第3節 アビスパ福岡vs横浜F・マリノス レビュー
過去2戦は早い時間帯に失点をしてしまったが、そんな中でも弱腰になるのではなく、積極的にプレスを掛けてマリノスのミスを誘うことを狙い、それは特に前半は効果を示した。
スタメン・ベンチメンバー
GKは村上、DFは右からサロモンソン、グローリ、宮、志知。
MFは金森、重廣、前、田邉。
FWにフアンマと山岸。
過密日程の中でのミッドウィークの試合ということもあり、多少スタメンを入れ替えて挑むことを選択。
ベンチにはGK永石、DF湯澤と三國、MFカウエ、吉岡、FW城後、メンデスが入った。
前半戦
中2日の影響か身体の重いマリノスに対し積極的なプレスをかけていく。
ボード解説①
すると3分、早速ビッグチャンスを作る。サロモンソンが浮き球で金森へと繋ぎ山岸に落とすと、ワンタッチで裏のスペースへ。
フアンマが右サイドへ抜け出し、
走り込んだ金森にマイナスのクロス。右足を合わせたが、惜しくもサイドネット。結局オフサイドの判定ではあったが、金森は枠に飛ばしたかった。
11分にはマリノスのチャンス。高野が左からGKとDFの間にクロスを上げると前田と仲川が飛び込んだが、これは触ることができず。
ボード解説②
アビスパのチームとしての狙いが出たのは14分。マリノスの繋ぎに対しプレッシャーをかけ前がボールを奪うと、
SBとCBの間にポジションを取った山岸へパス。
そこからフアンマとのワンツーで山岸が抜け出してGKとの1対1に。
シュートのこぼれ球をフアンマが蹴り込んだが山岸が惜しくもオフサイド。
36分、それまでブロックを作り冷静に守れていたアビスパの守備陣が混乱に陥る。
サロモンソンのポジショニングが前過ぎ、左サイドのエウベルからペナ角でフリーになっていた高野に縦パスが通る。
そこから細かなパス回しをするマリノスに対しシュートを打たせまいと懸命に付いていくが、最後はエウベルのシュートが重廣の腕に当たってしまいPKの判定。
結果が変わったかはともかく、重廣はエウベルに対してもう一歩詰めねばならなかった。
GK村上は先に動くことなくマルコス・ジュニオールのキックを見定めて飛んだが、しっかりと左隅を突いたシュートに届かず、マリノスが先制。
後半戦
後半開始早々の46分、いきなり決定機を作ったのはマリノス。右サイドからマルコス・ジュニオールに縦パスが出て宮がカットしようとしたが、足を滑らせてしまいマルコスは裏に走り込んだ仲川へ。仲川はDFを引きつけて横パス。前田がフリーでシュートを放ったが、これはGK村上がナイスセーブ。オフサイドの判定だった。
ゴールにはならなかったものの、後半のスタートからチャンスを作ったことでマリノスが流れを掴むことに成功。
ボード解説③
そして62分、試合の行方を決める得点はマリノスに生まれた。
グローリがエウベルとの1対1に勝利した、までは非常に良かったが、前方へ持ち出した際のタッチが大きくなってしまいマリノスにボールを繋がれてしまう。
バイタルエリアで小池が受けると、志知が距離を詰めたものの右足一閃。
ゴールの隅を突いたシュートがネットを揺らした。
このシーンの1番の問題点はもちろんグローリのミスだ。だが、その後も失点の可能性を減らすことはできた。
マークに付くべき相手のいなかったSB志知がもう一歩小池に寄せること。また、それがなかったにせよ志知がある程度左側はコースを切っている上にGK村上はやや右寄りに立っていたのだから、素晴らしいシュートとはいえ寄っている側へのボールには対応して欲しかったというのが本音だ。
J1で通用する、ではくJ1で活躍できる選手になってほしいからこそ厳しいことも言わせて頂く。
0-2となったが諦めずに、73分にはアビスパも決定機を作る。重廣の積極的な突破からメンデス、吉岡と繋ぎシュートを放つもブロック。さらに重廣が詰めたがDFに当たりボールは枠の上へ。このマリノスの身体を投げ出す守備こそ、今のアビスパに必要なものではなかろうか。
とはいえこれでCKを得ると、吉岡のキックにGKオビが飛び出すも触れず、フリーのカウエがヘッドで合わせ得点。1点を返す。
85分にも、高い位置でのスローインを吉岡がダイレクトで重廣に繋ぐと、ファーサイドにいた途中出場の城後へクロス。このボールがゴール方向に向かい、枠をかすめたが惜しくも外れてしまった。
同点を目指して懸命に戦っていたが決定的な得点が生まれてしまったのは90分。マリノスの右サイドからのスローインにプレスをかけるも、吉岡が繋ごうとして後ろに戻したボールは水沼のもとへ。水沼がそのままクロスを上げると、猛烈なスピードでニアサイドに突っ込んできた前田が頭で合わせて1-3。
このまま試合は終了し、今季初勝利を挙げることはできなかった。
苦しい試合が続いているが、チームメイトを信じて戦い抜くことでしかこの苦境は脱せない。
採点(5.5が及第点)・寸評
GK村上昌謙 5.0 PKと3点目には責任はない。ただ、2点目のようにエリア外からのミドルシュートによる失点が続いていることは気になる。DFがコースを切っている側へのシュートでの失点ならば仕方ないのだが…。
DFエミル・サロモンソン 4.5 クロスを上げられそうな局面でも、距離を詰められ右足のキックを封じられ苦戦。そしてやはりCKはなかなか合わない。
DFドウグラス・グローリ 5.0 対人の強さは示すも、2失点目への大きなきっかけを作ってしまった。持つべき場面と蹴るべき場面のメリハリは大切。
DF宮大樹 5.0 気持ちは感じられるが、強固な守備を形成するためにはさらにもう一歩。グローリとのコンビが成熟すれば。
DF志知孝明 5.0 高い位置を取る仲川を気にしてなかなか攻撃参加できず。チームとしては彼がクロスを上げるシーンを作りたい。
MF金森健志 5.5 右サイドの攻撃が武器になりそうな気配はある。3分のシーンは枠を捉えたかった。63分に吉岡と交代で退く。
MF重廣卓也 4.5 手を高く上げたわけではなかったがエウベルのシュートが手に当たってしまい、不運な形で失点に関与。その後は積極性を示し決定機なシュートも放った。
MF前寛之 5.5 14分にタイトな守備でボールを奪って素早く縦パスを入れ、ビッグチャンスを創出。ただ、もう少し重廣との補完関係を確立したい。
MF田邉草民 5.0 上手いのは間違いないが、昨季最終盤のような怖さはまだ出せていない。J1での豊富な経験を今こそ還元してほしい。
FWフアンマ・デルガド 5.5 J1でも収める能力は素晴らしい。相手が倒れることが減りファウルを取られないため、むしろこの舞台のほうが合っている。負傷により37分に交代したことが悔やまれる。
FW山岸祐也 5.5 徐々にJ1に慣れているように見え、この試合でも上手さを見せた。もう少しエゴイストでもいい。
FWブルーノ・メンデス 5.0 フアンマの負傷により37分に緊急投入。後半はチーム全体の動きが落ちたこともありなかなかチャンスは巡ってこず。
MF吉岡雅和 5.5 2度目のJ1でのシーズンで、ついにリーグ戦初出場。しかもCKから鋭い角度で曲がるキックでアシストも記録。一方で戻したパスがマリノスの3点目に繋がるというマイナスも。
MFカウエ 6.0 MOM。CKに合わせ、貴重なゴールを奪った。空中戦、対人の強さを示し、今後が楽しみな選手の1人。
DF湯澤聖人 5.0 71分、サロモンと交代し出場。吉岡とのコンビネーションには課題を感じた。3失点目のシーンでは爆発的なスピードを持つ前田にマークを外されてしまった。
FW城後寿 5.0 71分、山岸と交代で出場。この試合でもよく走った。ただ、押し込まれた展開も相まって得点に近付くようなシーンは見られず。