【随想】郵便料金引上げ案の審議会了承#3(3/4)
報道によると、総務省により昨年末に示された郵便料金の値上げの方針案(葉書については63円→85円、25グラム以下の定型の郵便封書については84円→110円等)が、パブリックコメント(意見募集による提出意見)の手続きを経て、このほど総務大臣の諮問機関である情報通信行政・郵政行政審議会で了承されたという。
これを受け、日本郵便は今年の10月にも値上げを予定しているという。この値上げが実現されれば消費税増税に伴う措置を除くと1994年(平成6年)以来、30年ぶりの改定になるという。
同審議会は、値上げ方針案の承認にあたり、総務省が次に掲げる措置を講じる旨、要望している。ひとつは、郵便事業のより安定的な提供を将来にわたって確保する観点から、今後同省において利用者を含む関係者や有識者の意見を丁寧に聞きながら、必要に応じて郵便料金に係る制度の見直しも視野に入れ、検討を行うこと。
いま一つは、わが国全体として「コストカット型経済」から脱却し、持続的な賃上げや活発な投資がけん引する「成長型経済」への変革を実現することの重要性などにかんがみ、同省から日本郵便に対し、適切な価格転嫁等の取組みを継続しつつ、必要な郵便料金の改定に加え、抜本的なDXや利便性・付加価値の高いサービスの開発・提供などを適切に実施するよう求めること、である。
審議会から総務省になされたこれらの注文は、方針案の承認に先立って行われた一連のパブリックコメントの内容を反映したものである。
総務省は早ければ2024年6月にも改正省令を施行する見通しである。料金改定には日本郵便による総務省への届け出が必要となる(郵便法67条1項)(2024年3月5日記)。