第2節 アビスパ福岡vs清水エスパルス レビュー
J1の舞台で早めに勝ち点3を得たいアビスパ福岡は、今季に向け大型補強を行った清水エスパルスと対戦した。
スタメン・ベンチメンバー
スタメンはGK村上、DFは右からサロモンソン、グティエレス、グローリ、志知。MFはCHの位置に重廣と前、サイドに金森と石津、FWはメンデスと山岸。
前節から1人の変更だが、それ以上の変更が行われていた。
最前線、前節フアンマが入っていた位置に右SHでプレーしていた山岸がスライドし、右SHの位置に金森が入っている。
ベンチメンバーはGK山ノ井、DFの宮と湯澤、MFのカウエ、田邉、吉岡、FWの城後。
前半戦
開始早々に失点してしまった前節の反省からか、アビスパは前半開始からしっかりとした守備ブロックをベースに集中して試合に入ったように見えた。
ボールは持たれても粘り強く身体を張り、最後の局面では自由にやらせない。
ボード解説①
しかしJ1はやはり一瞬の隙を突かれてしまうものだ。12分、右サイドでボールを持った中山が切り返しから左へサイドチェンジをし、
カルリーニョス・ジュニオがタメを作ってバイタルエリアに侵入した中村へパス。
中村はボールを持ち、少し外にドリブルをして対応した前を引きつけてからヒールパス。
中央に入ってきていたカルリーニョス・ジュニオがダイレクトでシュートを放つと、GK村上が触るも止め切れず。清水が先制した。
その後はロティーナ監督のチームらしくブロックを敷く清水に対し、ビルドアップから攻撃をしかけて行く。アビスパがこの試合最初の決定機を作ったのは18分。
サロモンソンが中央にアーリークロスを送ると、メンデスの落としから金森が相手を引きつけてゴール前に走り込んだ石津へパス。石津は対応したDFを避けファーサイドへコースを突いたシュートを放った。枠を捉えていたが、カバーに入ったDF片山に頭でクリアされ得点ならず。
28分には清水にチャンス。左サイドでスローインを受けた中村が中央にクロスを送ると、DFグティエレスの背後を取った後藤がフリーでヘッド。しかしこれは僅かに枠を逸れた。
ボード解説②
前半アディショナルタイム2分、ここもスローインから決定的なピンチを招く。
個人的にはこの試合でチームとして最も反省しなければならないシーンだったように感じている。
ボランチ2人の立ち位置がまずく、長い距離のスローインをフリーの後藤に通され、
後藤は裏のスペースへ浮き球を送る。
完全にフリーとなったチアゴサンタナにボレーシュートを打たれたが、ここはGK村上が足に当てて追加点は許さず。
後半戦
後半頭から、やや自信を失ったようなプレーをしていたグティエレスに代えて宮を投入。
リードされている中でCBを代えることは珍しいが、この試合のグティエレスの出来を考えるとそれも仕方がなかった。
49分、センターラインでのパスカットからカルリーニョス・ジュニオにボールを運ばれシュートを打たれたが、サロモンソンがしつこくプレッシャーをかけたこともあり枠の外。
ボード解説③
後半に入り、前半よりもテンポ良くパスが繋げるようになっていたアビスパに待望の瞬間が訪れたのは61分。
メンデスが懸命にボールを繋いだことから始まった。前がドリブルでボールを運んで、
サロモンソンの上がりを促すと、そこへパス。
サロモンソンはダイレクトで低めのクロスを送ると、清水の選手達の間を抜けたボールはファーサイドにいた山岸のもとへ。
冷静なトラップから右足を振り抜くと強烈なシュートがネットを揺らした。
ニアサイドで金森が身体を伸ばして触ろうとし、ファーサイドでは石津がゴール前に突っ込んで来ていたことが山岸の所までボールが抜けた要因でもある。
これで流れはアビスパに来るかと思われたが、残念なことに1-1の時間は非常に短かった。
65分、清水のロングスローから山岸がクリアしきれず、溢れ球を拾われふわっとしたクロスを供給される。GK村上が飛び出しキャッチにいったのだが、これをまさかのファンブル。中山にシュートを打たれ、ボールは無人のゴールに。
これで再び清水がリード。
アビスパとしては苦しい展開となったが、選手交代も含めチーム全体で諦めない姿勢を示していく。
70分に石津に代えて田邉を投入。
74分には高い位置でカットした山岸がシュートまで持ち込むがこれはGK権田がキャッチ。
直後の75分。左サイドからカルリーニョス・ジュニオがクロスを送ると、途中出場のディサロが頭で合わせる。これはGK村上が弾くも、詰めた中山がネットを揺らす。が、オフサイドで事なきを得た。
危険なシーンは作られたがリスクは承知の上。76分に山岸に代え城後、85分には重廣に代えカウエ、金森に代え湯澤と得点を目指すカードを切る。
この姿勢が実ったのは後半アディショナルタイム2分。
途中出場の田邉が倒されてゴール前で直接FKを得ると、キッカーはサロモンソン。
壁の選手に僅かに当たってコースが変わったシュートはGK権田の逆をつき、ゴールマウスに吸い込まれて土壇場で同点に。
このまま2-2で終了し、勝ち点1を分け合った。
失点シーン以外にも危険な場面はあったが組織としてというより個の問題が多く、一方で攻撃ではビルドアップからある程度良い形を作ることができた。
勝ち点を重ねていくためにはこの試合のパフォーマンスを最低限のものにする必要はあるが、チームとして収穫の多い試合だったと言えるだろう。
採点(5.5が及第点)、寸評
GK村上昌謙 4.0 前半終了間際にビッグセーブを見せるも、65分にクロスをキャッチに行ってボールをこぼし勝ち越しを許したシーンは帳消しにはならない。75分のシーンも角度のない所から、オフサイドではあったが中山にネットを揺らされている。ハイボールに対してはJ1に慣れるまではリスクを減らし、パンチングの割合を増やすことも1つの手だろう。
DFエミル・サロモンソン 6.5 MOM 土壇場でのFK弾に加え、1点目もクロスでアシスト。CKがなかなか合わないことは気になるが、クロスの精度はチームの武器。
DFカルロス・グティエレス 4.5 J1のスピードについていけないシーンが散見された。19分にエリア内でチアゴ・サンタナを倒したシーンは笛が鳴ってもおかしくなかった。前半のみの出場に。
DFドウグラス・グローリ 6.0 J1でも当たりの強さは抜群。この舞台で十分にやれることを示していることはチームにとって大きい。
DF志知孝明 5.5 目立つシーンはあまりなかったが、清水のクロスに対してしっかりと絞って対応。身体も張っていた。
MF金森健志 5.5 攻撃の急先鋒。加入してあまり日にちは経っていないが、すでに欠かせない選手になりつつある。
MF重廣卓也 5.0 積極的な攻撃参加が武器だが、一方でポジショニングに問題があるシーンも。前半終了間際のピンチはその典型的な場面。
MF前寛之 6.0 ボールを引き出す動きや相手へのプレッシャーのかけ方など、前節から修正。1点目ではアシストのアシスト。やはり頼りになる。
MF石津大介 5.5 18分にペナルティエリア内から放ったシュートは枠を捉えていた。今季も攻守に貢献している。
FWブルーノ・メンデス 5.5 なかなかボールが入らず。それでもフラストレーションを溜めることなく、黙々と走り続けた。何でも卒なくこなせるため、もう少し連携が高まれば。
FW山岸祐也 6.0 J1初ゴールという結果もさることながら、J1でも収められることを示した。彼はやはりSHではなく、FWの選手だ。
DF宮大樹 5.5 後半開始からグティエレスに代わって出場。声を出し、身体を張ってチームに貢献。
MF田邉草民 5.5 70分、石津に代わって出場。FKを得て、同点弾を演出した。
FW城後寿 5.5 76分より山岸に代わって出場。毎試合パフォーマンスに差がないのは強み。
MFカウエ 採点なし 85分に重廣に代わって出場。空中戦の強さをみせ、今後が楽しみな存在。
DF湯澤聖人 採点なし 85分から金森に代わり出場。短い時間ながら積極的なスプリントを見せた。