見出し画像

絶対流行るから知っておけ!Retchatの話!


DTMer、作曲家のみなさん、
音楽好きのみなさん、

こんにちは!
I'chiba'nのYUNです!

今回の記事は久しぶりに、「絶対流行るから知っておけ!」シリーズになります!

今回みなさんに紹介するジャンルは、「Retchat」です!



01. Retchatとは?

Tyga - Rack City (Prod. DJ Mustard) (2011)

 Retchatは、Hiphopに基づいているジャンルです。
カリフォルニア出身のヒップホッププロデューサーDJ Mustardは、Retchatを代表する人であります。

彼は2011年、ラッパーTygaと手を組み、「Rack City」を発表しました。
「Rack City」は本格的にRetchatの時代が始まったことを知らせた楽曲です。

アメリカの西部であるカリフォニア出身だったDJ Mustardは、楽曲にのんびりとしたカリフォルニアの雰囲気と共に、エナジーを感じられるパーティサウンドの楽曲を作ろうとしました。

その結果、
踊りやすい、リズムに乗りやすいテンポで、
中毒性のあるループが何回も繰り返しされる構成、
ドラムのリズムを聴きやすいミニマルなサウンドの楽曲を作り出したのです。

これがRetchatの音楽的特徴です。

当時はアメリカ南部の派手なサウンド、Maximumな編成のヒップホップトラックと、そのサウンドをベースにしたポピュラー音楽が流行っていたので、
逆にミニマルなサウンドを追求したDJ Mustardのサウンドは多くのリスナーの耳を引いたのです。

覚えておこう!
・Retchatの父:DJ Mustard
・Retchat の特徴:
 ① リズムに乗りやすいテンポ(100 ~ 130BPM)
         →パーティで踊りやすい楽曲に仕上げるため
 ② 中毒性のあるループメロディ
   →楽曲を覚えやすくさせるため、振り付けをしやすくさせるため
 ③ミニマルな楽器編成
   →ドラムとベースを聴きやすくし、リズムに乗りやすくするため


02. Retchat、短く強烈に燃える

YG - Who Do You Love? (2014)

Hiphopアーティストたちを中心に、
どんどんその存在感を強めていったRetchatのサウンドは、

2014年に入りリスナーだけでなく、
多くのラッパーからも歓迎される音楽になりました。

YG、Kidink、Fetty Wapなどのラッパーたちは、自分たちの厳しい生活の話をRetchatビートに溶かし、さまざまな名曲を誕生させました。

Chris Brown - Loyal(2014)

この時期から多くのアーティストがRetchatを活用した楽曲を発表しましたが、その中でも特にChris Brownは新しいアルバム「X」を通して、
Hiphopに近い元のRetchatから、R&B、ダンスなど、
さまざまなジャンルとハイブリッドさせた楽曲を通してRetchatを成功的にメインストリームの音楽市場にあげていきました。

Chris Brown - Love More (feat. Nicki Minaj) (2014)

ダンスも、歌も、ラップも、
全部一人で完璧に消化するのはもちろん、

R&B、ダンス、EDM、Hiphopなど、
全てのジャンルを自分の感性を込めた
名作に仕上げてしまう彼だったので、Chris BrownはRetchatを代表するアーティストになります。

そして上記にも紹介されたラッパー、Tygaとの共同アルバム、
「Fan of a Fan」が大きく成功まで。

この時期のChris Brownはすでにベテランアーティストでしたが、より上を目指していました。

Chris Brown, Tyga - Ayo(2015)

 Chris Brownの他にもKanye West、TyDolla $ignなどのアーティストもRetchat サウンドを使い、素敵な楽曲をたくさん発表しましたが、

2015年に入り、その人気は急速度で冷めてしまいます。
Retchatの特徴であった単純なループとミニマルなサウンドが、逆に毒になってしまったのです。

毎朝、新しいRetchatがまるで波のように発表される中で、
リスナーたちはやっぱりその単純さに飽きてしまい、
1年ちょっと過ぎでその人気は無くなってしまいました。

(もちろん、Trapの登場など、時代の流れで自然消滅した影響もあります。)

覚えておこう!
Retchat の全盛期:2014 ~ 2015年
・代表アーティスト:
 ① YG
 ② Kidink
 ③ Chris Brown


03. Retchatの復活、KendrickとDrake。

Kendrick Lamar - Not Like Us

10年前、短くて強烈な人気を得て光の速度で消えたRetchatですが、
最近また動き出そうとしている様子です。

2024年、海外ポップ音楽で一番のトピックは、
「Kenreick LamarとDrakeのDiss戦」でした。

Kendrick Lamarは素敵なラップスキル、論点をしつこく入り込む歌詞で、「この時代唯一の本物のラッパー」という評判を、
Drakeはのんびりとした感性的なサウンドのヒップホップを多く発表し、ポピュラーな人気を得ているアーティストです。

二人とも大物すぎる人物だったのです。

そんな二人がお互いDiss曲を発表した中で、
歌詞の内容が結構深いプライベートな話の暴露に近いものだったので、多くのリスナーたちは自然に、

「なんでDissしてるのか?」
「誰が勝つのか?」
「一体そのプライベートで何があったのか?」

など、それぞれの疑問を持ってこのDiss戦に注目していました。

その中でも一番注目されたKendrik Lamarの曲、
「Not Like Us」がRetchatを利用したビートを使った楽曲です。

個人的に初めて聴いた時の印象は
「ビートがちょっと古くないか?」だったのですが、数日後、髪を切りに行った美容室で偶然流れた時、「そういえば、10年前にあったよね!Retchat!」と気づきました。

「Note Like Us」はもうDiss曲であること、そしてHiphopという特定ジャンルを超えて、Taylor Swiftのようなポップアーティストたちと一緒にチャートに乗っていたぐらいだったので、ポピュラーシーンでもとても注目されたことがわかります。

覚えておこう!
Retchatが10年ぶりにまた注目され始めた理由:
 Kendrick LamarとDrakeのDiss戦、そして「Not Like Us」


04. Retchatの今

KARINA (aespa) - UP (2024)

XG - LEFT RIGHT (2023)

最近、K-POPサウンドを中心にRetchatサウンドを取り入れたアイドルの楽曲が増えています。

XGの「LEFT RIGHT」はTrapに近い楽曲ですが、
ループされるメインメロディー、シンプルな楽曲編成、スネアの音色など、Retchatの要素も持っていると解釈できる楽曲です。

また、AespaのKARINAさんのソロ曲で知られている「Up」は、
完全にRatchetのルールを守っている楽曲です。

10年ぶりにRatchetサウンドがアメリカで流行っている分、
アイドルポップ、HipHopなど、J-POPシーンでもこれから見つかりやすいジャンルになるのではないかと思います。


みなさん、いかがですか?
シンプルなアレンジとサウンドをしているのに、
EDMのようなMaximumなサウンドの楽曲と比べても無理なく
リズムに乗れるのがRatchetの魅力と特徴なのかなと思います。

みなさんも一緒に、
Ratchetのリズムに身を任せてみませんか?


今流行りのサウンドの音楽が知りたい方、
I'chiba'nと一緒に作ってみませんか?

いいなと思ったら応援しよう!