新加入選手紹介:ジョルディ・クルークス&ブルーノ・メンデス
前にもTwitterのほうに書きましたが、外国籍選手はどうしても情報が少ないため今回はジョルディ・クルークス選手とブルーノ・メンデス選手の二本立てでお送りします。
一粒で二度美味しいと思って頂けたら…。
では本文です。
ジョルディ・クルークス
今季の新加入選手のなかで、最も予想外の獲得だったのではなかろうか。
昨年から在籍しているグローリ、グティエレス、フアンマ、そして完全移籍へ移行したサロモンソン。
この4人に加えてブルーノ・メンデスの加入が噂されていた(その後1月13日に正式に加入)ため、今季の外国籍選手はこの5人なのだろうと思われていたからだ。
そんな中、なんの報道もないまま突如オランダ2部のローダJCから獲得が発表されたのが、ベルギー人のジョルディ・クルークスだった。
クルークスの経歴
クルークスは1994年1月15日に、オランダ国境にほど近い、ハッセルトで生まれた。
つまり、今日が誕生日!おめでとうございます!!!
ハッセルトは人口7万人ほどの都市で、姉妹都市である伊丹市の協力で造られたヨーロッパ最大の日本庭園があるそうだ。
ジョルディはU-15からベルギーの年代別代表の常連となり、U-19代表としても8試合に出場、1得点を決めている。
順序は前後するが2011年、17歳でベルギーの名門・ヘンク(現在、日本代表の伊東純也が所属)でトップチームへと昇格。この頃は主に左サイドを務めていた。
しかし、この時のヘンクにはデ・ブライネ(現マンチェスター・C)やベンテケ(現クリスタル・パレス)などが在籍しており、非常に厳しい競争にさらされることになる。
2011-12シーズンは9試合、2012-13シーズンは6試合、2013-14シーズンの前半戦も6試合の出場とポジションを勝ち取ることはできず。
2014年1月に同じくベルギーのOHルーヴェンへと期限付き移籍となるがここでもレギュラーになれず、2014年夏にオランダ2部のMVVマーストリヒトへと移籍。
その後ヴィレムⅡ(オランダ1部)でプレーしたのち、2019-20シーズン前にローダJC(オランダ2部)へとフリーで加入する。
このシーズンは公式戦31試合にスタメン出場するなど主力に定着し、2020-21シーズンの前半戦でも16試合で3得点1アシストと結果を残していた。
しかし、おそらく新型コロナウイルスの影響でクラブの収入減もあったのだろう。ローダJCはクラブの中で年俸が高かったクルークスと相互合意で契約解除。そしてクルークスはフリーという形でアビスパ福岡へ加入した。
2023年1月までの2年契約だそうだ。
オランダでのこれまでの通算成績は、エールステ・ディビジ(オランダ2部)で137試合24得点32アシスト、エールディビジ(オランダ1部)では59試合2得点8アシスト。
十分な実績を引っさげて日本へとやってくるのだから期待してしまう。
クルークスのプレースタイル
オランダに渡って以降は主に右SHで出場していたため、おそらくアビスパでもその位置で起用されることになるだろう。
縦に縦に突破、というよりも左利きの利点をいかしてタイミング良く切り返して中を向き、シュートかクロスか、というタイプのようだ。
スペースを消してくるJリーグにどれだけフィットできるかが鍵となるが、この秘密兵器が輝けば輝くほど長谷部監督の掲げる勝ち点50という目標へと近付くことだろう。
ブルーノ・メンデス
待望の、J1での実績も十分なFWが1月13日に加入した。
雁の巣にある練習場から近い照葉のホテルにいることがSNSから分かってしまっていたため、サプライズとはならなかったがやはり実際に決まると嬉しい。
セレッソ大阪で、一昨年は6得点、昨年は9得点を奪ったストライカーである。
これまでの足跡
B・メンデスは2007年、12歳の時にグアラニFCの下部組織に入団した。
そしてグアラニFCのトップチームへ昇格し、2012年1月21日に17歳でサンパウロ州選手権でプロ初出場。3月17日にプロ初得点を決めている。
2012年8月に所属元がマカエEFCへと変更になり、9月にマカエEFCから期限付き移籍でボタフォゴFRへ。
これはグアラニFCから彼の保有権を買い取った所がマカエEFCを所属クラブとして登録したためだ。
南米の選手にはしばしば見られることだが、B・メンデスでいうマカエはあくまでも拠点となる所属元クラブであり、そこでプレーすることはまずない。
保有権を持つ所と所属元のクラブは、そこから期限付き移籍を繰り返すことで利益を得て、さらに評価額が上がったタイミングで売却できれば大きな利益を産むことができるという仕組みだ。
B・メンデスは2013年にU-20ブラジル代表に選出されている。
14年1月に、どういう経緯かは分からないのだが、所属元クラブがウルグアイ2部のマルドナド・デポルティーボへと変更。
そしてここから、マルドナドからの期限付き移籍という形で様々なクラブでプレーすることとなる。
アトレティコPR、アヴァイFCといったブラジルのクラブで経験を積み、2015年7月には初の国外となるポルトガル、プリメイラ・リーガのヴィトーリアSCへ。
欧州の組織的なサッカーを経験するなかで、チームプレーの部分で大きく成長を遂げた。
ここで2年間過ごし、その後は古巣のグアラニFCでプレー。
そして2019年1月10日、セレッソ大阪へ期限付き移籍で加入し、日本でプレーすることになる。
1年目は24試合の出場で6得点。
助っ人としては特別多い数字ではないが、守備も献身的で身体を張ってキープもしてくれるB・メンデスへの評価は非常に高かった。
そのため2019シーズン後、セレッソは保有権を買い取り完全移籍での獲得を目指している。
しかし高額な違約金が障壁になってしまい、一時は退団も噂される事態に。
それでもセレッソが再オファーをし、期限付き移籍の延長という形で2020シーズンも日本でプレーすることとなった。
2020シーズンは開幕戦の大分トリニータ戦で決勝ゴールを決めるなど9得点。チームのトップスコアラーと結果を残したが、保有権のややこしさなどが響いたのか昨シーズン限りで退団となりセレッソを離れていた。
B・メンデスのプレースタイル
保有権の問題はあるが、本人は全くエゴイストなプレーヤーではなく、人柄も素晴らしい。
「自分はまずグループのことを考えていて、その後に個人の結果だと考えている。だからディフェンス面でもハードに戻ったりしている。」
「前線で身体を張ってキープして、タメを作ったりとか味方が休む時間を作ったりするのが自分の特徴。」
と自ら語るほどに、チームに貢献してくれる選手である。
それでいて得点力にも期待できるのには、長身であることに加えて水準以上のスピードがあることが大きい。ヘディングでのゴールが多いが、高さに物を言わせてというよりもDFよりも一瞬速くボールに触れるという形が多いのだ。
さらに裏のスペースを突いてカウンターからも得点を狙えるし、クロスに対してもDFを振り切ってゴール前に入り先に触ることができる。
大きな期待を抱くワケ
過去のJ1での経験を振り返ると、2006年以降のアビスパは毎回ストライカー欠乏症に悩まされていた。
その点今回はフアンマ、山岸、城後、新加入の渡など豊富な戦力がある。その中でも最も期待されている選手こそ、実績十分なB・メンデスだ。
彼が二桁得点を取ることができれば、過去の昇格時のように得点力不足で悩まされることはなくなるはず。
セレッソでの活躍をみるにそれが現実的な目標だからこそ、彼への期待が大きくなっているのである。