
037 TTWP ③水球の基本スキル:巻き足
前回はフットワークの大切な考え方について話しました。すべてに繋がる内容ですので、ぜひ見ていただきたいです。
さて、もったいぶりましたが今回からフットワークについて掘り下げていきます。
はじめは基本中の基本、巻き足です。
巻き足ってどんな動き?
解剖学的に言うと主に、股関節、膝関節、足関節それぞれの働きで構成されています。
股関節:屈曲と伸展、外旋と内旋、外転と内転
膝関節:屈曲と伸展
足関節:底屈と背屈、外反と内反
解剖学?なんのこっちゃ?な方も多いと思いますが、知っておいて損はないです。
平泳ぎの足から学びたい
実は、平泳ぎの足の使い方と巻き足の足の使い方ってとても似ているんです。平泳ぎ出身の選手ってフットワーク強かったり、上手かったりしませんか?
あれだけひと蹴りでぐーん!と前に進む泳ぎですから
足を使って、水の中で大きな抵抗を生み出して、強い支持点を作っているはずです。
※支持点や強い抵抗の作り方は、過去記事が参考になります。
では、どのように強い抵抗を作っているのでしょうか?参考になり得る泳ぎですので、少し平泳ぎを掘り下げましょう。
平泳ぎは足のどこで水を押している?
この見出しに「足の裏」だけと思っている人がいたら、考えを少し改めて欲しいです。
これは平泳ぎの足を蹴る前のイラストです。
このまま真っ直ぐ後ろに蹴ると、ほぼ足の裏だけで水を押すことしかできません。
しかし、平泳ぎはこういう風に足を蹴っています
なぜなら、こうすることで足は円軌道になり、結果「足の裏+下腿(膝から下)の内側まで」の大きな面で水を押せるからです。
この足の使い方はそのまま巻き足にも応用できます。巻き足を正面からイラストで見ていきましょう。
より大きな面(赤矢印)で下に水を押せますよ!
足の裏の面だけで水を押す意識は捨て、平泳ぎにならって、しっかりと下腿(膝から下)の内側も使って大きな面で下に水を押すイメージを持ちたいですね。
このように、巻き足は平泳ぎと似ていることから、下に押す面を大きくする方針で抵抗を増やしてみるといいですよ!
巻き足にはねじりの力が必要
ところでこの動き、青矢印のように股関節のねじりがないと成り立たないことは分かりますか?
最初の解剖学でも挙げましたが、これは股関節の内旋という動きの可動域(動かせる範囲)がキモです。
内旋の可動域が小さいと、そもそもイラストの位置まで足が上がりませんので、下腿の内側を下向きに押すための面も作れません。
可動域が小さいと、抵抗を生み出すきっかけすら作れないということです。
巻き足には押す力も必要
ねじることの大切さを話しましたが、もう一つ大切なのは押す力です。巻き足では、膝を伸ばす力と股関節を伸ばす力の2つを使って水を押しています。前回記事でも話をしましたが、強く押すためにはその準備ができているか?ここがものすごく重要なんです。
注目すべきはココ!
巻き足のとき、膝は高い位置(水面近く)にキープし できているか?
※横からのイラストで表すとこんな感じの話です
コレは、股関節と膝は曲がって強く水を押せる準備ができているか?ということを端的に表しています。もし巻き足中、膝の位置が低いと大きな力は出ません。
※実際に膝の位置で巻き足の力の入り方がどう変化するか確かめていただくといいです。
強く蹴る力があると、当然パワフルで素早い蹴りに繋がり抵抗も増します。抵抗が増すと、、、結果的に浮くことになるのです。
お疲れ様でした
巻き足と平泳ぎにはかなりの共通点があり、それはクロール、背泳ぎ、バタフライに比べやや特殊なフォームです。
また、単純な筋力だけでない要素が絡んでいたことにも注目して欲しいです。どんなに大きな筋力を持っていても、必要な可動域がないと、結果は大きく変わってしまうのです。
スキルの上達を目指すなら、筋力やトレーニングだけでに傾倒せず、セルフケアや柔軟性の向上にも力を入れて欲しいなと思うのが僕の考えです。
是非、より浮くための巻き足を研究してみてくださいね!
それではまた!