【随想】ビルオーナーは店子を選べるか?#5−プラットフォーム事業者によるコンテンツ掲載基準をめぐるガイドラインの考え方(5/7)

 このガイドラインがコンテンツ配信について並々ならぬ関心を抱いているのには、もう一つ背景がある。NTT DoCoMoのiモード・サービスにおける「公式サイト」と「勝手(非公式)サイト」の選別をめぐる問題がそれだ。当時、NTT DoCoMoはiモードのヒットでプラットフォーム事業者として大きな存在感を示すようになっていた。ガイドラインの「簡易端末情報サービスシステムを管理・運用している電気通信事業者(以下、システム運用事業者という。)は、その管理・運用の適切性等を確保する観点から、簡易端末の簡単なキー操作によってアクセスすることができるメニュー……を設定し、一定の基準……の下に、コンテンツを掲載していることが一般的である」(同ガイドライン第4-1-(1))との指摘は、明らかにiモード・サービスを念頭に置いている。 このガイドラインにおいて、プラットフォーム機能を担うのは「システム運用事業者」であるが、これが「自己のメニューリストへのコンテンツの掲載基準を独自に定めている」ことについて触れ、この掲載基準が公開されていなかったり、公開されていても明確さに欠ける場合、「システム運用事業者による掲載基準の恣意的運用が行われ、他のシステム運用事業者との取引を制限することとなりやすい」旨の指摘が行われている(同ガイドライン第4-1-(2)(注51))(2010年4月記)。

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