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第41節 vs愛媛 レビュー
勝ち点差は首位・徳島と3、3位・長崎と2。
愛媛に勝利して長崎が引き分け以下なら昇格が決まる。一方で勝ちを逃して長崎が勝利すると昇格圏外の3位転落。という難しい状況で迎えたアウェー・愛媛戦。
それでも昇格を信じ、平日夜の試合にも関わらず愛媛にはたくさんのアビスパサポーターが集結していた。
スタメン、ベンチメンバー
GKセランテス、RSBサロモンソン、CBは上島とグローリのコンビ、LSB輪湖。
福満が前節負傷、増山が出場停止となっていたSHには、RSHに山岸、LSHに田邉。DHは重廣と前。
FWにはフアンマと遠野。
ベンチにはGK村上、DF三國と湯澤、MFに怪我から復帰し久しぶりのメンバー入りとなった松本と、石津。FWには木戸、城後が入った。
前半戦
開始直後から、多少強引過ぎるほどにアグレッシブにきたのはホームの愛媛。
前節の0-6という大敗を払拭するべく、早い時間帯の先制点を目指してきた。
対するアビスパは、短い時間ではあったがその姿勢にやや苦しめられることに。
4分、愛媛の丹羽が裏に抜け出そうとした所を上島が倒してしまい、イエローカードが提示された。
累積で4枚目となった上島は、最終節の徳島戦は出場停止。
その後も愛媛がボールを回す時間が続くが、アビスパも徐々に慣れ、アグレッシブな守備で受け止めてシュートは許さない。
そして奪ったら長いボールをフアンマに当て、正確なポストプレーからカウンターを狙っていくが、アビスパもシュートまではなかなかいけず。
潮目が変わったのは18分。こぼれ球を拾った輪湖がドリブルから思い切ったシュート。DFに当たり枠には行かなかったが、やはりシュートを打つことは非常に大切である。
これで得たCK。サロモンソンが蹴ったボールにニアで上島が浅く触ってコースを変え、ファーで山岸が蹴り込む。DFのブロックにあったが、ボールは完全にラインを超えていた。
金沢戦で金沢に決められたものと非常に似た形を今度はアビスパが決め、貴重な先制点を奪ってみせた。
試合の始めから積極的にきていた愛媛は、これで完全に勢いを喪失。
そこからもボールは握ったが、それまでのような多数の攻撃参加は見られなくなり、怖さがなくなった。アビスパの攻撃のシーンが増えていく。
ほぼ同時刻、他会場にも動きがあった。首位の徳島が21分に先制し、長崎も24分に先制。このままいくと徳島の昇格だけが決まるという状況。
アビスパの試合に戻るが、24分、左サイドでボールの出し入れをしながら、前→田邉→遠野とワンタッチで繋いで裏を取り、遠野がクロス。DFに防がれてはしまったが良い形を作れていた。
36分、フアンマの前線からのプレスでミスを誘いボールを奪うと、重廣が最前線に走り込んだ山岸へスルーパス。狙いは抜群だったがボールがやや足元に入ってしまい、シュートは打てず。
ボード解説①
39分、愛媛のクリアボールを拾い、そこから良い距離感で田邉→遠野→フアンマ→遠野、
さらに重廣と繋ぎ、山岸がスルーして
サロモンソンがクロス。ニアのスペースに飛び込んだ遠野が合わせたが、ゴールの僅かに上。
遠野はスペースを見つけ、スピードをいかして入るのが上手い。
ボード解説②
41分にも、高い位置でクリアボールを拾った山岸→フアンマ。
フアンマはヒールで落として遠野へ。これは少しずれたが、
ゴール正面に入った重廣に繋いでシュート。
アウトにかかってしまい枠を外れたが、終盤戦に入り攻撃時の距離感、連動性がかなり良くなっている。
自分達の時間帯でしっかりと取りきれるのが今年のアビスパの強さ。
前半アディショナルタイム、再びダイヤが光り輝く。セランテスのパントキックをフアンマが競り勝ち、遠野がファーストタッチでボールを浮かしてDFをかわす。そのまま左足で思い切ったシュート。これがサイドネットを揺らして、2-0。遠野はこれで3試合連続、シーズン11点目となった。
立ち上がりこそ奇襲のような攻撃に出た愛媛に苦しめられたが、そこをしのいでセットプレーを含む2得点。
今のチームの対応力を示した前半だった。
後半戦
2点のリードを奪ったこともあり、後半は全体の立ち位置をやや後ろに下げブロックを敷く形に。そして奪ったら素早くカウンターを狙っていく。
その過程でボールを失っても、ネガティブトランジション(攻から守への切り替え)の速さを徹底しているためリスクはあまりない。
愛媛は横幅を使って打開を図る。53分にサイドチェンジからワンタッチで中央に入れ長沼が抜け出しかけるが、ここは上島が正当なタックルでプレーさせず。
選手交代を行った愛媛が少しずつリズムを掴む。61分、エリア内で山瀬が縦パスを受けたが、ここも上島のタイトな守備でミスを誘った。
長崎vs甲府の試合が動いた。甲府のCKから途中出場の中村が決め、1-1の同点。これにより、このままいくと徳島とアビスパの昇格が決まる状況に。
68分、輪湖に代わって湯澤を投入。
71分には重廣が拾い、フアンマ、前と繋いで前がバイタルエリアを横切るパス。その先には遠野と山岸がおり、遠野はスルーを選択。しかしカットされてしまい山岸へは繋がらず。
愛媛にも惜しいシーン。72分、途中出場の有田が2人を抜き去りゴールに迫るが、グローリが見事なスライディングでカット。
ボード解説③
その後も愛媛の攻撃を組織的な守備で受け止め、カウンターからの攻め手は緩めない。76分。フアンマが自陣での守備でボールを奪うとサロモンソンが持ち上がり、
遠野を経由して左から駆け上がってきた湯澤へ。
サロモンソンはそのままゴール前に向かい、湯澤がタイミングを測ってスルーパス。サロモンソンの冷静にGKの股を抜くシュートがネットを揺らしたが、判定はオフサイド。
LSBからRSBへという中々見られない見事なカウンターだったが、幻のゴールとなってしまった。
直後、フアンマに代えて木戸を投入。山岸がFWへ移って木戸はLSHの位置へ。
その後は愛媛がボールを完全に持つ時間帯となったが、アビスパはブロックの中へ侵入させない守備を徹底。
81分、有田がエリア内で縦パスを受けゴール前に侵入した西岡大輝へ繋いだが、上島が素早く寄せてシュートは打たせず。
84分にはカウンターから重廣がコースを突いたミドルシュートを放ったが僅かに枠の外。
85分、木戸がこぼれ球を拾い、ドリブルから放った強烈なミドルシュートが枠を捉えたが、GK岡本がセーブ。
86分には松本、城後、三國を投入し、5バックへ変更して逃げ切りを図る。
最後まで決定機は作られず、むしろシュートに繋がるのはアビスパという状況のまま、2-0で試合を終えた。
試合後、そして昇格
挨拶を終えた選手やスタッフはそのままベンチ横へ。DAZNでいまだ試合中だった長崎vs甲府を全員で見つめる。
1-1の引き分けで試合が終わった瞬間、全員で抱き合い飛び跳ね、歓喜の輪が広がった。
DAZNのインタビューを最初に受けた長谷部監督は「泣いていませんよ」と言いながら目は赤く、その後の遠野の目にははっきりと涙があったし、キャプテンの前も表情こそ変わらなかったが時折言葉に詰まっていた。
全員が同じ方向を向き、同じように悔しがり、同じように喜ぶ。
それはピッチ上の選手だけでなく、ベンチの選手、スタッフも、平日に愛媛まで300人ほども駆け付けるほどに熱いサポーターも同じだ。
まさに総力戦で掴んだ、この試合での勝利、そして昇格だった。
採点(5.5が及第点)、寸評
昇格のご祝儀で全員10!なんてことも一瞬頭をよぎりましたが、せっかくいつも真面目に付けているので今回も冷静に付けています。
GKセランテス 6.5 シュートを打たれるシーンが少なく、目立つことはあまりなかった。それでも集中を切らすことなく、日本語でのコーチングの声がよく響いていた。
DFサロモンソン 7.0 先制点に繋がったCKの精度は見事。後半には左のスペースを突いてネットを揺らしたが、オフサイドの判定で幻のゴールに。
DF上島拓己 7.5 相変わらずの安定した守備。先制点のアシストも記録。ただ、全試合出場が懸かっていただけにイエローは痛恨だった。
DFドウグラス・グローリ 7.0 上島と共に安定していた。メンタルも非常に強い。
DF輪湖直樹 6.5 前半に積極的に放ったミドルシュートで流れが変わった。守備でも非常に安定。68分に湯澤と交代し退く。
MF山岸祐也 6.5 正直に、やはり彼はFWの選手だ。SHとしてはあまり良くはなかった。それでもこの大一番で貴重な貴重な先制点を決め、昇格に大きく貢献。86分に城後と交代。
MF重廣卓也 7.0 コンディションの向上と共にどんどんプレーエリアが広がっている。この試合は無理のあるパスも少なかった。86分に松本と交代。
MF前寛之 7.0 この試合でも安定したプレー。重廣とのボランチの所で分厚いフィルターとなるためにDFの負担も減っている。
MF田邉草民 6.5 ボールが収まる。そして賢い。戦える。以前の田邉とはまるで別人のようだ。
FWフアンマ 7.0 見事なポストプレーで何度も起点になった。2点目のシーンではロングボールに競り勝ってアシストを記録。76分に木戸と交代。
FW遠野大弥 7.5 MOM。大事な最終盤で3試合連続ゴール。持ち前の積極性を存分に見せてくれている。86分に三國と交代。
DF湯澤聖人 6.0 68分に輪湖と交代で途中出場。目立つことは少ないが、両SBで堅実なプレーをできる、頼りになる男だ。
FW木戸皓貴 6.0 76分にフアンマと交代し途中出場し、主に守備でチームに貢献。守備面ではSHとして一人前。あとは攻撃でどこまで輝けるか。
MF松本泰志 6.0 86分、重廣と交代し出場。
怪我の影響で久しぶりの出番となったが、のびのびプレーしていた。
FW城後寿 6.0 86分、山岸と交代し出場。最後まで惜しみないスプリントを披露。その背中でチームメイトを引っ張る存在。
DF三國ケネディエブス 5.5 86分、遠野と交代で出場。5バックの一角に入った。ボールに触る機会は少なかったが、CBとFWの二刀流ができる選手。