42歳で県庁を辞めた5つの理由


県庁には技術職で入庁しました。県庁を選んだのは、公務員の中で、地元で、研究的な仕事もできて、というところに魅力を感じた点でした。
最初に研究機関に配属され、希望の職場ということで、研究的な仕事にやりがいを持ってしておりました。その後、5年ルールにより、出先の事務所に異動になり、そこで3年、そして違う地域の出先事務所に異動になり、そして、希望していた研究所に再度戻ってきて、6年勤務して2024年の3月末に退職になります。

5年ルールとは、所属していた県庁では最初の配属において長くても5年で異動するというものです。その後の人事異動でも3〜5年で異動させるのが人事の一般的なルールになっています。

辞めた理由の一つ目がこれで、その他にもありますので下記にまとめます。

1.人事異動において最も重要なのは、配属先の所属年数である点
所属していた組織における人事異動で最も重視されるのが現在の配属先で何年所属しているかです。
毎年、定期異動直後の新しい組織図には名前の横に、各自の現在の所属先での在籍年数が書かれています。
各人を異動させるかさせないかは基本的には在籍年数で決まります。
どんなに頑張って、良い成果を出しても結局は5年程度で異動になります。
県庁は多様な職場があり、それはいいことなのですが、自分にあった職場であっても適性が全く考慮されない点に徐々に不満が溜まってきました。
また、私の職種では大きく3種類に県庁、出先、研究組織に分かれておりましたが、今まで出先と研究組織に長らく在籍していた方が、40代で県庁に初めて異動になり、係長として配属され、慣れない業務に体調を壊す方が定期的におられるのを見てきました。
自分もこの様な状態になる可能性もあり、このままで良いのかという気持ちが強くなってきました。

2.給与の伸びが見込めない、もう少し給与が欲しかった(インフレ基調の波に乗れないのではないか)
昨今のインフレにより、公務員でも基本給の改定がなされていますが、20代、30代を重点的にアップさせる一方で、40歳を超えた職員の改定額はとても少ない状況です。
私の所属していた地域手当のないような県庁では、毎年各事業のシーリングがどんどん厳しくなっており、残業代も出さない組織で職員の給与アップがどんどん進む様なことが難しいのは肌感覚で感じていました。
であれば、どの層を重点的に手厚くするかというと20代〜30代になるのは組織を維持していくことを考えると致し方ないのは理解できます(40代以降は転職しづらいため)
インフレが続くと相対的な収入が下がっていくので、子供も2人いて生活がさらに厳しくなるのではと感じていました。
給与を上げるためには、管理職を目指すことになりますが、ポストが削減されており、女性の登用促進がされている状況で、昇進は難しく、転職を考えました。

3.再任用が人気の職場に優先的に配属され、単身赴任が続く可能性が高い
60歳、今年度からは61歳が定年となりますが、定年後に公務員は再任用職員として65歳まで働けます。再任用職員については勤務地についてある程度優先して希望を聞いてもらえる雰囲気があり、県内のベットタウンに近い、通勤しやすい事務所は人気が集中し、再任用の割合がとても高くなっていました。そのため、定年前の職員が割を食い、いわゆる辺鄙な勤務地に配属される割合が高くなっていました。
地方公務員といえどある程度面積が大きい県庁では転居が必要な異動もあり、所属していた県庁でも単身赴任は当たり前であり、以前にまして単身赴任の確率が増えてきており、なぜこの様な職場環境で我慢して単身赴任までする必要があるのか疑問に感じてきてました。

4.単身赴任手当がめちゃくちゃ少ない
所属していた県庁では、単身赴任手当が100km未満で3万円で、とてもじゃないですが、別居の費用を賄える状態ではない状況でした。
かといって、自宅から通勤できる状況ではなく、子供も小学生になっており、異動に伴って家族で引っ越しできるわけでもなく、とても金銭的にきびしい状況でした。

5.モンスター職員の割を食う
これは、多くの公務員が不満に思っていることだと思いますが、仕事をしない職員の分を、周りの職員が仕事をしないといけないため、真面目な人間ほど割を食います。
年次が進むほど、割を食うことは少なくなりますが、本県ではバブル期入社世代がとても多く、年次が上の者がまだまだ多いため、その中にモンスター職員も多く存在しており、まだまだ割を食うことが多い状況でした。
とんでもないモンスター職員でない限り、年功序列で課長補佐までは昇進するので、そんな仕事をしない職員の方が年収が高い状況に我慢ができなくなっておりました。

上記が主な理由で転職を決意しました。
今は転職して1年ほど経過してますが、民間企業でも同様の問題は散見されており、これは日本の古い組織として普遍的な問題であるのかもしれないと今は感じています。


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