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第5節 アビスパ福岡vs鹿島アントラーズ レビュー

前節同じく昇格組の徳島を相手に逆転し、今季初勝利を挙げたアビスパ福岡。

J1での連勝を、そしてこの相手に対して15年ぶりの勝利をかけて、鹿島アントラーズをホームに迎えた。

スタメン・ベンチメンバー

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GK村上、DFは右からサロモンソン、グローリ、宮、志知と守備陣に入れ替えはなし。
CHはカウエと前のコンビ、SHは右に吉岡、左に石津、そしてトップ下の位置には重廣。形としては前節の後半のものを継続している。
怪我人が相次いでいるFWには高2までFWだったものの、プロとしてはCBが本職の三國が入るというサプライズ。

ベンチにはGK永石、DF湯澤、グティエレス、輪湖、MF田邉、金森、FW山岸が入った。

前節から中3日、次節もまた中3日のため、ある程度疲労も考慮しての人選だろう。長谷部監督の言葉を借りると、「今日のベストメンバー」だとも言える。

前半戦

試合序盤の失点が多いアビスパとしては、0-0の時間を長くすることはミッションの1つだった。

ただし失点しないことばかりを考えると引き過ぎてしまい、かえって失点に繋がるというのはサッカーにはありがちでその塩梅が難しい。

そんな状況にもアビスパは消極的にならず、高い位置からプレスに行きむしろ積極的に試合に入ることができた。

1分、重廣が左サイドで受けるとトップスピードでインナーラップしてきた志知へと繋ぎ、完全にフリーでクロス。
ファーサイドの吉岡が胸トラップしもう一歩でシュートという惜しいシーンを作った。

鹿島も2分に、東福岡高校出身で絶好調の荒木が裏に抜け出すも、これはオフサイド。

アビスパはその後もラインを下げることなく、やりたいことを遂行。三國が片方のサイドに向かわせCHは重廣が見ることで、鹿島はビルドアップが噛み合わず長いボールが多くなってしまう。

それでも地力では分のある鹿島は、15分を過ぎると徐々にボールを支配。

18分、素早いリスタートに対してグローリとサロモンソンがポジションに戻れず、DFラインが揃わないなか土居に突破を許す。左からグラウンダーのクロスを入れられ、荒木が飛び込んだが僅かに合わず。

ボード解説①

シュートまでは到らなかったが、とても良い形が観られたので紹介したい。
31分、左からのスローインに対し三國が相手の手前に入る。

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そして落とし、吉岡が重廣へ繋ぐ。

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重廣は適度に溜めて中央に入った石津へラストパスを送ったが、惜しくも鹿島の選手にカットされた。

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少ないタッチ数で、かつとても流動的な攻撃だった。こういった形は開幕戦では観られなかったものであり、攻撃の質が向上していることを示している。

35分にはループパスを受けた荒木が胸トラップからアクロバティックなシュート。実力を示したが、グローリが身体を当て続けたこともありGK村上の正面。

試合の潮目が変わったのは37分のこと。吉岡が永戸のパスをブロックし、三國と関川の競争に。一瞬速くボールに触ったのは三國。スライディングにいった関川は足裏で三國と接触してしまい、レッドカードの判定。これで鹿島は10人で戦うことを余儀なくされる。

勢いを増したアビスパは41分、CKのチャンスを得ると、サロモンソンのキックはニアに飛び込んだ宮の頭にピタリ。しかし深く当たり過ぎてしまい、惜しくもサイドネット。

得点は挙げられなかったが、スコアレスで前半を終えることには成功した。

後半戦

ハーフタイムを経て、両チームとも2人を交代。アビスパは金森、山岸を投入し、山岸と三國を2トップに据えた4-4-2へと変更。得点への意欲を表していく。

ただ鹿島も、10人とは思えないほぼ五分五分の戦いを見せる。47分にはCKに町田が合わせたが、枠の上。

アビスパらしい攻めが観られたのは52分。重廣の縦パスがスイッチとなり、三國、金森、石津と繋がる。石津は左からクロスを上げたが、ブロックにあう。

続く55分にも、シュートには繋がらなかったが石津のポジショニングの妙が分かりやすいシーンがあった。宮のFKを前方にいた重廣が受け、さらに前方の石津へ。石津はワンタッチでサイドにはたき志知のクロスへと繋がったのだが、ハーフスペースかつ鹿島の3人の間に立つことでマークをかいくぐっている。

そしてこのシーンは左右は違えど、SHがハーフスペースで受けDFを引きつけて、SBに繋いでクロスという、後の得点シーンと似た場面でもあった。

ボード解説②

58分には鹿島に大きなチャンス。宮のクリアがブロックされ、ファン・アラーノの元へ。

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すぐにクロスを上げ、その先には走り込む土居。通ればおそらく1点だったが、しかしグローリが懸命に足を伸ばしてクリアし、難を逃れた。

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70分には左サイドでのワンツーで途中出場の田邉が抜け出すとクロス。ゴール前は3対3になっており、金森が頭で合わせたがGKの正面。


ここからの時間帯の主導権を握ったのは10人の鹿島。1人少ないことを忘れさせるような積極的な守備から、途中出場の松村の突破力や数多くのセットプレーからチャンスを生み出していく。

83分にはクロスの溢れ球を、三竿がダイレクトで決定的なミドルシュートを放ったが、GK村上がビッグセーブ。

ボード解説③

そうしてしのぎ、アビスパがワンチャンスをいかしてみせたのは85分だった。
グローリはサイドへのパスではなく浮き球での田邉へのパスを選択。

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ハーフスペースで受けた田邉はサイドのサロモンソンに落とす。
中を経由することでサイドの選手がフリーでクロスを上げられるだけの時間とスペースを作った。

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そしてサロモンソンのクロスを山岸は胸で落とし、これに左足を振り抜いたのは金森。

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見事なボレーシュートで先制に成功した。

鹿島も意地を見せ、アディショナルタイムには鹿島の犬飼がネットを揺らしたが、VARにより起点となった場面でサロモンソンへのファールがあっとして得点は取り消された。

このまま終了し、1-0でアビスパが15年ぶりに鹿島から勝利。9位にまで順位を上げている。

一方の鹿島としては0-1という結果はもちろん、関川の退場、和泉と土居の負傷と今後に向けて痛い結果となってしまった。

採点(5.5が及第点)、寸評

GK村上昌謙 6.5 ハイボールに対してはイージーなボール以外リスクを犯さず、パンチングを選択。83分にはミドルシュートをビッグセーブ。ただ、75分のCKは飛び出したものの触れなかった。

DFエミル・サロモンソン 7.0 27分には和泉の突破を止め、85分には決勝点に繋がるクロスを供給。彼のクロスの精度はチームの大きな武器だ。

DFドウグラス・グローリ 7.0 エヴェラウドをほぼ抑え切る。58分には決定的なクロスを懸命にクリア。

DF宮大樹 6.5 最後の所で何度も身体を張った。試合をこなす毎に連携もコンディションも向上している。志知へのパスの軌道で左利きである利点も発揮。 

DF志知孝明 6.5 これまでに比べ積極的に攻め上がり、何度もクロスを供給。フィジカルコンタクトでもほぼ負けず、帰陣も速かった。

MFカウエ 6.0 空中戦に強く、また彼が残っていることでバイタルエリアを空けずに済んでいるが、パスの精度に問題あり。前半のみの出場に。

MF前寛之 7.0 見事な順応力。少ないタッチ数で散らせるようになってきたし、中3日でも色々な場所に顔を出していた。

MF吉岡雅和 6.0 攻撃ではなかなか違いを作れずも、素早い守への切り替えでチームのバランスを保つ。前半のみの出場に。

MF重廣卓也 6.5 やや左寄りのプレーエリアで、上手く攻撃に関与。得点には関われなかったがセンスは抜群。シュートも観たい。

MF石津大介 6.0 ポジショニングは適切だが、攻撃ではあまり目立てず。63分に田邉と交代し退く。

FW三國ケネディエブス 6.0 プロとしては本職はCB。それもあって守備面以外の仕事はなかなかできなかったが、一瞬のスピードで関川を上回り勝利の可能を上げる大きな仕事を果たした。72分に退く。

MF金森健志 7.5 MOM。吉岡に代わって後半開始から出場。古巣を相手に、価千金の先制ゴールを奪う。終了直後のガッツポーズ、そして涙がこの試合に懸ける想いを感じさせた。

FW山岸祐也 6.5 三國に代わって後半開始から出場。ゴールシーンでは絶妙な胸での落としでアシストを記録した。

MF田邉草民 6.0 64分に石津に代わって左SHの位置に入り、72分からは1.5列目のような位置に移る。ユーティリティさに加え、ゴールシーンでも良いポジショニングで縦パスを受けた。

MF輪湖直樹 5.5 72分、三國と交代で本職のSBではなくSHとして投入されたが、なかなかボールを受けられず。ただ、左サイドの守備は安定させた。

DFカルロス・グティエレス 採点なし 88分、重廣と交代でピッチへ。しかし、VARに救われたもののネットを揺らされたシーンでマークを離してしまった。

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