【読書雑記】石牟礼道子『苦海浄土』池澤夏樹個人編集・世界文学全集第3集所収(河出書房新社、2011年)#ブックカバーチャレンジ_01
今回、わたしが取り上げる本は、経済法学の立場から社会の問題に向き合うことを生業とするわたしの今を育み、わたしの思考や発想の原点となり、今なお座右に置く7冊です。それらの思い出とともに......。
最初に取り上げる一冊は、石牟礼道子『苦海浄土』。出会いは、高等学校時代の現代国語の実力テストでした。国語は、もともとあまり点数を取れる方ではなかったのですが、この問題文についてはほぼ全滅......。苦い出会いでした。
問題文ですから、一部分の引用に過ぎなかったはずですが、不知火の海の美しい情景と、他方で過酷な境遇に置かれた水俣の人々の叫びを伝える石牟礼さんの文章がどうしても忘れられず、全文を読まずにいられなくなり、書店に駆け込んで、講談社文庫版を手に取りました。
以来、講談社版や藤原書店版など、新装版が加わるたびに買い求め、おりに触れ、読み返しています。そして、読み返すたびに、違う読み方をしていることに気付きます。
写真は、池澤夏樹編集の河出書房新社版の世界文学全集の一冊。”日本”文学全集ではなく、”世界”文学全集にこの一冊を入れるところなんか池澤氏の心意気を感じます(2020年4月27日記)。
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