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今、昇格争いが面白い

はじめに

新型コロナウイルスの影響で大幅な延期となり、シーズンの成立も危ぶまれた2020シーズン。
医療関係者の方々の懸命の努力のおかげでなんとか再開にこぎつけたものの、J2はそこからほぼ週に2試合ペースでの試合が続き、このまま順調に進んでもシーズンが終わるのは年の暮れである12月20日。
そんな過去に類を見ないシーズンにおいて、上位3チームによる昇格争いが熾烈を極めている。
J2の歴史でも最も激しい昇格争いというべき現状を、サッカーのことを詳しくない方にも伝わるように纏める。

昇格争いの基本


Jリーグは勝利で勝ち点3、引き分けで勝ち点1が得られる。現在、首位・徳島が勝ち点68。2位・アビスパが65。3位・長崎が63。
4位の甲府が勝ち点55であることからも分かるように、3位チームが抜きん出ている。
更に、第33節終了時点で3位の勝ち点が63というのは2016年と並ぶ過去最高の数字だ。
とはいえ、裏を返せば2016年と同じような状況なのに、なぜ今年が過去最高の激しさだと断言できるのか。


J1への昇格枠というのは、例年2.5〜3枠ある。
1位と2位が自動昇格。3位〜6位でトーナメントによるプレーオフを行い、ここでの勝者が昇格、もしくはJ1の16位のチームと入れ替え戦を行う、という流れだ。

予想外の事態


今季も2.5枠の予定だった。ところが今季ははじめに書いたように、予想外の大幅な延期。再開後もしばらくは無観客試合が続くことが想定され、各クラブが経済的に非常に大きなダメージを受けることとなってしまった。
報道によると全クラブのうち8割ほどが赤字となる見込みだという。
ただでさえ深刻な状況で、加えて降格までしてしまうと、クラブ運営において致命的なダメージともなりかねない。
そこで今年は、J1からJ2へ、J2からJ3へという降格制度を行わないこととなった。

その反動


この反動でJ2からJ1への昇格枠が狭まり、2になったのだ。
2ということはつまり、プレーオフがない。単純に1位、2位になったクラブが昇格となる。
例年ならば、惜しくも3位になってしまってもプレーオフでの昇格の可能性が残る。しかし、今年は3位には何にも残らないのである。


使い古された表現だが、まさに天国と地獄。
しかも先に述べた通り、現在は3位がこれまでで最高タイの勝ち点を取っており、昇格は99%この3チームに絞られている。
この先も激しいデッドヒートが続くことが予想されるが、いくら勝ち点を稼いでも絶対に1チームは上がれない。

デメリット


経営の健全化のために一時的に降格を無くすことはやむを得ないが、良いことばかりでもない。
プレーオフや降格がないことで、2位以上に入る見込みがなくなってしまったチームや下位チームのモチベーションが、どうしても例年より低くなってしまっている。
選手個々はそんなつもりは毛頭ないだろうし自らのプロサッカー人生をより良いものとするために懸命にプレーはするだろうが、足が攣るぐらいまで、100%以上の力を発揮する動機はなくなってしまっているのが現実。


だからこそ昇格というニンジンを目の前に吊るされ続けている上位3チームとはモチベーションの差が生まれ、3チームの勝ち点がハイレベルなものになっているとも言える。

まとめ

安定感とポジショナルプレーの徳島、守備力とインテンシティのアビスパ、攻撃力と個の力の長崎と3チームの特徴はまるで異なっている。勝ち点差も僅かな中にいる。しかも前代未聞の過密日程のなか、1チームは確実に上がれない。
客観的に見ることができる立場からすると、これほど面白い状況があるだろうか。
2枚しかないJ1への切符を懸けて、残すは9試合。三つ巴の戦いは激しさを増すばかりだ。


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