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アビスパ福岡vs名古屋グランパス アビスパサポーター目線プレビュー
ついに、か。もう、か。
感じ方は人それぞれだろうが、昨日、2021シーズンのJリーグが開幕した。
今回は明日・日曜日に行われる、5年ぶりにJ1の舞台へと戻ってきたアビスパ福岡と、昨シーズン3位の名古屋グランパスの一戦をプレビューする。
名古屋グランパスとはどんなチームなのか
名古屋グランパスは昨季、リーグ最少失点という堅守を武器に、ACLの出場権を獲得という見事な成績を残した。
4-2-3-1のフォーメーションの中で堅守の中心にいるのは、過去に類を見ないほどの過密日程ながらフルタイム出場を果たした、GKランゲラックとCBの丸山&中谷という鉄壁のトライアングル。
その前にもCH米本と稲垣、こちらも守備力に非常に長けた2人が並ぶ。J1最少失点にも納得の陣容だ。
さらに今季はセレッソ大阪からCBもCHもこなせる木本、浦和レッズからテクニックがあり積極的な攻め上がりをみせるCH長澤を加えたことで層が厚くなり、組織的な守備を作り上げたフィッカデンティ監督の選択肢はさらに増えている。
また左SBには吉田豊が陣取り、やや層の薄かった右SBにもサガン鳥栖で1年目からブレイクを果たした森下を獲得するなど抜かりはない。
攻撃面では、2列目に非常に強力な選手を揃えている。マテウス、阿部、前田、相馬など突破力も得点力も備える選手達が猛威を奮う。
一方で優勝を目指すには得点力がやや足りたないことも事実であり、今季に向けてはその部分への補強も行った。
特に注目されているのは、知名度抜群、元日本代表の齋藤と柿谷だ。ただ双方共にここ数年は納得のいく結果を残せておらず、復活を期するシーズンとなる。
全体的に隙のないチームだが、強いて不安材料を挙げると1トップか。
昨季のエース・金崎は負傷中で、山﨑もしくは新加入の柿谷がこの位置に入る可能性が高い。ただ、どちらも昨季は1得点に留まっている。
このポジションで2桁得点を奪える選手が現れると、名古屋の優勝が現実味を帯びてくる。
アビスパ福岡とはどんなチームか
これまでにも今季のアビスパに関する記事は何度か書いているため今回は最低限にするが、メディアによるアビスパ評の定番である「堅守速攻」は実情とやや異なっているということは伝えたい。
堅守速攻という言葉は、低い位置でブロックを敷き相手が攻めてきたところを奪ってそこからカウンター、というイメージを湧かせる。
過去のアビスパで言うならば、井原氏が率いていた頃は確かにこういったスタイルだった。
だが、長谷部監督が率いるアビスパはある程度高めの位置から、それも自ら奪いにいく。受動的な守備ではない。こちらが主導権を握った守備を仕掛けていくのだ。
そこからは主にカウンターを狙うため、「速攻」は当たっているが、いわゆる引いて守るものではないのだ。
昨年1年間で、豊富な運動量、球際の厳しさ、そして攻守の切り替えを磨いてきた。今季に向けての補強も、それらが持ち味の選手を徹底して獲得している。
この武器が、優勝候補の一角でもある名古屋を相手にどこまで通用するのかを試す一戦となる。
この試合の見どころ
昨季のJ1最少失点vsJ2最少失点と、堅守のチーム同士の対戦となる。やはり大事なのは、先制点だ。
おそらくは名古屋がボールを保持する形になる。名古屋としてはチャンス、アビスパとしては危険なシーンもいくつか作られることだろう。
アビスパとしては前から行く守備とブロックを作るリトリートとを使い分け、球際をタイトにいきボールを奪い切ること。そしてそこから、人数を多くかけた高速カウンターを発動させたい。
アビスパサポーターとしての想い
アビスパサポーターにとって、この一戦にはもう1つ想いが乗っている。
名古屋には、返さねばならない借りがあるのだ。
2017シーズンの昇格プレーオフ決勝。最後のJ1の切符を賭けた試合で、リーグ戦3位の名古屋と4位のアビスパが激突。この一戦は疑惑のシーンなどがありながらも、0-0の引き分けに終わった。
これにより、シーズンの順位で上回る名古屋が昇格を果たしている。
今回の開幕戦は、この時の悔しさをも晴らす絶好の機会でもある。
名古屋はこのプレーオフ決勝からの4年間で実績のある選手を中心に補強を進め、戦力的にかなり進化している。
だが、そこはアビスパも同じ。
J1で戦う今シーズンに向けて大型補強を行ったことで、実績では名古屋の選手に敵わなくとも、組織力でカバーしサプライズを起こしうるだけのスカッドを保有することができた。
長谷部監督の掲げる10位以上、ルヴァン杯ベスト4以上という目標は、アビスパの歴史を考えるとかなり高い。
だからこそ、人件費を17億円までも大きく積み上げたことと合わせて、クラブが本気で変わろうとしていることを示しているとも言える。
その第一歩をしっかりと踏み出すためにも、この試合で3ポイントを積み上げて勢いに乗りたい。
著名な解説者の順位予想でいくら低い位置に置かれていようと関係ない。
たった1年前、アビスパを昇格候補に挙げていた人はほぼいなかったのだから。
サッカーは選手の知名度や実績で戦うものではないということを、アビスパは変わったのだということを示すシーズンが、幕を開ける。