第36節 柏レイソルvsアビスパ福岡 アビスパ視点レビュー
スターティングメンバー
相手に合わせて3-4-2-1から4-4-2にシステムを変更したこともあり、前節からのスタメンの変更は4人。
カルロス・グティエレス、エミル・サロモンソン、杉本太郎、そして山岸の長期離脱が発表されたFWにはフアンマが起用された。
試合内容
残留を決め、プレッシャーから解き放たれた両チーム。
4-4-2というお互いに慣れ親しんだ、噛み合う形でぶつかり合ったことで積極的な戦いとなった。
アビスパの狙いの1つは、フアンマがGKとCBの間にクロスを入れ、杉本を狙った5分の場面に現れていた。
ボールサイドで三角形を作りパス交換から打開し、GKとCBの間のスペースを狙っていく。
対するレイソルはいつものように幅を取りサイドを起点に、キープ力にもシュート力にも優れたクリスティアーノを中心に攻め込んできた。
前半はお互いに決定的な場面は少なく、18分にグティエレスのロングフィードにフアンマがダイレクトで合わせたボレーシュートはそのうちの1つ。
金森と杉本というSH2人が3バック時の2列目のように、中央寄りにポジショニングを取ることによって生まれたチャンスも見られた。杉本の持ち上がりから志知がクロス、ニアサイドにポジションを取った金森が左足を合わせた24分のチャンスは形は狙いが出た形。
37分には前が攻撃に参加し、狙い通りにGKとジョン・マリの間に紙一重のクロスを供給したが僅かに合わず。
スコアレスドローのまま前半を終え、お互いに交代のないまま勝負の後半へ。
後半も五分五分に近い時間帯が続き、50分にはクリスティアーノに抜け出されシュートを許す。しかしここはGK村上がストップ。この直後のシュートも志知が決死の寄せでブロックし事なきをえた。
アビスパも負けじと68分、サロモンソンのFKにグローリが合わせたが僅かにサイドネット。
両チームを通じて最初の交代が73分だったことからも、両指揮官が一定の納得をしている展開だったことが分かる。
最後の15分程はレイソルの時間帯が続いたが、DFラインを中心に身体を張った守備で失点は許さず。
お互いに攻撃陣を入れ替え、得点を目指すも勝ち点1を分け合うこととなった。
採点(及第点5.5)、寸評
GK 31 村上昌謙 6.0
クロスに対し、適切な対応を続けた。ビッグセーブの少なさは正しいポジショニングを取れているからこそ。
DF 3 エミル・サロモンソン 6.0
セットプレーで供給したボールの質は良かったが、ピンポイントでは合わず。時間の経過と共に、攻撃参加の回数が増加。
DF 4 カルロス・グティエレス 6.0
序盤こそグローリとの間にスペースができる場面があったが、その後は久しぶりの出場ということを感じさせないプレー。18分にはロングフィードで惜しいシーンを生み出した。
DF 33 ドウグラス・グローリ 6.5
強さはもちろん、この試合でも抜群の安定感。コンタクトに強いクリスティアーノ相手にも負けず、むしろ身体をぶつけたクリスティアーノが倒れた55分のシーンには驚かされた。
DF 13 志知孝明 6.5 MAN OF THE MATCH
対人の強さで突破を許さず、90分を通して集中力を切らさなかった。さらに51分のシュートブロック、71分の2度のクリアでチームの危機を救った。
MF 37 金森健志 6.0 (73分OUT)
やや中央寄りのポジショニングから積極的な仕掛けを見せる。サイドに張るより強みを発揮できるのは間違いない。
MF 40 中村 駿 6.0
素早いカバーリングでスペースを消す。前が攻撃参加できるのは、中村の守備への貢献が大きいからこそ。
MF 6 前 寛之 6.5
この試合では守備以上に攻撃面で見せ場を作った。長谷部監督の戦術との嚙み合わせはこの上ないほど抜群で、プレーの幅は日進月歩の勢いで広がるばかり。
MF 8 杉本太郎 6.0 (81分OUT)
スペースでパスを受けることが多く、ここ数試合よりもらしさを発揮。金森との距離感が近く、逆サイドの2人とは思えないコンビネーションを見せた。
FW 9 フアンマ・デルガド 6.5 (81分OUT)
ポストプレーやスペースへのランで貢献も、ゴール前では自由にさせてもらえず。後ろからのロングフィードに合わせた18分のボレーが決まっていれば、おそらく今節のベストゴールだった。
FW 30 ジョン・マリ 6.0
狭いスペースでも前を向く技術の高さでシュートに持ち込んだ。運動量の乏しさも以前に比べると改善し、流血にも負けず。一方で、身体の大きさの割に競り合いでは相手を上回れなかった。
途中出場
MF 19 田邉草民 6.0 (73分IN)
交代直後は右サイド、吉岡投入後は左サイドでプレー。ユーティリティさとセンスの高さで貴重な存在。
MF 29 吉岡雅和 採点なし (81分IN)
右サイドから、渡とのコンビネーションでチャンスに絡んだ。90分にはその渡に高精度のクロスを供給。常時出場機会を得るためにはもう少しアピールしたかったが。
FW 17 渡 大生 採点なし (81分IN)
積極的なプレーは今日も健在。ボールを引き出す動きも良かった。90分にはクロスに合わせシュートを放った。
監督 長谷部茂利 6.0
今回も同システムをぶつけたが、この試合ではどちらかと言えば相手の良さを消すというよりも自分達らしさを出すことで善戦。5レーンの使い方は開幕直後とは比べ物にならないほど向上している。
気になった出来事
56分に、接触でジョン・マリが流血。笛が鳴らないままレイソルのチャンスに繋がったが、レイソルのGKキム・スンギュは味方にボールを外に出すよう伝える。人柄とフェアプレーの精神がよく現れた場面だった。
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