034 TTWP ⑧水球も水中運動:浮力を捨てて水球に活かす(つづき)
前回は浮力を捨てる(活かさない)ことが水球にどのように役に立つのか、コンタクトプレーを例に話しました。
今回はその続き
もうひとネタ話してこのテーマを閉じますので、もう少しだけお付き合いください。
サラッと浮力の復習
水の中に浸かれば浸かるほど浮力を得ることができ、その分体重も軽くなるのでスカーリングと巻き足を頑張らなくても体を浮かせておくことができます。
例えば体重100キロの人が首まで浸かった状態なら、体重は10キロにまで減少しますので、支える手足も楽々です。
しかし、ひとたび体を浮かして水から出すと、その部分の浮力はなくなり、重力がかかります。一気に体は重くなるので手足の支える力がたくさん必要になるのです。
例えば体重100キロの人なら胸あたりまで体が浮いているので体重は30キロで、首まで浸かった状態の3倍の重さです。手足も、前者の例よりプラス20キロ分の支える力を求められるのでキツいです。
しかしこれは、浮くだけで手足の支える力(スカーリングと巻き足)のトレーニングになると言えないでしょうか?
今回の話のポイントはここです。
※今回の話を理解するために、是非過去記事で復習しておいてください。
重りを抱えた巻き足練習と似てる
水球では足の強化として、このような練習があります
重りを持った巻き足練習です。
仮にこの人が体重100キロで、20キロの重りを持って練習しているとしましょう。首まで使った状態なので浮力の力で体重は今10キロです。そして20キロの重りを抱えているので
体重10キロ+重り20キロ
=足で支えるのは30キロです
次に先程の例をひきあいに出します
体重100キロの人が胸まで浮いてしまえばプラス20キロで体重は30キロです。
なにか気がつきませんか?
ここで注目して欲しいのは、
重りを抱えて練習しなくても、自分で高く浮くだけで、手っ取り早く重りを抱えた手足のトレーニングと同じことができちゃう
ということです。
実はパスの時やシュートの待ち時間など、意識して体を浮かせて練習するだけでも、重りの巻き足と同じくらいの練習に迫れます。
特別なことをしなくても、「今日より明日の自分が少しでも高く!長く!」浮いていられるように、いつも高く浮いたプレーを心がけるだけでいいんです。
こう考えると、練習がシンプルになりませんか?
浮力を捨てると、こんなことにもなります。
クロトナのミロのように!
もちろん、すぐに浮けるようにはなりません。昨日より1cmだけ高く!を毎日繰り返してチャレンジしていきましょう。
高く浮くのは、手足で体重を支える力の筋トレです。コツコツと続けることで「漸進性過負荷の法則」に基づいて力は必ずついてきます。
※「漸進性過負荷の法則」をわかりやすく説明してくれる有名な例「クロトナのミロ」についてリンクを貼っておきます。よければご一読ください
お疲れ様でした
浮力を活かしたり捨てたりすることが、水球にどうつながるのか、イメージできたでしょうか?
原理をつらつらと並べるのは、話す方も聞く方もお互い面倒ですが、はじめに理解しておくとあらゆることの成功や失敗の原因がわかりやすくなります。
自分の競技力向上にも必ず役に立つので
気に入った方は是非何度も読んでくださいね!
水球を水中運動として捉えた基本的な話はコレで終わりです。次回からは基本スキルの話をして行こうと思います。
それではまた!