第31節 アビスパ福岡vs清水エスパルス レビュー
アビスパ福岡にとっては勝利すれば悲願のJ1残留。
清水エスパルスにとっては残留のために是が非でも勝ち点3が欲しい一戦。
やはり非常に熱い試合となり、チャンスを生かした清水が2-1で勝利を収めた。
勝利への貪欲さで上回られると、こういった試合となる。
前半戦
試合の入りはやはり、清水がボールを握った。
タメが作れスペースに流れることもできるチアゴ・サンタナにボールを集め、主にサイドから攻撃を構築。
結果的に、スタメンとして出場した両チームの2トップの関係性の差が、試合の行方を大きく分けることとなる。
アビスパは13分、杉本がワンツーを繰り返してシュートを放つとそこからペースを握る。
連勝中のように、ボールは相手が持つが試合の流れはアビスパが握るという展開になるかと思われた。しかし。
前節のフアンマのゴールがそうであったように、サッカーでは一瞬の隙から得点が生まれることが往々にしてある。
27分、飲水タイム直後のスローインからボールを失うと、最後はチアゴ・サンタナが押し込んで清水が先制。
このゴールでアウェーチームがリズム奪い返し、0-1と清水リードで前半を折り返した。
後半戦
アビスパは渡を投入し、逆転を狙いにいく。ところが、清水は後半開始直後の48分にカルリーニョスが決め0-2。
この場面は軌道といいスピードといい、100点満点のクロスを送った西澤を褒めたい。
アビスパとしては低い位置の球際の争いで負けてしまったことが問題であり、CHの2人を含め守備陣は改善の余地がある。
しかしここから、昇格チームながら20チーム中8位に付けるアビスパが意地を見せる。
積極的に交代枠を使いながら攻勢を強めると、82分に志知のクロスからジョン・マリが決めて1点を返す。
ここからは完全に、得点を目指すアビスパと逃げ切りを目指す清水という構図に。
途中出場で身体のキレが抜群だった渡が何度もチャンスに絡む。
中でも86分に完璧な切り返しからGKとの1対1を作った突破は素晴らしかったが、シュートは枠の右。
96分のFKではジョン・マリの折り返しを奈良が詰めたが、合わせられず。ラストワンプレーまで決定機を作りながら、1-2での敗戦となった。
ただ、サッカーは順位と勝敗が分かれることが非常に多いスポーツ。次の試合までは2週間空くため、珍しく迷いが見られた場面があったこと、ゲームが途切れた直後の集中力、全体的な距離感を微修正し勝ち点3を目指さねばならない。
採点(及第点5.5)、寸評
GK村上昌謙 5.5 失点に直接の責任はないが、2失点ではこういった評価に。キックの精度は良かった。
DFエミル・サロモンソン 5.0 あまり身体のキレが感じられなかった。20分のクリアミス、裏のスペースを狙われた使われたことでこの評価に。
DF奈良竜樹 5.5 対人能力抜群の彼には珍しく、大事な場面でチアゴ・サンタナを抑えられず。それでもラストワンプレーを決められれば、ヒーローだった。
DFドウグラス・グローリ 5.0 先制された場面で前と交錯。雑にでも蹴り出すべきだった。2点目の場面も潰し切れず、スペースを空けてしまった。
DF志知孝明 6.5 戦う姿勢と積極性を90分間示し続けた。線を引くようなクロスでジョン・マリの得点をアシスト。65分にクリアを拾われ決定機を作られたことは改善の余地あり。
MF金森健志 5.0 存在感を示せず。サロモンソンとの関係性もイマイチで、噛み合わない清水の立ち位置に手を焼いた。
MF重廣卓也 5.5 CHらしい仕事が求められ、らしさを出せず。考えてプレーしていたが、パスの精度を欠く場面が目立った。
MF前寛之 5.5 27分の場面でグローリと交錯し失点に関与。さすがの上手さも見せたが、ややパスが短い場面も。
MF杉本太郎 6.0 13分の、ワンツーからの枠内シュートから流れが変わった。64分にもバイタルエリアから惜しいシュートを放つ。右サイドに顔を出すなど非常に流動的だった。
FWブルーノ・メンデス 5.5 プレーエリアが狭く、山岸との連動性も今ひとつ。試合勘の問題か。
FW山岸祐也 5.5 コンディションは悪くなかったが、個で打開するタイプではないこともあり上手くいかなかった。
FW渡大生 6.0 メンデスに代わって後半開始から出場。気迫と抜群の切れ味で何度もスタンドを沸かせた。ただ、渡の日ではなかった。
MFジョルディ・クルークス 6.0 金森と交代し62分より出場。右サイドやFKから何度も見せ場を作り、アシストを記録してもおかしくなかった。
MF田邉草民 5.5 重廣と交代し62分より出場。前線に絡み勝利への姿勢を示した。74分のヘディングは枠に飛ばしたかった。
FWジョン・マリ 6.5 山岸と交代し62分より出場。強さを見せると共に、81分に1得点。ラストワンプレーでも決定機を生んだ。ゴール前での迫力は相当なもの。
DF湯澤聖人 5.5 サロモンソンと交代し76分より出場。右サイドを活性化させ、クルークスとのコンビは清水を苦しめた。
長谷部茂利監督 5.5 交代枠を使いながら、試合終盤にかけて攻撃の迫力を増していったが敗戦。キープ力と献身性に秀でたフアンマを欠く中での、スタメン構成に課題が残った。
気になった出来事
ゲストとしてスタジアムを訪れたHey! Say! JUMPの薮宏太さん。年間300試合を観るとの情報通りJリーグの知識も豊富で、コメントもポジティブかつソツがなかった。今後、サッカー関係の媒体で見かける機会が増えるかも??
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