在籍期間の長い選手に捧ぐ:城後寿
アビスパ福岡一筋、17年目。背番号10を背負って14年目。
2番目に在籍期間の長い石津大介が累計で8年目だから、城後寿のそれは圧倒的な数字だ。
さらにメディアから5年周期と呼ばれる、2005年以降4度の昇格と3度の降格を経験した歴史は、全て城後と共にあった。
城後寿と5年周期
当時全国屈指の実績を残していた国見高校から、まだあどけない顔をした城後が加わったのは2005年。ルーキーイヤーこそ出場機会がなかったが、チームは昇格。
J1で戦った2006年には25試合に出場し4得点と、高卒2年目で数字を残している。
2010年は前年負った左膝前十字靭帯損傷での長期離脱からシーズン半ばに復帰すると、21試合で8得点を奪い昇格に導く。
チームを昇格圏内の3位へと浮上させた、あの伝説の「雷ゴール」(下記にゴールシーン)を決めたのもこの年だ。翌年にはJ1でも、31試合7得点と一定の結果を出した。
2015年には全42試合に出場して8得点を決め、プレーオフでの昇格に貢献。翌年もJ1で33試合6得点と着実な成績を残している。
そして、今回。
昨シーズンの開幕前にクラブが遠野やフアンマ、シーズン途中にも山岸という的確な補強を行ったこともあり、城後は25試合に出場し1得点。それも途中出場が多く、満足な結果は残せなかった。
また昨年のプレーを全盛期と比べると、スピードに翳りが見えてしまったことも事実ではある。
今季への期待
アビスパのバンディエラ・城後寿も現在34歳。4月16日には35歳になる。
年齢を考えると、スピードの低下は仕方のないことだとも言える。
けれど、プロの選手である以上はスピードが低下したのなら、他の部分で補ってチームの力にならねばならない。
城後が今シーズンのJ1で活躍するためには、個人的には2つの武器を惜しみなく発揮することが大切だと考えている。
運動量をいかした前線からの守備。そして、クロスに合わせシュートを枠に飛ばす技術だ。
昨季得点数が伸びなかったなかでも25試合に出場できたのは、城後の特徴の1つでもある前線からの守備が一定の評価をされていたからだろう。
また昨年唯一の得点である甲府戦のヘディングのシーンも、「らしさ」が強く現れたものだった。城後の得点のシーンでよく感じることだが、クロスが彼のもとに向かった瞬間、得点になる予感がしたのである。
不思議な感覚だがおそらくは経験から、クロスが城後のもとに向かいさえすれば決めてくれるという信頼があるのだろう。
技術はそうそう衰えない。あの形ならば、スピードが多少落ちていてもまだまだゴールを奪えるはずだ。
是非とも、あの予感を今季何度も味わいたい。味わせてくれると、信じている。
城後が得点を決めると、ベススタは他の選手が決めた時以上に盛り上がる。そういう力が、彼にはある。
それはやはり、J1の強豪からオファーが届いた時もクラブが存続の危機に陥った時も、アビスパでプレーするということを選び続けてくれた城後に対するサポーターの愛なのだ。
今季はB・メンデス、渡大生といったJ1での経験が豊富な選手達が加わったため、ポジション争いは昨シーズン以上に激しく厳しい。
それでも城後が長年抱いている「J1定着」と「J1でシャーレを掲げたい」という2つの目標に近付くために。そしてアビスパのバンディエラここにあり、とピッチ上で示すために。
我々は城後の、どんな時も諦めずアビスパへの愛を貫き通し、積極的にプレーする姿に心打たれてきた。
まずはJ1定着というクラブにとっての悲願を達成するためにも、今年もその姿こそが見たい。
声は出せなくても、我々は心の中で常に声援を送っている。
「行け、打て、魅せてやれ、城後」と。