札は人でごった返しており、この大混雑は入り口まで続いていることを察した。
徐々にフジビュースタンドへの通路を進むがなかなか進まない。祇園祭かよ。
そこで私は階段を見つけ次第下へ降りた。
元々府中競馬場のフジビュースタンドの受付バイトをしていた私は知っていた。
"2階よりも1階の方が圧倒的に暇だった"
つまり、1階は全然人が来ない穴場なのである!
とは思ったものの1階も想像以上に混雑していた。
スタッフの誘導もあるが、まぁこの人数だしね。
しかも横断歩道の信号短いから全然進まないし。
もう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
気が遠くなるくらい待って(言うて20分ぐらい)手荷物検査を済ませて中へ入った。
レーシングプログラムをちゃんと手に入れそのまま真っ直ぐ2階へ上がってパドックがよく見える段差に座った。
後ろを振り向けば馬券販売機があったので、時々馬券を買いに席を外し、暖かい煎茶を飲みながら2時間待ち続けた。
ちなみに当時の気温は最高気温9℃、空はずっとどんよりしており小雨が降ったりもした。
それでも、明日風邪ひいても良いのでしっかり目に焼き付けたかった。ヒーローたちを。
座っていると時々若い男性集団や50代ぐらいの夫婦がパドックを見にくる。
特に若い男性方は会話が非常に面白い。
パドックのモニターにはレースがリアルタイムで中継されているが、みんな馬券を片手に
「6番どっかいったーー!」
「いや、6番当てたら万馬券だろ笑」
「待て、当たったと思いきや3番と13番間違えた!」
「アホか〜」
勝っても負けても楽しそうで、待ちくたびれ地獄を絶賛味わっている私も仲睦まじいその様子に癒された(?)
また中年のご夫婦は会話こそ必要最低限しか交わさないものの、カレーパンを半分こして食べていた。
なんだかお腹が空いてきたなぁ
鞄の中から食料を取り出し、口の中に放り込んだ。
※自称"府中競馬場案内人"の私、飲食店やコンビニは大混雑していると踏んでいたため予め最寄り駅のコンビニでおにぎりと巨大ワッフルを買って持ってきていたのである。
NEWDAYSの巨大ワッフルは非常に美味しい。
前回の秋天も思ったが、やはりカップルや友人、夫婦できている人が多い。
一人で来ている奴なんて巨大カメラを持っている人か古参おじさんかオタクみのあるお兄さん、そして私ぐらいしかいないのである。
私の友人はみんな真面目なのでギャンブルに一切手出さないし、大阪杯を見るためにわざわざ一緒に着いてきてくれた元彼はもういない。
うぅ……寂しいのう。
それ以上に、競馬場で単独行動はやりずらい。
1人がご飯を買いに行って1人が場所を取る等の連携プレーが出来ないし、話し相手がいないのでひたすら暇で仕方ない。
基本電波が悪いのでスマホも触れないし。
「競馬好きの友だち作れば良いじゃん」と何度か言われたことがあるが、予想の時とか喧嘩になりそうなので遠慮している。
自らそういう判断をしているので文句を言うのはおこがましいのである。
色々考えたり馬券買っては負けているうちに東京第11R出走馬のパドック入りの時が遂にやってきた。
1番のリバティアイランドが最初に来る……
世界最強馬に向かってズッコケるのは生意気だが彼を見るのは3回目。もうマブタチということで良いでしょ(?)
それにしても相変わらず青鹿毛の馬体が輝いており、歩様も完璧。顔もイケメン。なんだか悔しい……
お初にお目にかかります。
そう私が凹んでいた時、いつもレースを通じて勇気と希望を与えてくれたドゥラメンテの代表初年度産駒が姿を現した。
その名は
やっと逢えたね。ずっとこの時を待っていたよ。
栗田さん及び陣営の方々、タイトルホルダーを5歳まで走らせてくれてありがとう。ドゥラメンテありがとう。
様々な想いが溢れ出てきて、感涙しているとターフのエンターテイナーがやってきた。
パンサ!久しぶり〜1年ぶりだね〜!!!と心の中で叫びながら手を振ってしまった。
ちなみに矢作調教師は例のオシャレハットを被っていたのですぐ分かった笑
まさかパンサラッサがジャパンカップ出てくるとはね……
ドゥラッ仔2頭目かつ2年目産駒のスターズオンアース。
大阪杯以来の再会。あの時は不利を受けたこともあり結構苦い思い出となったが。
複勝率100%!
どんな不利を受けようとも3着以内は外さない!
英のリーディングジョッキービュイック騎乗!
何より一番ドゥラメンテに似ている可愛い娘!
+12kgと随分とデカくなったが太くなった感じはしなかった。昨年の有馬のエフフォーリアと比べれば。
大丈夫、いける。
そして最後に登場したお嬢さん。
お嬢さんと会うのは今年のオークス以来。
本当に3歳牝馬か!??と思わせるぐらいの貫禄。
お嬢さんじゃない、"女帝"だよ彼女……
曾祖母エアグルーヴみたい。
※今回はドゥラッ仔とイクイノックス、パンサラッサのことしか書きませんでしたが次の記事では紹介しきれなかった他馬についてのコメントと致しますのでご了承ください。
ジャパンカップ出走馬たちを舐めるように見た後、急いでコース場へ向かおうとしたが、3階スタンドから見下ろした時にはもう人でごった返していてとてもあの中に入る勇気は無かった。
3階スタンドも混んでいたが馬群ならぬ人群の間を縫ってゴールが見える位置を確保出来た。
身長が小さくて良かったと初めて感じた瞬間でもあった。
場所を確保するのに必死だったので本馬場入場と返し馬はいつの間にか終わっていた。
厨二心擽る煽りV、そしてスターターが発馬機へ向かう。
あぁ……今回は歴史に残る名勝負になるに違いない。
世界最強イクイノックスに大逃げパンサラッサ、逆襲のドウデュース、連覇を狙いたいヴェラアズール、GIタイトルが欲しいダノンベルーガとディープボンド、復活狙うタイトルホルダー、脚部不安を乗り越えたスターズオンアース、そして…そしてリバティアイランドは初古馬GIかつ初牡馬牝馬混合戦かつこの豪華メンバーでどこまで通用するのだろうか。
胸の高鳴りが止まらなかった。
……To be continued